サプライチェーン

基本的な考え方

グローバルに多様な事業を展開する豊田通商グループにおいて、サプライチェーンを守り抜くことは、企業理念「人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指す」に通ずるとともに、経営の土台となる基本的な考え方です。

豊田通商グループでは、「サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」を策定し、サプライヤーへ周知するとともにその実践をお願いしています。また、デューデリジェンスを通じてリスクアセスメントと課題把握に努め、課題が確認された場合はサプライヤーとの対話を通じて改善に取り組んでいきます。
今後も、サプライヤーと共に人権、労働環境、自然環境に配慮したサステナブルなサプライチェーンの構築に向けて取り組みを推進していきます。

豊田通商グループサプライチェーン・サステナビリティ行動指針

I. サプライチェーン・サステナビリティ行動指針

  1. 1人権の尊重
    • 「豊田通商グループ 人権方針」を理解、支持し、実行に努める。
    • 従業員の人権を尊重し、虐待、体罰、ハラスメント等の非人道的な扱いを行わない。
  2. 2強制労働・児童労働・不当な低賃金労働の防止
    • いかなる形態の現代奴隷も認めず、強制的な労働を禁止し、すべての労働は自発的であり、従業員が自由に離職できる権利を保証する。
    • 子どもから教育機会を奪い、その発達を阻害するような早い年齢から仕事をさせる児童労働を認めない。
      就労可能年齢は、15歳、各国該当法令等による就労最低年齢または義務教育終了年齢いずれか最高のものとする。
    • 18歳未満の従業員を危険有害業務に使用しない。
    • 従業員の労働時間(超過勤務を含む)・休日・休暇を適切に管理し、過度な長時間勤務の削減に努める。また、不当な賃金減額を行わず、各国労働法令を遵守した最低賃金を上回る賃金の支払いを行う。
    • 職業訓練や見習については、各国該当法令等が認めている範囲のみで就労可能とする。
  3. 3差別の撤廃
    • あらゆる雇用の場面において、性別、年齢、国籍、人種、皮膚の色、民族、宗教、性的指向、障がい、政治的見解等を理由とした差別を行わない。
  4. 4結社の自由の尊重
    • 従業員が自由に結社する権利または結社しない権利を、事業活動を行う国の該当法令等に基づいて認める。
    • 従業員が経営層へ、報復、脅迫や嫌がらせをおそれずに、オープンで直接コミュニケーションできる権利を保証する。
  5. 5労働環境の整備
    • 従業員の安全と健康の確保を最優先とし、安全で衛生的かつ健康的な労働環境の提供に努める。
  6. 6公正な取引および腐敗防止の徹底
    • 関係法令および国際的なルールを遵守し、公正な取引および腐敗防止を徹底する。
  7. 7品質・安全性の確保
    • 商品やサービスの品質・安全性を確保する。
  8. 8地球環境への配慮
    • 「豊田通商グループ 環境方針」を理解、支持し、実行に努める。
    • 環境マネジメントシステムの構築により環境保全活動を実施し、見直し、創造性を発揮することにより継続的改善を目指す。
    • 温室効果ガスの排出量削減を推進し、カーボンニュートラルを実現することで、気候変動へ最大限配慮する。
      省資源、省エネルギーを行い、利用効率を高める。
    • 水の有効活用と水ストレス地域での水使用量を削減する。
    • 環境汚染の予防・軽減に取組む。
    • 各国・地域の法令を遵守し、廃棄物の適正処理、有効利用、資源保護を積極的に推進し、循環型経済社会の実現に寄与するとともに、廃棄物削減に取り組む。
    • 生物の多様性が企業活動の存続の前提であるとの認識に基づき、人と自然が共生する 持続可能な社会の実現に取り組む。
    • 森林保全に配慮し、森林資源の持続的可能な形での利用を目指す。
  9. 9地域コミュニティへの貢献
    • 地域社会の権利と生活を守るとともに、地域コミュニティの一員として地域に貢献する。
  10. 10情報開示
    • 上記に関する情報の適時・適切な開示を行う。

II. モニタリング

本指針の遵守状況を把握するため、サプライヤーとのコミュニケーションを深め、サプライヤーに対する定期的な調査を実施させて頂きます。また活動地域や事業内容から、必要と判断される場合には、サプライヤーを訪問し活動状況の確認を行わせて頂きます。

III. 遵守違反への対応

本指針に反する問題が発生した場合は、迅速にご報告いただくとともに、改善に取り組んで頂くようお願い致します。万一、適切な改善の取り組みがなされない場合には、取引見直しを検討させて頂きます。

サプライチェーン・サステナビリティ行動指針の周知

サステナビリティについてサプライヤーと共通認識を持ち、その取り組みにおいて協調し、互いの持続可能な成長を実現するために、 2012年に「サプライチェーンCSR行動指針」を制定しました。
また、近年の人権や環境への問題意識のさらなる高まりを受け、サプライヤーとの共通認識をより明確にするため、2019年および2022年に同行動指針の改定を実施しました。
2022年の改定では主に人権や環境に関する豊田通商グループの考え方をより明確にするとともに、名称を「サプライチェーン・サステナビリティ行動指針」に改めました。その内容は取締役会に報告しています。
2022年の改定に合わせ、豊田通商および国内・海外連結子会社のサプライヤー約6,000社へ、本行動指針をあらためて周知するとともにその実践をお願いしました。本行動指針の内容は今後も外部環境の変化に応じて適宜見直していきます。

契約書へサステナビリティ条項を追加

当社は2022年6月に売買基本契約書のひな型にサステナビリティ条項を追加しました。サステナビリティ条項は、取引先に対しサプライチェーン・サステナビリティ行動指針に沿った当社の人権方針、環境方針、生物多様性ガイドラインの遵守を求める内容で、本契約書の活用を進めていきます。

投融資事前審査

投融資の際には、その事業が環境及び社会に及ぼす影響を調査しています。

サプライチェーン調査

世界中に広がるサプライチェーンを構築する豊田通商グループでは、サプライチェーン全体における人権、労働安全衛生、環境などのリスクに配慮した事業活動を推進していくため、豊田通商グループサプライチェーン・サステナビリティ行動指針を日本語・英語・中国語に翻訳し、多言語対応を行い、取引先と共有するとともに、サプライチェーン・マネジメントの一環として、アンケート調査や訪問調査を行っています。

サプライヤーの皆様において、当社行動指針の内容に関して違反のあった場合は現状及び原因を把握し、是正勧告や解決策の提示を行うなど、引き続き理解と遵守をお願いしていきます。

当社事業におけるサプライチェーン上のリスクがある事業分野および国・地域の特定。

豊田通商サプライチェーン・サステナビリティ行動指針に基づいてアンケート調査を実施。

アンケート調査を実施したサプライヤーの中から数社を訪問、人権、労働安全衛生面を中心に現地確認。

アンケートおよび訪問調査の結果を確認

行動指針に違反するサプライヤーには理解と遵守を求め、共に向上していく。改善が望めない場合には取引停止も検討。

サプライチェーンを対象とした人権デューデリジェンス

国連が定める「ビジネスと人権に関する指導原則」を参照し、社内外専門家の意見を踏まえて、サプライチェーンを対象とした人権デューデリジェンスを進めています。サプライチェーン上のリスクアセスメントを行い、リスクが高い分野・地域のサプライヤーに対してはアンケート調査、および第三者専門機関による現地実査を実施し、人権への負の影響の特定やその防止、軽減に努めています。

2024年3月期には、当社グループのサプライヤー約6,000社を対象にリスクアセスメントを行い、人権リスクが高い分野・地域のサプライヤー約250社を特定しました。
2024年7月時点で、約250社へ順次アンケート調査を進め、うち4社への現地実査を完了しています。
現時点で、直ちに対応を要する深刻な人権課題は特定されていませんが、現地実査では、安全衛生管理などの観点で懸念事項を確認しました。確認された懸念事項については、サプライヤーによる迅速な改善措置や対応策を確認しており、今後もサプライヤーとの対話を通じた、改善対応を進めていきます。

〈主な調査項目〉
1. 強制労働の禁止 6. 非人道的な扱いの禁止
2. 児童労働の禁止 7. 適切な労働時間の管理
3. 安全で衛生的な労働環境の提供 8. 適切な賃金の確保
4. 従業員の団結権および団体交渉権の尊重 9. 公正な取引と腐敗防止の徹底
5. 差別の禁止 10. 責任ある調達

サプライチェーンを対象とした環境デューデリジェンス

人権デューデリジェンスと同様に、環境デューデリジェンスについてもサプライチェーンを対象とした取り組みを開始しています。2024年3月期は、環境に関する当社の考えを周知するため、国内のサプライヤーに対して当社環境方針についての説明会を開始しました。今後、説明会の対象サプライヤーを増やすとともに、リスクの高さに応じた現地実査を進めていきます。

-2016年3月期の取り組み サプライチェーン調査レポート-

人権リスクが高い分野のアパレル産業のサプライヤーへアンケート調査、および現地実査を実施しました。
調査の結果、直ちに対応を要する深刻な人権課題は見つかりませんでした。

〈人権に関する取り組みの確認〉

採用の際にIDで年齢を確認して18歳以上を雇用するなど、人事担当者が法令遵守に努めていることや、産休や時短勤務の制度もあり、従業員のワークライフバランスにも配慮していることを確認しました。

〈安全に関する取り組み〉

裁断機を使用する際に、ケガ防止のため金属手袋の装着が義務付けられ、従業員の安全に配慮していました。また、品質管理では、不良品が出た場合は製品を回収し、品質会議を開催して原因特定の上、顧客に報告していることを確認しました。

〈環境に関する取り組み〉

オフィスや工場内はきれいに清掃され、倉庫内も整理整頓が行き届いていました。型紙や裁断から出る紙や生地の切れ端はリサイクルに使用されるなど、環境面でも取り組みを実施していることを確認しました。

グリーバンスメカニズム

サプライチェーンを対象とした通報窓口

当社は国連 「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠して「対話救済プラットフォーム」を提供する、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員として加盟しています。サプライチェーン上のあらゆるステークホルダーを対象に、国際行動規範、各国の国内規範等への違反もしくは、違反を疑われる案件に対する通報を受け付けています。第三者窓口を介して苦情を受け付けることで、苦情処理の公平性・透明性を図ると共に、従来以上に対話・救済の促進に繋げ、人権における本質的な課題解決に取組みます。尚、通報受付は通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を確保します。

JaCERを通じて対応した通報は、JaCERホームページ上で通報内容および状況等を匿名にて定期的に情報開示します。

サステナビリティに関する問い合わせ窓口の設置

ご意見・ご要望について、当社ウェブサイト上の問い合わせ窓口より受け付ける仕組みを構築しています。 いただいたご意見・ご要望は、専門組織を通じて、社内関係部署に共有され、課題解決に向けた取り組みにつなげています。

関連リンク

教育・研修・意識啓発

サプライチェーンマネジメントの教育・研修・意識啓発

当社では全社員が購買に携わる可能性があるため、全社員を対象にe-learningを実施しています。2019年にはサプライチェーン全体での環境や人権への配慮についての社員の意識向上のため、サプライチェーンマネジメントに関するe-learningを全社員向けに実施し、単体社員3,000名以上が受講しました。2020年には当社の人権方針及び人権尊重に関する内容も含めたサステナビリティ全体のe-learningを行い、単体社員約3,100名が受講しました。2022年には海外連結子会社のサステナビリティ担当者向けに、当社のサステナビリティ活動及びサプライチェーン管理について説明会を、一部の連結子会社では人権に関する勉強会を開催しました。2023年にはサプライチェーンを対象とする人権デューデリジェンスを進めるにあたり、事前に人権デューデリジェンスに関するe-learningを全社員向けに実施し、単体社員約3,100名が受講しました。

サプライヤーへの研修については、サステナビリティ推進室より営業担当者に対して社会問題や環境問題に関する研修を行った上で、営業担当者よりサプライヤーへ当社のサプライチェーンサステナビリティ行動指針や環境方針についての勉強会を順次開催しています。
安全推進については、安全・環境推進部が当社グループ会社の豊田スチールセンター㈱内に設置している「安全体感道場」を当社グループ会社だけでなくサプライヤーにも受講いただき、サプライチェーン全体での労働災害撲滅に取り組んでいます。

外部との協働

ノバアグリにおける取組み

当社グループ会社で穀物集荷・インフラ事業を展開するノバアグリ(ブラジル)では持続可能な穀物調達を目指しています。
サプライチェーン全体での持続可能性を確保するために、リモートセンシング技術や地理情報システムを用いて集荷する穀物が生産される農地のモニタリングに努めるとともに、自社の農家データベースと政府系機関などが公表する環境違反に関する情報を照合し、サプライヤーを厳選しています。

大豆モラトリアム(Moratória da Soja)への加盟

ノバアグリはブラジルの植物油工業会と穀物輸出協会が立ち上げたアマゾンバイオームの違法伐採地域からの調達を行わないというイニシアチブMoratória da Sojaに穀物輸出協会メンバーとして参加し、その中で高い評価を得ています。

2BSvs認証の取得

2BSvs認証はサステナブルなバイオマス・バイオ燃料に関する欧州基準の認証です。
ノバアグリは2022年5月に2BSvs認証を取得し、環境に配慮して生産・集荷した穀物として販売しています。

認証取得の主要条件、管理項目は下記の通りです。

  • アマゾン保護エリア(先住民居住区含む)から10㎞圏内の農家であること
  • 上記大豆モラトリアム(Moratória da Soja)や強制労働等のルールに準拠していること
  • 栽培に使用される除草剤、殺虫剤、殺菌剤、種子、肥料、ディーゼル、使用電力の履歴報告

持続可能なパーム油の調達

2015年5月にRSPO「持続可能なパーム油のための円卓会議」に加盟し、会合や説明会に参加するなど環境への影響に配慮した持続可能なパーム油の調達を推進しています。

フェアトレードに関する取り組み

開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す貿易の仕組みとして、フェアトレードの認証コットンを使用したユニフォーム供給に取り組んでいます。