アフリカでのプレゼンスNo.1へ

2020年04月01日
現地に根付いた取り組みで事業領域を拡大

当社のアフリカ事業は1922年の東部アフリカにおける綿花の輸入に始まり、1964年には自動車輸出業を開始するなど、90年以上の歴史を有します。1991年にはアンゴラの現地代理店への出資を行い、自動車販売事業が始動。その後、2000年に南アフリカへ統括拠点を設置。2001年には英国商社より東南部アフリカ6カ国の自動車事業を買収、事業投資を加速させてきました。現在は、南アフリカにおける自動車生産支援事業や、ケニアの販売金融や中古車販売など自動車バリューチェーンの拡大に取り組み、事業の幅出しを図っています。
2000年代以降は電力需要の急増に対応し、エジプトにおける発電所向け機器の納入をはじめとするインフラビジネスの投資活動も活発化。2011年にはケニア最大規模を誇る地熱発電プロジェクトを受注しました。

このように、当社は現地に根付きながら自動車販売などのさまざまな川下事業を広げ、アフリカの地域や人々と共に成長していくという長期的な観点で市場開拓に取り組んできました。2012年8月にはケニア政府による国家ビジョン実現の包括的支援に向けた覚書を締結し、自動車分野に加え、電力・エネルギー、石油・鉱物資源、環境保全、農業産業化といった分野において、ケニア政府の実行委員会と各事業を推進しています。
一方で、サブサハラアフリカ地域は資源依存からの脱却に向け、産業の多角化が喫緊の課題となっています。こうした状況下、2014年にアフリカで日本企業初となる社会貢献型ベンチャー育成基金Toyota Tsusho CSV Africa Pte. Ltd.をモーリシャスに、人材育成センターToyota Kenya Academyをケニアに設立しました。人材育成に関しては、建設機械・農業機械などの自動車分野以外の技術者養成、さらにはリーダーシップ教育などのマネジメント・プログラムも実施しており、今後は南部、中・西アフリカ地域においても活動を広めていきます。
CFAO社への出資参画で「面」展開を実現
当社のアフリカでの事業基盤を確固たるものとしたのが、2012年のフランス最大の商社CFAO社への資本参画です。CFAO社は、アフリカ33カ国で展開している自動車販売を中心に、医薬品卸事業、清涼飲料やビールの生産・販売など、多彩な事業ポートフォリオを持っています。中・西アフリカ全域にわたるビジネスネットワークを持つCFAO社は、東南部に事業基盤を持つ当社にとって理想的な補完関係を築ける点に加え、自動車の強固な基盤を有し、自動車以外の領域を強化していくという企業戦略の方向性も一致。CFAO社への資本参画は、戦略的なアライアンスとして、2,345億円という当社にとって過去最大の事業投資案件となりました。
アライアンスから“ONE TEAM”へ
当社の戦略的重点地域であるアフリカでの活動を、さらにスピード感を持って対応するために、2016年12月にCFAOを完全子会社化、2017年4月には当社初の地域を軸とした営業本部「アフリカ本部」を新設しました。
従来は、当社とCFAO社でそれぞれ異なる組織と戦略を持っていましたが、両社のアフリカ事業を統合し、同じ戦略を持つ“ONE TEAM”としてアフリカにおける事業を推進していきます。
これにより、更なるビジネス上の相互乗り入れや互いの企業文化などの良さ・強みを取り入れ、アフリカにおけるリーディング企業を目指していきます。

54カ国をカバーするネットワークで消費市場を開拓

2017年の事業統合当時、豊田通商は英語圏である東南部アフリカ、CFAO社は中・西部アフリカを中心に事業展開していましたので、両社の協業によりアフリカ54カ国中53カ国をカバーし、約15,000名のアフリカのプロ人材を保有できました。
更に、2019年1月にはトヨタ自動車㈱のアフリカ市場における営業業務の全面移管を受けました。これにより、現在ではアフリカ全54カ国へのネットワークを有し、総勢22,000名の従業員で多彩なビジネスを展開しています。
CFAO社とのアライアンス事例を1つ取り上げると、2015年にナイジェリアにおいて、ヤマハ発動機(株)とCFAO社が二輪車製造・販売合弁会社CFAO Yamaha Motor Nigeria Ltd.を設立し、現地における二輪車製造と雇用の創出を実現しました。

2015年12月にコートジボワールにオープンしたショッピングセンター
また、CFAO社は自動車をはじめ、北西アフリカでトップシェアを誇る医薬品卸事業EURAPHARMAを展開していますが、当社は販売・流通のクオリティ・アップのための投資、当社が有するTPSノウハウの展開および現場のカイゼンなどの支援を行いました。またCFAO社にとってチャレンジ領域となる、世界第2位の規模を持つ仏スーパーマーケットチェーン・カルフールとの提携も、長期的な視点で取り組みを強化しています。このように、我々は生産・物流のノウハウをベースに、両社の強みを融合させ、今後急成長する中間層もターゲットに消費市場開拓にも注力していく予定です。

2016年1月には、アフリカ最大級の物流網を持つフランスの複合企業ボロレ社と協業意向書を締結しました。今後はインフラや物流など、多岐にわたる事業で協業体制を構築していく予定です。
当社は、全ての事業において、投資活動やプロジェクト遂行を事業の完了と捉えず、その後も地場に根付いた永続的な運営を行うことを目標に取り組んでいます。今後もアフリカ地域でのプレゼンス拡大に向け、「事業」のみならず、「人材育成」「CSR活動」を通じてアフリカ社会の自立発展に貢献していきたいと考えます。