地熱発電所建設を通じてケニアの経済成長を支援

2015年04月01日
不安定な電力事情が発展の妨げに

10億人の人口を抱えるアフリカ。豊富な資源量、中間層の台頭等からも「最後のフロンティア」として注目を集めており、その経済成長率も5%前後※1を推移しています。
経済の発展に電力は欠かせません。しかし、アフリカの多くの国では電力が足りず、不安定な電力供給環境が経済発展の妨げとなっています。急速に経済成長が進むケニアでは従来、水力発電を利用していましたが、河川規模も小さく乾季になると水量が足りず発電が不安定になるため、石油を輸入しディーゼル発電を利用。コスト面でも負担が大きく、今後の経済成長に不可欠な電力に不安がありました。
ケニアの大地に明かりをともす
このような状況を改善すべく、ケニア電力公社(Kengen)は、同国が大地溝帯※2上に位置するという地の利を生かし、首都ナイロビから北西に120km離れたオルカリア地区に発電所建設を計画。1981年の初号機稼働開始から現在も開発・建設が進められています。豊田通商と現代エンジニアリング(韓国)は280メガワット(MW)の発電所建設を2011年に共同受注し、蒸気タービン・発電機メーカの東芝とも連携して2015年1月に発電所を完工しました。これにより同国における地熱発電の総発電量は480MWに拡大しました。
地熱発電は、火山帯の地下にあるマグマによって熱せられた高温・高圧の地下水※3(蒸気)を利用して発電しているため、天候や時間帯に左右されることなく安定的に電力を供給できるのが大きな特長です。完工した発電所の総発電容量はアフリカでも過去最大で、ケニア国内の総発電容量の約20%を安定的に供給することができます。また、同国の地熱資源埋蔵量は10,000MW※4と推定され、今後も発電事業の拡大が見込まれます。

自然と共存する発電所

地熱発電は、CO2などの温室効果ガスを出さない地球にやさしい再生可能エネルギー。さらに、オルカリア発電所のある地熱地帯は、野生動物が多く生息するヘルズゲート国立公園内にあり、動物たちにも配慮した発電所になっています。例えば、蒸気を運ぶパイプラインも、動物が通れる高さにまでコの字型に折り曲げられている箇所があり、往来を邪魔しないような工夫がされています。雄大な自然との共存・共栄をつづけながら、安定的な経済成長を支援しています。
- ※1出典:サブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカのGDP IMFの2015年1月発資料より
- ※2注釈:大地溝帯(グレートリフトバレー)とは、アフリカ大陸の東部を南北に縦断する谷。プレートとプレートの境界のひとつで火山地帯
- ※3注釈:雨水が地中深くに浸透し、地下水となり、マグマ周辺に溜まった水が熱せられ、高温・高圧になります。そこに地熱発電所を建設している
- ※4出典:内閣府ホームページ