マテリアリティ
マテリアリティ
豊田通商は、持続可能な社会の実現に向けて重要課題(マテリアリティ)を特定しています。これらのマテリアリティに対しては、定量的・定性的なKPI(重要評価指標)を設定し、進捗状況を継続的に確認することで、具体的な取り組みを推進しています。
KPIの設定にあたっては、各営業本部の方針にマテリアリティやSDGsの視点を反映させるべく、各本部CEOを含む関係者との議論を重ねました。さらに、サステナビリティ推進委員会において経営層および社外取締役と意見交換を行い、企業としての方向性を明確にした上で、象徴的なテーマごとに目標を設定しています。
マテリアリティは固定的なものではなく、国際社会の動向や社会的ニーズ、当社グループを取り巻く環境の変化を踏まえ、毎年見直しの必要性を検討しています。KPIについても同様に、サステナビリティ推進委員会での議論を経て適宜更新を行っています。
また、社員一人ひとりが社会課題の解決を意識しながら業務に取り組むことを促進するため、評価指標の一つとして「地域・社会・未来への貢献」を導入しています。新入社員およびキャリア入社社員には、サステナビリティやマテリアリティに関する研修を毎年実施し、その重要性を伝えています。
さらに、毎年10月を「コンプライアンス月間」と定め、役員メッセージの発信や外部講師による講演会、不祥事防止、安全・コンプライアンス、環境、サステナビリティ、人権に関する各種研修を通じて、社内への理解と浸透を図っています。

策定プロセス

1. 課題の抽出

- 国際的な社会課題を網羅していると考えられるSDGsの17のゴール、169のターゲットを軸として、CSRやESGに関するガイドライン(GRIスタンダード、ISO26000、国連グローバル・コンパクト、FTSE、MSCI等)、トヨタ環境チャレンジ2050等の各ガイドラインから当社に影響のある社会課題を抽出し、整理。
- 整理した社会課題が当社基本理念、ビジョン、中期経営計画に合致しているか照合し、43個の社会課題を抽出。
2. 優先順位付け
抽出した43個の社会課題に対し社内外のステークホルダーとの対話やアンケートを通じて、当社への期待・要望、当社にとっての重要性の優先順位付けを行い、マテリアリティマトリックスを作成。

ステークホルダー
- 社内: 営業本部ヒアリング、豊田通商全社員・国内関連会社CSR担当者・海外現地スタッフ向けアンケート
- 社外: 国内機関投資家ヒアリング、一般個人投資家アンケートなど
絞り込み
マテリアリティマトリックスで社内外から重要性が高いとされた社会課題を中心にマテリアリティ案を作成。
なお、マテリアリティに言及されていないものは会社として取り組まないという位置付けではなく、当社が特定するマテリアリティは「最重要」として優先して取り組むべき課題と整理。
3. 妥当性の確認
特定プロセスおよびマテリアリティ案について、妥当性を確認。
議論の参加メンバー
- 経営層、各営業本部長(現営業本部CEO)で議論。
- 社外取締役へ個別ヒアリング。
参加メンバーから出た主な意見
- きちんとプロセスを経ながらマテリアリティを作成している点を評価する。
- 国家や政府だけで何でもできる時代ではなくなっている。社会が変わっていく必要があり、当社もシステムや制度を変えていくことを意識する必要がある。NGO、NPOなどの知恵も参考にしていくことが必要。
- マテリアリティの観点から見ると、矛盾していく事業、スローダウンすべき事業、将来的にやめる事業、の議論を始める必要がある。マテリアリティから将来図のガイドラインのイメージにつなげていけるようにしたい。
- 顧客の困りごとの解決に重点を置くという今までの当社のビジネス創造から視野を広げ、世界的に問題となっている社会課題からビジネスを創造するという発想への転換ができるよう、社員の意識を変えていく必要がある。その成功体験のクイックヒットの積み重ねがプラススパイラルになるだろう。
- 表現を丸くするとぼやけてしまい、結局何もしないのではないかという印象になってしまうため、尖った表現でイノベーティブなものを採用するべき。
- 従業員にとっては、個別のテーマに絞りすぎてしまうと次の展開が難しいが、大括り過ぎると何をやっていいのか分かりにくい。実際に行動する従業員が行動に移しやすいまとめ方が必要だと思う。
4. マテリアリティの特定
2018年3月末に開催されたCSR推進委員会※(現:サステナビリティ推進委員会)にて議論の上、承認。取締役会で取締役・監査役への説明および報告を実施。
※2018年当時の参加メンバー
社長、副社長、CSO、CFO、営業本部CEOなど
アドバイザーとして社外取締役2名も参加
5. KPIの設定
- 特定したマテリアリティに対して進捗度を確認するため、2020年にKPIを設定。
- KPI 設定にあたっては各営業本部の方針に、社会課題解決のアプローチを反映させるべく、営業本部CEOを含む各本部との議論を重ねる。さらに、サステナビリティ推進委員会において経営層、社外取締役と議論を行い、意見を反映。
- 当社の目指すべき方向性を表すものとして、定量/定性目標を設定。
6. 取り組み
- マテリアリティの要素を各営業本部の事業戦略に反映。
- 気候変動対策の取り組みを加速するべく、2021年4月に専門組織カーボンニュートラル推進タスクフォースを立ち上げ。2022年4月にはカーボンニュートラル推進部を組成。
7. 進捗レビューおよび内容の見直し
- サステナビリティ推進委員会で、営業本部CEOから各本部における進捗状況を報告。
- 変化する国際社会の動向やニーズ、当社グループの環境変化、PDCAを回す中で出た課題などを踏まえて、定期的にレビューを行いマテリアリティやKPIを適宜見直しを実施。
KPIの見直し
定量KPIの目標値についてはサステナビリティ推進委員会での進捗確認や議論の結果を反映し、毎期見直しを実施しています。