汚染防止

方針

豊田通商グループでは、大気汚染防止法、水質汚濁防止法など関連法規を順守し、汚染物質の排出抑制を図り、自然環境の維持・保全に積極的に取り組みます。

汚染リスク対策

1. 法規制の要請を超えた汚染回避

定期的に法令・基準値を確認のうえ、環境関連法規、条例の基準値の80%以内を目安に当社グループ内で独自目標を毎年設定して日常管理を実施し、内部監査により順守状況を確認しています。なお、2024年度中の環境関連の罰金・処罰、法令や規制に対する違反および不適合な事例はなく、それらに伴うコストも発生していません。

<目標>
法令順守は勿論、汚染の未然防止を目的とした活動も実施しています。
例えば、業務用車からの油漏れ発生0件を毎年の目標として取り組んでおり、2024年度の発生件数は0件でした。
取引先等から油漏れ事例を入手し、月次でグローバルに情報共有し、教育に努めております。

2. 化学物質管理

化学物質の安全な取り扱いは、化学品事業を支える重要な基盤です。人々の安全と健康を守り、水・土壌・大気や動植物の生態系といった地球環境を守ることを目的に、化学物質関連情報の集中管理を進め、当社が取り扱う化学品について関連法令・規制に適切に対応する管理体制を整えています。

  1. 1体制

    汚染防止を含めたサステナビリティに関する全社方針や目標の策定、それらを実践するための体制を構築しています。管理状況については特定貿易管理委員会に報告し、重大な事項については、必要に応じて取締役会に報告する仕組みで運用しています。
    また、化学物質管理に関する高いノウハウを持つ外部コンサルティング会社等を起用し、管理体制に関する総合的助言や商品ごとの適用法令といった個別相談等、あらゆる面でサポートを受けています。
    緊急事態発生時は営業主管部とコーポレート部門が連携し、対応を協議します。当社グループの緊急事態発生時の連絡ルール「Bad News First & Fast」の仕組みに沿って社内外への報告を行うと共に、事故の状況によって適切に対応します。

    • 特定貿易管理委員会は、安全保障輸出管理を目的とした全社会議体。
  2. 2具体的な取り組み

    化学品事業においては、全ての化学物質について化学成分や規格性能に基づいて該当法令を確認の上、含有されている化学物質のCAS登録番号、含有率をSDSごとにリスト化し、化学物質管理システムで一元管理しています。成分単位での登録を行うことで、成分に起因する関連法規にも国ごとに対応しています。また、各種関連団体に加盟して化学物質規制に関する最新情報を入手するとともに、サプライチェーン上の関係者に対して化学物質の危険有害性情報を適切に伝達するため、商品ごとにSDS(Safety Data Sheet)を交付することにより関係先への的確な情報提供に努めています。

  3. 3環境関連法令等の順守

    化学物質審査規制法(化審法)、労働安全衛生法(安衛法)、化学物質排出把握管理促進法(化管法)、毒物及び劇物取締法(毒劇法)、消防法、高圧ガス保安法等、多岐にわたる環境マネジメントシステム等に関する特定法令を遵守しています。
    例えば、化審法の数量年度報告、新規化学物質の登録、少量新規、安衛法の少量新規など、各種法律に従い正しく報告・登録を行っています。

    地域・国別で対応している主要法令は下記の通りです。

    地域・国 法令
    日本 化審法、安衛法
    米国 TSCA、HCS(OSHA)
    EU諸国 REACH、CLP
    中国 新化学物質環境管理弁法、危険化学品安全管理条例
    韓国 化評法(K-REACH)、産業安全保健法
    台湾 毒性及び懸念化学物質管理法、職業安全衛生法
    ASEAN諸国 各国整備・運用中
  4. 4環境リスクが懸念される化学物質の取り扱いについて

    各種法令や、業界、顧客の要求を順守するために、化学物質管理の専門人材を採用し、当社製品や原料が含有する有害性物質を把握し、化学物質による環境リスクが懸念される場合には使用・排出を自主的に削減、段階的に廃止し、代替品に変更するなど、当社の製品に起因する環境への影響を低減できるよう取り組んでいます。なお、有害性物質については意図的に添加することを禁じております。

  5. 5教育

    化学品事業においては、役職員を対象に、化学物質管理・環境法令に関するe-learningや、受講者のレベルに応じた階層別の研修を定期的に実施しています。
    特に、海外駐在者には各国の主要法令や対応事項に関する研修を通じた教育を行い、各国の法令についての理解を向上させる取り組みを行っています。

3. PCB含有機器の豊田通商グループ統合処理推進

豊田通商グループでは、PCB含有機器の保有(保管中・使用中)そのものを大きな環境リスクと捉え、2015年から統合処理を推進してきました。2022年度より、保有台数の内100%が処理完了しています。

PCB含有機器の豊田通商グループ統合処理推進
PCB含有機器の豊田通商グループ統合処理推進

4. 豊田通商グループの環境負荷低減活動

当社グループの産業廃棄物中間処理を営む豊通ケミカルエンジニアリングでは、環境問題や社会の意識変化に対応するため事業活動に伴う環境負荷低減を図ることを目的とした「環境保全協定」を半田市と締結しています。
法令で定める基準以上の厳しい自社基準・協定基準を定め、地球温暖化対策や廃棄物対策等を実施し、環境に配慮した事業活動を行っています。

具体的な数値目標のひとつとして、大気汚染物質の指定物質であるダイオキシン類について、焼却設備での規制値、協定値1.0以下(ng-TEQ/m3)に対して、0.8以下(ng-TEQ/m3)を基準値として定め、環境報告書で開示しています。最新のデータ(2024年度)は、最大値0.042、最小値0.00015であり、基準値(上限)を大幅に下回る値を維持しています。
このように法令や条例よりも厳しい基準を常に設けて環境に配慮するという目標にコミットすることで、ひとにやさしく、快適な環境で安心して暮らせるまちづくりに貢献しています。

パフォーマンスデータ

VOC排出量
VOC排出量
集計範囲:豊通エネルギー
ばいじん排出量
ばいじん排出量
集計範囲:豊田ケミカルエンジニアリング
塩化水素排出量
塩化水素排出量
集計範囲:豊田ケミカルエンジニアリング
窒素酸化物排出量
窒素酸化物排出量
集計範囲:豊田ケミカルエンジニアリング
硫黄酸化物排出量
硫黄酸化物排出量
集計範囲:豊田ケミカルエンジニアリング
水質(総BOD量)
(単位:ton)
  2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2024年度
水質(総BOD量) 1.4 1.3 0.9 0.7 0.4 0.2

水ストレス地域における事業拠点での外部との協働

当社の関連会社である Toyotsu Bharat Integrated Services Pvt. Ltd.(South)では、インドにおける「テクノパーク事業」として、新興国に初めて進出する企業が生産活動に専念できる事業環境を提供しています。具体的には、総務・経理などのコーポレート機能や、生活排水処理サービスを行うことで、進出難易度を下げ、製造業のインド進出を後押ししています。
このテクノパークでは、外部との協働により水リスクの低減に向けた活動を推進しています。近隣で操業している輸送用機器関連工場と連携し、各工場からの生活排水をパイプラインでつなぎ収集し、自社排水処理設備を用いて、浄化処理を一元化することで効率的な水管理を実現しています。また、浄化処理後の処理水は各社に再分配のうえ、園芸用水や生活用水として再利用しています。こうした外部との協働により、水使用量の削減に努めるとともに、周辺住民の生活環境を守るため、敷地外への廃水排出を行わない仕組みを整備しています。