気候変動

方針

世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃まで抑える努力をすることを目標に掲げるパリ協定は2020年から実施段階に入りました。この目標達成のためには国・政府だけでなく、企業に寄せられる期待が大きくなっており、事業を通じた気候変動対策の取り組みが必要となっています。

豊田通商グループは「クリーンエネルギーや革新的技術を活用し、自動車/工場・プラントCO2を削減することで、脱炭素社会移行に貢献」をサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つとして特定し、再生可能エネルギー戦略を成長戦略における7つの重点分野の1つに位置付けています。

また、気候変動対策の一つとして欠かせないのがサーキュラーエコノミーへの移行です。豊田通商グループでは「廃棄物を資源化することで、モノづくりを支え、循環型社会に貢献」もサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つとして認識しており、7つの重点分野に「循環型静脈事業」が含まれています。

環境方針では「クリーンエネルギーや革新的技術を活用し、自動車/工場・プラントのCO₂排出を削減することで、脱炭素社会移行に貢献するとともに、自らの事業活動を通じた温室効果ガスの排出を削減し、カーボンニュートラルを目指す」ことを掲げています。

豊田通商グループはパリ協定に賛同しており、2021年7月には脱炭素社会移行への貢献に向けた具体的な方針として「2030年までに2019年比で50%削減することを目指し、2050年にカーボンニュートラル」とするグループ共通の削減目標を策定しました。気候変動の影響を「緩和」し、すでに生じている、また将来予測される気候変動の影響による被害を最小化(適応)するため、さまざまな角度から豊田通商ならではの気候変動対策に取り組むなど、全社を挙げて世界のカーボンニュートラル(CN)・サーキュラーエコノミー(CE)を推進しています。

当社グループでは従来からCN・CEの実現につながる事業を展開してきました。1970年代から開始したELV(End of Life Vehicle:使用済み自動車)の再資源化事業や、1980年代から注力している再生可能エネルギー事業等、これまで取り組んできた「脱炭素社会移行への貢献」につながる事業を、今後もさらに拡大していきます。

産業ライフサイクルを通じた温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下GHG)の削減貢献事業を、全社レベルで加速・推進できるのは豊田通商グループの強みです。全従業員が一丸となり、CN・CE社会の実現に向けて先導役を担うことで、社会課題の解決に貢献していきます。

豊田通商グループ カーボンニュートラル宣言
  1. *1自社での燃料の使用等によるGHGの直接排出(石炭・ガス等)
  2. *2自社が購入した電気・熱の使用によるGHGの間接排出
  3. *3当社グループの Scope 1, 2排出量が対象。GHGプロトコルにて算出

カーボンニュートラル推進会議

当社グループおよび世の中のCN実現に向けた戦略を決定するために、社長を議長とした「カーボンニュートラル推進会議」を月1回開催しています。

同会議では、世界各国のCN実現に向けた政策・提言と当社グループのGHG排出削減施策の連動確認や、5つのワーキンググループ(WG)による成長戦略について議論・決定しています。

カーボンニュートラル推進会議体制
議長 社長
担当役員 副社長(CTO*
事務局 カーボンニュートラル推進部
会議メンバー CSO*
CFO*
CHRO*
各営業本部CEO*
各極CEO
5WGリーダー(執行幹部から選任)
CSO補佐(経営企画部担当)
CSO補佐(渉外部担当)
  1. *CEO:Chief Executive Officer CSO:Chief Strategy Officer
    CFO:Chief Financial Officer CTO:Chief Technology Officer
    CHRO:Chief Human Resources Officer

カーボンニュートラル推進体制

当社グループでは全社のCN推進を使命としたカーボンニュートラル推進部(CN推進部)を設立し、グループ内外の脱炭素の取り組みをさらに加速させています。CN推進部ではCN宣言達成に向けた制度設計や排出量管理に加え、当社グループが強みを持つCN・CEに結び付く事業領域の成長戦略に基づく5つのWGを組織し、縦軸・横軸で事業の拡大と脱炭素社会実現の両立を目指します。5つのWGについては、「カーボンニュートラルロードマップ」を策定し、その進捗をモニターしています。

ミッション :未来の子供たちへ より良い地球環境を届ける
ビジョン :リーディングサーキュラーエコノミープロバイダー

豊田通商グループ カーボンニュートラル推進体制
  1. *1GMグループ:グリーンマネジメントグループ
  2. *2NM部:ネクストモビリティ推進部

カーボンニュートラルを推進していくための5つのワーキンググループ(WG)

これらのようなCNにつながる取り組みを力強く推進していくために、特に当社が強みを持つ5つの分野でWGを組成しています。

なお、当社は「エネルギーをつくる」「エネルギーを集める・整える」「モノをつくる」「モノを運ぶ」「モノを使う」「廃棄物処理をする」「再利用する」という産業ライフサイクルの各段階において、サーキュラーエコノミーを支える事業に携わっています。

TCFD提言に基づく情報開示

気候関連の情報開示および金融機関の対応をどのように行うかを検討するためFSB(金融安定理事会)によって設立されたTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)が、2017年6月に最終報告書を公表しました。最終報告書では企業等に対して気候関連のリスクおよび機会に関する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の4項目について、ステークホルダーへ情報を開示することを推奨しています。

豊田通商は気候変動を重要な経営課題の一つとして認識しており、2019年5月にTCFD提言への賛同を表明しました。TCFD提言に基づき、気候変動が事業活動に与える影響について、情報開示を拡充していきます。

1. ガバナンス

当社では気候変動に関わる事業リスク・機会をマテリアリティの一つとして選定しています。マテリアリティについては、社長を委員長とするサステナビリティ推進委員会(年1回開催)*1でその取り組み内容を確認し、同委員会の構成メンバーである各営業本部CEOを通じて、事業戦略に反映させています。2020年よりマテリアリティに係るKPIを設定し、同委員会がその進捗を確認、議論内容を取締役会へ報告しています。また取締役は気候変動も含めたESGに関する豊富な能力・経験を有しており、適切な監督が行われる体制を整えています。

気候変動については社長を議長とするカーボンニュートラル(CN)推進会議(毎月開催)*2において脱炭素社会への移行に向けた戦略を議論するとともに、当社が排出する温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下GHG)削減の進捗管理も行っています。同会議の事務局は2022年4月に設置されたCN推進部が務めており、同部は専門組織として脱炭素への取り組みをさらに加速させる役割を担っています。

省エネに関する目標達成状況や気候変動に関する法令改正および新たな要求事項への対応状況については、年に1回、安全・環境会議*3で審議し、その進捗の確認を行っています。その審議内容は、同会議の構成メンバーである各営業本部・グループ会社担当者を通じて、事業活動に反映しています。

なお、当社はGHG排出削減を促進するために、社内カーボンプライシング制度を導入しています。この制度では、GHG排出削減への各営業本部の取り組みの進捗状況をその責任者である本部CEOの業績・報酬に反映させています。

*1

サステナビリティ推進委員会 気候変動を含むマテリアリティに係る方針、重要事項の決定
委員長 貸谷 伊知郎(取締役社長)
担当役員 富永 浩史(取締役・CSO*4
事務局 経営企画部 サステナビリティ推進室

*2

カーボンニュートラル推進会議 CN実現に向けた戦略の決定
議長 貸谷 伊知郎(取締役社長)
担当役員 今井 斗志光( 副社長・CTO*5
事務局 CN推進部

*3

安全・環境会議 気候変動に関する法令対応等の進捗管理
議長 佐合 昭弘(副社長)
担当役員 齋藤 彰徳(CSKO*6
事務局 安全・環境推進部
  1. *4CSO : Chief Strategy Officer
  2. *5CTO : Chief Technology Officer
  3. *6CSKO : Chief Safety & KAIZEN Officer

2. 戦略

(1)気候関連のリスクと機会

区分 想定される影響 時間軸*3
リスク 移行*1 政策・規制 炭素税等の導入による事業コストの増加 中~長期
技術 低炭素/脱炭素技術の導入に伴う、既存製品/サービスに対する需要の変化 中~長期
市場 市場状況の変化に伴う、既存製品/サービスに対する需要の変化 中~長期
評判 気候変動対策への遅延や開示劣後によるレピュテーション低下 中~長期
物理的*2 急性 風水害の頻発化・激甚化による事業被害 短~長期
慢性 気温上昇および海面上昇による事業への影響 長期
機会 資源効率 資源循環に対する意識の高まりによる当社リサイクル事業の需要拡大 短~長期
エネルギー源 再生可能エネルギーへのニーズの高まりによる当社再生可能エネルギー事業の需要拡大 短~長期
製品およびサービス 脱炭素/低炭素化に貢献する製品/サービスに対する需要拡大 短~長期
市場 新興市場の成長および成熟化に伴う事業機会の増加 短~長期
  1. *1移行リスク…カーボンニュートラルへの移行に伴う規制や技術、市場環境などの変化がもたらすリスク
  2. *2物理的リスク…自然災害の激甚化や気温・降水変化などがもたらすリスク
  3. *3短期:~1年、中期:~3年、長期:4年~

リスク・機会への対応として、Scope 1, 2排出量の削減に加えて、Scope 3排出量の削減と社会のGHG削減貢献にも積極的に取り組んでいます。

(2)シナリオ分析

当社は気候変動の影響が大きい事業を選定し、TCFD提言に沿った形でシナリオ分析を実施しています。

事業への影響については、影響が大きい要素を選定してシナリオ分析をしました。リスクでは移行リスク(政策・規制、技術、市場、評判)および物理的リスク(急性・慢性)を、機会では資源効率、エネルギー源、製品およびサービス、ならびに市場を考慮しました。

また、当社では2030年にGHG排出量を2019年比50%削減することを目指しており、今回のシナリオ分析においても同様に2030年を分析のタイムフレームとしています。

参照シナリオ

気候変動に起因して、当社の事業環境が大きく変化した際に、新たなビジネスの機会および事業レジリエンスを評価し、事業への影響を分析することを目的として、IEA(国際エネルギー機関)およびIPCC(気候変動に関する政府間パネル)等の下記シナリオを参照しています。

区分 シナリオの概要 主な参照シナリオ
1.5℃/2℃
未満シナリオ
脱炭素社会の実現に向けた政策・規制が実施され、産業革命前からの世界全体の気温上昇幅が1.5℃/2℃未満に抑えられるシナリオ。4℃シナリオと比べ、移行リスクは高いが、物理的リスクは低く抑えられる。
  • IEA Net Zero Emissions by 2050 Scenario (NZE)
  • IEA Sustainable Development Scenario (SDS)
  • IPCC RCP2.6
4℃シナリオ 新たな政策・規制は導入されず、GHG排出量が継続的に増加するシナリオ。1.5℃/2℃未満シナリオと比べ、移行リスクは低いが、物理的リスクは高くなる。
  • IEA Stated Policies Scenario (STEPS)
  • IPCC RCP8.5
対象事業選定

当社事業のうち、気候変動の影響が大きい事業(下記A~Dの観点)を対象事業として選定し、リチウム事業、アルミ溶湯事業、再生可能エネルギー事業、自動車販売事業についてシナリオ分析を行いました。今後、対象事業の範囲を拡充していく予定です。

当シナリオ分析におけるシナリオ・事業環境認識は、国際的な機関等が提示する主なシナリオを基にしており、当社の中長期の見通しではありません。

(3)各事業におけるシナリオ分析結果
リチウム事業

当社は、電動車に不可欠な車載用リチウムイオン電池の原料を供給するため、アルゼンチンのオラロス塩湖で炭酸リチウムの生産を2014年に開始しています。また、日本国内では、福島県双葉郡楢葉町において水酸化リチウムの製造工場を建設し、2022年に生産を開始しました。

気候関連リスク・機会
区分 内容
リスク 災害・異常気象等によるアルゼンチン炭酸リチウム生産事業における生産量の減少
機会 自動車の電動化等によるリチウム製品需要の増加
各シナリオ下における事業への影響
1.5℃/2℃
未満シナリオ
1.5℃/2℃未満シナリオと4℃シナリオを比較すると、1.5℃/2℃未満シナリオの方が電動車や蓄電池需要の大きな増加が見込まれ、当事業全体の機会は拡大すると想定される。
4℃シナリオ 降雨に伴うアルゼンチン炭酸リチウム生産事業における生産効率悪化のリスクについては、2022年実績比較で降雨量に変化が見られず、リチウム生産への影響は軽微と想定される。

いずれのシナリオにおいてもリチウム電池を使用する電動車や蓄電池の需要増加が見込まれる。

当社の対応策

電動車の本格的な普及に伴うリチウムの需要増加に対し、既存能力の増強により長期安定的な供給体制構築を目指します。また、今後の電池高容量化に伴う水酸化リチウムの需要増加を見込み、事業領域を拡大し、安定供給に向けた体制構築を進めていきます。

アルミ溶湯事業

当社は、再生アルミをCO2削減効果のある溶湯の状態でお客さまへ供給しており、その取り扱い量は世界トップクラスとなっています。今後、電動車の普及が加速し、それに伴い軽量化に必要となるアルミ部品の需要も高まっていきます。また、環境への配慮から、アルミスクラップの再資源化による再生アルミの需要の増加も見込まれています。

気候関連リスク・機会
区分 内容
リスク ガソリン車と電動車の販売構成比の変化に伴う事業への影響
炭素税等の導入に伴う事業への影響
機会 電動化に伴うアルミ需要の増加
アルミ新地金から再生アルミへの置き換え需要の増加
各シナリオ下における事業への影響
1.5℃/2℃
未満シナリオ
1.5℃/2℃未満シナリオでは、燃費規制の強化等に伴い、総販売台数に占めるガソリン車の割合は減少するが、一方で電動車の販売比率が増加することによる軽量化の需要増加、加えてグローバルでのリサイクル材の需要増加が見込まれ、当事業全体の機会は拡大することが想定される。
4℃シナリオ 4℃シナリオでは、1.5℃/2℃未満シナリオで想定される燃費規制の強化等が行われないことが見込まれ、当事業全体への影響は限定的であると想定される。
当社の対応策

当事業は重点分野である「循環型静脈事業」の一つと位置付けられており、アルミリサイクルバリューチェーンの川上から川下までの機能強化をグローバルに進めます。炭素税導入等によるコスト増加に対して、新技術活用等によりGHGの排出削減に努めることで対応します。

再生可能エネルギー事業

当社は、風力、太陽光、水力、地熱、バイオマス等の発電事業をグローバルで展開しており、アフリカ、新興国での開発促進、洋上風力開発等の事業にも注力しています。

気候関連リスク・機会
区分 内容
リスク 再生可能エネルギー関連政策(固定価格買取・補助金・減税等)の見直しによる事業への影響
機会 再生可能エネルギー需要の増加
各シナリオ下における事業への影響
1.5℃/2℃
未満シナリオ
1.5℃/2℃未満シナリオでは、再生可能エネルギー政策の見直しによる固定価格買取制度の廃止等の影響を受ける可能性はあるものの、世界全体での政策の進展や再生可能エネルギーへの需要の大幅な増加に伴い、関連する技術革新の進展と共に、再生可能エネルギーの基幹エネルギー化が見込まれる。そのため、再生可能エネルギーへの需要に対応するための開発を進めていくことで、当事業全体の機会は拡大することが想定される。
4℃シナリオ 4℃シナリオでは、再生可能エネルギーへの需要は、1.5℃/2℃未満シナリオほどの高まりはないものの一定の増加が見込まれる。政策の見直しによる影響を受ける可能性はあるものの、当事業全体への影響は限定的である。
当社の対応策

当事業は重点分野である「再生可能エネルギー・エネルギーマネジメント」と位置付けられており、既存ビジネスモデルを強化してグローバル展開を加速させるとともに、電源メニューの多様化やエネルギーマネジメント等、事業領域の拡大を図っています。競争力のある再生可能エネルギーの安定供給で、より良い地球環境づくりに貢献します。

自動車販売事業

当社は、トヨタグループを中心とした自動車・輸送用機器メーカーが国内外で生産する乗用車、バス・トラック等の商用車、産業車輌、補給部品を世界各国へ輸出しています。また、世界150カ国に及ぶグローバルネットワークを通じて、輸入販売総代理店や販売店の事業を展開しています。

気候関連リスク・機会
区分 内容
リスク ガソリン車と電動車の販売構成比の変化に伴う事業への影響
機会 電動車需要の増加
各シナリオ下における事業への影響
1.5℃/2℃
未満シナリオ
1.5℃/2℃未満シナリオでは、燃費規制の強化等に伴い、総販売台数に占めるガソリン車の販売割合は減少するものの、電動車の販売割合が増加することが見込まれ、当事業全体の機会は拡大することが想定される。
4℃シナリオ 4℃シナリオでは、1.5℃/2℃未満シナリオで見込まれる燃費規制の強化等が行われず、ガソリン車および電動車の販売割合への影響は小さいため、当事業全体への影響は限定的である。

いずれのシナリオにおいても、新興国を中心にグローバルでの新車総販売台数の増加が見込まれるため、当事業全体のリスクは軽微と想定される。

当社の対応策

新車販売市場は新興国を中心に今後も拡大していくことが想定されていることから、当社は全世界での販売体制を強化していきます。また、電動車ラインアップの拡充に併せて、その基幹部品である電池素材の資源確保や電池の3R(リビルト・リユース・リサイクル)事業領域を開拓し、電動車の普及を促進します。

3. リスク管理

当社は、気候変動を含む環境のリスク・機会を、高い基準で管理しています。気候変動に関わる事業リスク・機会は、CN推進会議、安全・環境会議とサステナビリティ推進委員会で審議され、その構成メンバーが事業戦略策定や活動に取り入れています。特に、CN推進会議は社長を議長として毎月開催、外部環境を踏まえた気候変動のリスク・機会の識別や当社への影響の評価、また気候変動に関連する事業の進捗を確認しています。

統合リスク管理委員会では、グローバルなリスクマネジメント状況を検証するために、最も注力すべき10のリスク項目を定義、その一つとして、環境を掲げ、全社的なリスク管理プロセスの中でも気候変動リスクを管理しています。

さらに、そのリスク管理プロセスをモニタリングするために、当社は環境マネジメントシステムに関する国際規格であるISO14001を取得しており、3年に1度国内外の連結子会社を対象に本社による環境内部監査を実施しています。

投融資案件

投融資委員会には副社長・CSO・CFOが、投融資協議会にはCSO補佐・CFO補佐が、また、投資戦略会議には社長・副社長・CSO・CFO・経営企画部長がメンバーとして参加することで、投資案件がESGに与える影響を確認しています。投融資委員会または投融資協議会に上げられた一定要件以上の案件は、CNに関する事前評価を必須としており、投資に伴って増加するScope 1*1、Scope 2*2の排出量の把握とその削減方法、また、その投資によるScope 3*3の削減効果、社会のGHG削減に貢献する効果について確認をしています。

  1. *1自社での燃料の使用等によるGHGの直接排出(石炭・ガス等)
  2. *2自社が購入した電気・熱の使用によるGHGの間接排出
  3. *3製品の原材料調達、製造、販売、消費、廃棄までの過程における排出温室効果ガス

4. 指標と目標

* 当社グループの Scope 1, 2排出量が対象。GHGプロトコルにて算出

GHG削減目標と今後の取り組み

社会のCNへの貢献と同様に、自社が排出するGHGのCNは不可欠です。当社はパリ協定を支持し、脱炭素社会移行に貢献するための具体的な方針として、GHG排出量(Scope 1, 2)を、2030年までに2019年比で50%削減し、2050年にCNとする目標を策定しています。

当社は徹底的な省エネ・再エネ推進(LED化、太陽光発電設置等)を実施しています。また、生産プロセスや物流においても燃料転換・消費効率化・技術革新によるGHG排出量削減を進めることで、この目標の実現を目指します。

産業ライフサイクルを通じてGHG削減に貢献する事業を、全社レベルで加速・推進できるのは当社の強みです。当社の全従業員が一丸となり、全力で取り組んでいくことで、社会課題の解決に貢献していきます。

社内カーボンプライシング制度

社内管理上の業績評価においても、GHG排出削減のための取り組みを後押しすべく、社内カーボンプライシング制度を導入し、1トン当たりの価格を30,000円として設定しています。

気候変動への取り組み

カーボンニュートラルロードマップ

豊田通商は2030年に向けた豊田通商グループの成長戦略「カーボンニュートラルロードマップ2030」を策定しています。

豊田通商グループでのCO2排出量削減

当社グループでは、自社の排出削減(Scope 1, 2)に注力するとともに、サプライチェーンの削減活動(Scope 3)、さらには世の中の排出量削減への貢献(削減貢献)に取り組んでおり、当社ならではの多様な取り組みでCNを推進していきます。

なお、今後SBT*の認証取得を目指し、目標設定を行っていきます。

  1. *SBT(Science Based Targets) パリ協定の水準に整合した、企業が設定するGHG排出削減目標
Scope 1, 2排出量の推移

Scope 1, 2

2022年と基準年(2019年)の排出量の実績を比較すると、ビジネス成長により新たな排出量が増加したものの、増加量を上回る削減活動を行った結果、削減を実現しています。

CNに向けた主な取り組みとして、省エネ(事務所・工場のLED照明化等)・再生可能エネルギーの利用促進(所有建物への太陽光発電設備設置等)を実施してきました。

これまでの取り組みは継続し、新たに生産・物流プロセスにおける設備・機器の電動化や、燃料転換やエネルギーの消費効率化、CCUS等の技術への投資を実施し、2030年目標の達成を目指します。

削減に向けた主な取り組み

Scope 3

当社グループは、「豊田通商ならでは」の取り組みによってサプライチェーン上のGHG排出量の削減に取り組んでいます。顧客やサプライヤーとの協働により、それぞれ単独では実現困難なサプライチェーン上のGHG排出量を削減しています。

従来から得意としてきた製造・物流の効率改善やELV(使用済み自動車)・生産工程からの廃棄物の処理・再資源化に加え、近年では電動車用バッテリーの製造事業やリチウム資源開発、部材供給を通じて排出量を削減しています。また、再生可能エネルギーや低炭素エネルギーの供給等を通じて顧客・サプライヤーのScope 1, 2の排出量を削減することにより、Scope 3においてもCNの実現を目指します。

Scope 3排出量については、第三者認証が完了次第、当社ウェブサイトにて開示します。

削減貢献

当社グループは、サプライチェーン上のGHG削減のみならず、世の中の排出量削減への貢献(削減貢献)にも注力しています。

再生可能エネルギーの供給拡大、既存商品のバイオ由来/リサイクル品への置き換え等も含め、取り組みは多種多様な分野にわたっています。

削減貢献事例
再エネ発電 269万t-CO2

サプライチェーン各部に入り込んでの多様な取り組みを行う当社の場合、事業毎の関わり方の度合いが異なることから、全体の貢献量を同じ基準で表現することが困難となっております。上記は比較的世の中で計算方法が統一されている再エネ発電事業の運用段階の削減貢献を一例として示したものです。

※算出方法:発電設備容量(MW/年) × 24時間 x 365日 x 設備利用率× 排出係数(tCO2/MWh) ×当社持分比率

法令対応

豊田通商はパリ協定に賛同し、気候変動の緩和に資する法規制や政策である 「省エネ法」 「温対法」等を全面的に支持し、年1回行政に対してエネルギー使用量、省エネルギー目標の達成状況、温室効果ガス排出量についての報告書を提出しています。

尚、省エネ法における事業者クラス分け評価制度では省エネが優良な事業者とされる「Sクラス」の評価を受けております。この様な取り組みを通じて、当社は温室効果ガス削減の目標達成に向けた役割を果たしています。

気候災害リスクを想定したBCP(気候変動ヘの適応)

気候変動の影響に対応し、被害の防止または軽減を目標として気候変動への適応策を講じています。豪雨や猛暑などの気象災害リスクは高まっており、これらリスクを想定したBCP(事業継続計画)を策定・管理・運用することが重要と認識し、グループ全体で取り組んでいます。

<事例「タイ国の洪水発生時に代替拠点で事業継続」>

豊田通商では、気候変動の物理的リスクにより、重要な経営資源が使用不能になることを想定してBCPを策定し、様々な対策を講じています。

2011年にタイ国北部・中部を襲った大洪水では、バンコク市内や7つの工業団地に被害が及び、日系企業約450社が被災しました。2年後の2013年10月にも再び大規模な洪水が起きた時には、タイ国最大規模のアマタナコーン工業団地が浸水するなど再び甚大な被害が発生しましたが、いずれも豊田通商グループの運送会社で同地域に拠点を持つ「TTK Asia Transport (Thailand) Co., LTDでは、予めBCPで決めていた代替拠点に人員、所有トラックを全て移動させ、事業を中断することなく継続させることができました。

投資戦略

豊田通商は、脱炭素社会の実現に向けて、2030年までの間に1.6兆円規模の投資を実施します。強化する事業として、「エネルギーをつくる」「エネルギーを集める・整える」「モノをつくる」「モノを運ぶ」「モノを使う」「廃棄物処理をする」「再利用する」という産業ライフサイクルの各段階において、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を支える5つの注力分野を設定しました。

<注力分野>
  • 再エネ・エネルギーマネジメント:投資規模 7000億円
  • バッテリー:投資規模 4000億円
  • 水素・代替燃料:投資規模 2000億円
  • 資源循環・3R(Rebuild/Reuse/Recycle):投資規模 2000億円
  • Economy Of Life(医衣食住関連):投資規模 1000億円

削減を促進する社内制度

当社グループ各社が一丸となってGHG排出削減のための取り組みを実施すると同時に、管理上の業績評価においてもこれらの取り組みを後押ししています。具体的にはGHG削減のための投資に関わる減価償却、金利等の負担を業績から除外して評価する仕組み(脱炭素設備投資助成制度)や、GHG排出量の増減に応じて各営業本部の業績を加減算する仕組み(社内カーボンプライシング制度)を取り入れています。

国内の全事業所における使用電力の実質100%再エネ化を実現

当社では国内全ての事業所(11都道府県18カ所)で使用する2022年度の使用電力を、トラッキング付き非化石証書を活用することでCO2フリーとし、実質100%の再エネ化を実現しました。

社内外連携

当社グループは、社内外のステークホルダーに対してCNに関する情報の積極的な開示を通じて企業価値向上を図っています。社内浸透については、全社員がCNを自分事として捉え、これを推進していく風土の醸成を目的として、「CN社内PR動画」および「豊通CNアプリ」を始めました。社外連携については、CN関連プレスリリースを41件(2022/4-2023/3)発出するとともに、「CN商品・サービスカタログ」を発行することで、当社のCN案件を幅広く発信しました。

社内浸透

CN社内PR動画

社員のCN自分事化および全社一体感醸成を目的として作成した社内PR動画です。各本部の若手社員および本部CEOが登場する動画をリレー形式でつなぎ合わせることで、1本の動画をつくり上げました。

豊通CNアプリ

全社員でCNへの理解を深め、営業ツールとしても使える行動変容アプリです。各種コンテンツの利用を通じてCNの自分事化を図れるだけでなく、当社のCN関連情報をワンストップで閲覧できることから、お客さまとの商談にて迅速なソリューション提案が可能となります。また、アプリの利用を通じて獲得したポイントを苗木生産プロジェクトに寄付することができます。

ジャック・アタリ氏とのCN戦略・活動に関するセッションの開催

2023年4月、フランスの経済学者・思想家として世界的に著名なジャック・アタリ氏を招待し、CN戦略・活動に関わるセッションを開催しました。

本セッションでは、当社のCN戦略の全体像と、横断的組織である5WGの各戦略と進むべき方向性について、幅広く議論しました。セッションを通じて、アタリ氏は、イノベーションと環境技術の重要性を強調する一方で、教育や啓発等の長期的な視点も重要であることを指摘されました。当社はCN 戦略における課題や可能性を再認識し、新たなビジョンや目標に向けたインスピレーションを得たことに加え、CNに向けた社員の一体感を醸成することができました。アタリ氏からの示唆に基づき、当社は脱炭素社会の実現に向けた積極的な取り組みを推進していきます。

社外連携

CN商品・サービスカタログ

当社グループが有するCN関連ソリューションをScope 1, 2, 3のそれぞれにひも付く形で当社ウェブサイトに掲載しています。当社グループがこれまでに蓄積してきた各種ソリューションを通じて、お客さまのGHG排出量削減をお手伝いすることで、脱炭素社会移行へ貢献していきます。

GHG排出量の算定・可視化サービス「zeroboard」
GHG排出量の算定・可視化サービスを提供する㈱ゼロボードとの連携強化

当社グループでは、GHG排出量の算定・可視化サービス「zeroboard」を提供するゼロボードとの連携を強化しています。自社での「zeroboard」活用に加え、ゼロボードと共に自動車業界を中心とした国内外のお客さまやサプライヤーに対して、GHG排出量の可視化とカーボンフットプリントへの対応を進め、再生可能エネルギー事業やリサイクル事業等GHG排出削減ソリューションを提供することで、バリューチェーン全体でのCN実現にワンストップで貢献していきます。

外部との協働

日本貿易会

日本貿易会はパリ協定を支持しており、脱炭素社会構築に向けた政府、経団連の取り組み(『地球温暖化対策計画』『カーボンニュートラル行動計画』)に賛同し、他業界・他団体とも連携しながら、取り組みを推進しています。日本貿易会でも独自に『環境自主行動計画』を策定し、脱炭素社会構築に向けた商社業界の課題として取り組んでいます。

当社は 気候変動緩和策・適応策の検討・実施を重要課題と捉え、新たなビジネス、ソリューションの創出に積極的に努めると共に、日本貿易会の主旨に賛同し、当会の副会長会社の1社として参加しています。2023年度は日本貿易会の各種委員会の一つである地球環境委員会の委員長として、この『環境自主行動計画』に中心的な役割で携わっており、パリ協定の長期目標である2050年カーボンニュートラルの達成に向けた活動に貢献しています。

一例として エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)の特定荷主制度において、特定荷主企業は輸送会社と連携し省エネを進めることを求められていますが、現行法が求める指標・目標がその実現を困難としており省エネの進捗を遅らせているとして、貿易会が設定した特定荷主制度対象の会員企業と政府当局(経済産業省・資源エネルギー庁)との意見交換会の場を通じて問題提起しました。そのことが契機となり 経済産業省・資源エネルギー庁 荷主判断基準ワーキンググループに 貿易会を通じた当社のオブザーバー参加が実現しました。

また、2021年より同ワーキンググループの「荷主省エネの課題と検討の方向性」に関する業界ヒアリングにおいて、当社 安全・環境推進部の室長と担当者が貿易会を通じてオブザーバー参加して上述の問題提起を行い、省エネ法改正にあたり 輸送業者との省エネ活動が推進しやすい環境づくりを目指した働きかけや提言を継続しています。

<国内の事業活動における2030年の削減目標(商社業界)>

日本貿易会は2030年の電力使用原単位(会社全体における床面積あたりの電力使用量)を2013年度比で15.7%削減することを掲げています。これは、省エネ法で求められている努力目標(中長期的にみて年平均1%以上を低減させること)を参考にしており、さらに努力を継続することにより達成可能と考えられる最大限の目標として、年率1%減を前提に掲げたものです。
当社も日本貿易会の一員として、また、同会地球環境委員会 会長会社としてこの活動の一翼を担っており、省エネ活動の推進を図り、脱炭素社会の構築に向けた取組みを実施しています。

電池サプライチェーン協議会(Battery Association for Supply Chain; BASC)

一般社団法人電池サプライチェーン協議会は2021年4月に脱炭素社会実現に向けて電池のサプライチェーンを持続可能な形で発展させることで、世界の電池産業に貢献していくために設立された団体です。

豊田通商グループでは豊田通商をはじめとして、豊通リチウム、豊通マテリアル、豊通テックも同団体へ参加しています。豊田通商 執行幹部の片山(金属本部COO)は同団体の副会長を務めており、また豊田通商は幹事企業10社の中の1社として、団体を代表して、政策に対する働きかけを行っています。

水素協議会

水素は利用時にCO2を排出せず、またバイオマスや再生可能エネルギーを使って製造することができ、且つ貯蔵も可能なことから、低炭素社会の実現に向けた有力な選択肢になると認識しています。当社は、エネルギー移行に資する水素について統一した長期的なビジョンを持つ大手エネルギー、輸送機器産業の企業によるグローバルなイニシアチブである「水素協議会」にSupporting Memberとして、2017年から加盟しています。脱炭素に向けて水素を活用しようとする企業が多く加盟するグローバルな協議会の一員になることで、脱炭素という大きな目標を持つ企業と広く情報・意見交換し、また世界の水素関連情報の収集することで、当社の水素事業の推進に繋げるとともに水素社会実現に貢献することを目的としています。

現在、当社は水素社会実現の原単位モデルづくりのため、港湾、公共交通・物流等の分野にて、水素製造・供給からFC(燃料電池)モビリティ導入までの利活用モデルの構築やFC外販 及び FC搭載機器メーカーの開発支援などに取り組んでいます。刻々と変わるマーケット動向や規制強化が進む状況下、当社が貢献できるこれら分野を含め各国における水素利活用拡大と水素社会実現が確実に進展するために水素協議会が取り組むべきこととして、水素・FCを使用する動機付けになるようなユーザーへのインセンティヴやメカニズムの創出、GHG算出方法など水素に対する国際的な統一基準作り等を、毎年行われる当協議会の重点活動計画策定の場において提案しています。

水素バリューチェーン推進協議会

我が国では水素に関する研究開発や実証実験などに長期にわたって官民で取り組んできましたが、社会実装に向けたインフラ整備は不十分であり、供給コストも既存燃料対比で高く市場は未成熟です。

水素バリューチェーン推進協議会はサプライチェーン全体を俯瞰し、業界横断的かつオープンな組織として社会実装プロジェクトの実現を通じ、早期に水素社会を構築することを目的としています。

当社は当協議会設立当初の2020年12月より参加しており、「事業化・規制ワーキンググループ」に所属し「水素の需要創出、規制緩和等の政策提言」に向けて積極的に協働しています。2022年11月の同協議会会員セミナー開催の際には、「水素エネルギーにおける国内外の取組み」について発表し、カーボンニュートラルの実現に向け、協議会を通じて水素の社会受容性を高める為の普及活動に貢献しています。

内航船の廃食油回収・バイオ燃料活用の連絡協議会

当社は、日本内航海運組合総連合会、一般社団法人日本旅客船協会、全国油脂事業協同組合連合会及び鉄道・運輸機構(JRTT)が「廃食油回収の促進とバイオ燃料活用の拡大による内航分野におけるカーボンニュートラルの推進」を目的として発足した「内航船の廃食油回収・バイオ燃料活用の連絡協議会」に協力者として参画しました。

2021年10月に改訂された政府の地球温暖化対策計画では、2030年度の内航海運におけるCO2排出量を2013年度比で17%減らすとの削減目標の見直しが行われたことから、既存船における省エネ・省CO2の取り組みの一つとしてバイオ燃料の活用可能性が注目されていますが、内航船からの廃食油については、現在はほとんど廃棄されているのが現状です。

当社は、オブザーバーとして参加している国土交通省海事局や協力者として参加している株式会社ダイセキ環境ソリューションとこの連絡協議会を通じて内航船の実態調査を実施し、廃食油回収の事業者ガイドラインの策定等の取り組みを進めてまいります。

炭素会計アドバイザー協会

当社は株式会社ウェイストボックス、中部電力ミライズ株式会社、日本生命保険相互会社、MS&ADインシュアランスグループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社の4社と気候変動財務情報の正しい考え方の普及を目的とした「一般社団法人 炭素会計アドバイザー協会」を2022年7月1日に設立し、同協会へ理事1名を派遣しています。

炭素会計アドバイザー協会は、現在共通言語化されていない「いかに測るか」に焦点を当て、測定基準のスタンダードとなることを視野に、民間資格としての「炭素会計アドバイザー資格制度」を新設しました。この「炭素会計アドバイザー資格3級」は環境省認定制度「脱炭素アドバイザー ベーシック」に認定されています。

炭素会計アドバイザー資格制度の普及が、企業の気候変動対応につながるため、当社は同協会での活動を通じて、当社のみならず、社会全体のカーボンニュートラル実現に寄与してまいります。

経済産業省 GXリーグ

当社は2022年に経済産業省が策定した「GXリーグ基本構想」に賛同表明し、2023年4月に「GXリーグ」に参画しました。

GXリーグは2050年カーボンニュートラル実現と社会変革見据えて、GX(グリーントランスフォーメーション)への挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が同様の取組を行う企業群を官・学と共に協働する場です。

当社は「未来の子供たちにより良い地球環境を残す」ため、GXリーグの取組みに積極的に関与し、社会全体のカーボンニュートラルに実現に向けて取り組んでいきます。

関連リンク
環境パートナーシップCLUB(EPOC)

豊田通商は、中部地方の産・官・学が一体となって組織された環境パートナーシップCLUB(EPOC)のメンバーとして様々な取組みに参加しています。

EPOCは、環境行動の社会への浸透・風土づくりや環境行動に関する情報発信および国際交流活動を推進するもので、当社はEPOCを通じて中部圏から環境対応に関する情報発信を行い、世界に誇れる環境先進地の形成とともに安全かつ快適な循環型経済社会の構築を目指しています。

COOL CHOICE

豊田通商は、省エネ・脱炭素型の製品への買換・サービスの利用・ライフスタイルの選択など、地球温暖化対策に資する「賢い選択」をしていこうという環境省が推奨する取り組みに賛同しています。また、新たな服装ガイドライン「~Be yourself~」を策定し、豊田通商で働くすべての方々を対象に、自主的に服装を判断し、着用する年間クールビズ・ウォームビズにも対応しました。

CDP
CDP

CDPは、2000年にロンドンで設立された国際NGOで、企業に対して気候変動への戦略や具体的な温室効果ガスの排出量に関する公表を求めるプロジェクトです。
運用資産総額130兆米ドルに達する機関投資家を代表して、企業に気候変動、水セキュリティ、フォレストの3分野の質問状を送付、その回答を分析し、評価結果を公表しています。
スコアは、A、A-、B、B-、C、C-、D、D-の8段階で格付けされます。豊田通商では2017年より、気候変動、水セキュリティ、フォレストの質問状への回答を開始しました。

2023年度 CDP評価結果

気候変動
セキュリティ
フォレスト
木材 パーム油 大豆
A A- A B B

CDP(気候変動)
上記の通り、2023年に実施されたCDPの質問書に対する回答の結果、気候変動では、「A」の評価を受けました。

ISO 50001

当社は2020年にISO50001:2018(エネルギーマネジメントシステム)を取得しました。対象範囲は、省エネ法に基づく特定事業者の届出の対象である国内事業所(11都道府県18カ所)および福利厚生施設。拠点ごとにエネルギー管理標準を作成し、その実施状況を省エネ監査で定期確認することで、省エネ活動の推進に努めています。

関連リンク
加盟団体のレビュー
参画している業界団体、イニシアチブの方針が、当社の方針と乖離していないかを定期的に確認し、乖離があると認められる場合は、建設的な対話を通して当団体のスタンス見直しなどを働きかけていきます。

パフォーマンスデータ

温室効果ガス(Scope 1, Scope 2)排出量(国内事業所)
温室効果ガス(Scope 1, Scope 2)排出量(国内事業所)
集計範囲:豊田通商(本社・支店・営業所・出張所)および国内連結子会社
<電力のCO2排出係数>
(2022年)環境省・経済産業省公表《電気事業者別排出係数》(2023.1公表)の調整後排出係数
(~2021年)当該年度に公表された《電気事業者別排出係数》の基礎排出係数
<電力以外のCO2排出係数>
環境省・経済産業省公表《温室効果ガス算定・報告マニュアル》Ver.4.
温室効果ガス(Scope 1, Scope 2)排出量(海外事業所)
温室効果ガス(Scope 1, Scope 2)排出量(海外事業所)
集計範囲:海外連結子会社
換算係数出典:(電力)IEA Emission factors 2019
温室効果ガス(Scope 1)排出量タイプ別内訳
(単位:t-CO2
2019年 2020年 2021年 2022年
CO2 485,607 399,786 472,843 471,720
CH4/N2O/ HFCs/PFCs/ SF6/NF3 他 0 0 0 0
合計 485,607 399,786 472,843 471,720
集計範囲:豊田通商(本社・支店・営業所・出張所)および国内連結子会社、海外連結子会社
尚、温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度を踏まえ、年間3,000t-CO2eを超える排出を対象としています。
温室効果ガス Scope3カテゴリー別内訳
(単位:t-CO2
2019年 2020年 2021年 2022年
カテゴリー2 (資本財) 362,345 382,179 463,802 475,206
カテゴリー3 (Scope1に含まれない燃料・エネルギー関連) 14,410 17,505 17,854 125,321
カテゴリー4 (輸送(上流)) 21,127 17,167 20,093 16,833
カテゴリー5 (廃棄物) 3,109 4,395 7,864 5,136
カテゴリー6 (出張) 1,589 1,727 1,714 1,702
カテゴリー7 (通勤) 3,755 4,218 4,212 4,205
カテゴリー8 (リース資産) 0 0 0 0
カテゴリー14 (フランチャイズ) 0 0 0 0
合計 406,335 427,191 515,539 628,403
豊田通商(本社・支店・営業所・出張所)および国内連結子会社
但しカテゴリー2は豊田通商及び国内外連結子会社
カテゴリー4は豊田通商・豊田スチールセンター・豊通エネルギーの3社
算定基準:《サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位について(Ver.3.1)》に基づき、《サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース(Ver.3.1)》(以下DB)の係数を用いて算定
カテゴリ2:報告年における連結ベースの有形固定資産取得額にDBの「資本財価格あたり排出原単位」を乗じて算定
カテゴリ3:報告年における燃料及び電力・熱使用量にDBの「電気・熱使用量当たりの排出原単位・燃料調達時の排出原単位」を乗じて算定
なお燃料についてはDBに参考として掲載されているIDEA V2.3の係数を参照し算定
カテゴリ4:環境省・経済産業省の「温室効果ガス算定・報告マニュアル」に基づき、豊田通商・豊田スチールセンター・豊通エネルギーをそれぞれ荷主とする国内輸送に関わるものを集計
但し期間は年度ではなく暦年にて算定
カテゴリ5:事業系一般廃棄物および産業廃棄物を種類別・処理方法別に分け、DBの「廃棄物種類・処理方法別原単位」を乗じて算定(有価物は算定より除外)
カテゴリ6:各拠点毎の従業員数に、DBの「従業員数当たりの排出原単位」を乗じて算定
カテゴリ7:各拠点毎の従業員数に、DBの「勤務形態別都市区分別従業員数・勤務日数当たり排出原単位」を乗じて算定
カテゴリ8:リース機器の使用によるCO2排出はScope1、2にて報告しているため、0
カテゴリ14:フランチャイズ事業に該当するものはないため、0
バイオマス燃料使用量
バイオマス燃料使用量(ton) 238,960
バイオマス燃料使用量(kL) 78
(集計範囲)豊田通商(本社・支店・営業所・出張所)および国内外連結子会社
バイオマス燃料使用によるGHG排出量
t-CO2e
バイオマス燃料使用によるGHG排出量 275,015
(集計範囲)豊田通商(本社・支店・営業所・出張所)および国内外連結子会社
第三者認証

上記のパフォーマンスデータの一部はLRQAリミテッドによる第三者認証を受けています。