人事面の取り組み

人事理念

人事理念

豊田通商では、経営戦略の実現を目指し、過去や固定観念にとらわれることなく、現地・現物・現実に立脚の上、全体最適の視点で共鳴・協働し、より良い未来に向けて進化をリードする社員を採用し、育成し、処遇します。

グローバルでのビジネス展開に際し、人権および自由を尊重し、確保することを謳う「世界人権宣言」および国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持し、グローバル行動倫理規範(COCE)において人権尊重を明示し、人権への配慮を重視しています。また当社は、事業を行う地域・国の持続可能な発展への貢献を最大化するというISO26000の考え方に賛同し、現地雇用や現地調達を通じた人財育成や地域社会・経済の活性化を通じ、地域社会との共存共栄に努めるとともに、強制労働・児童労働・不当な低賃金労働の防止を定め、不適切な雇用の撲滅や各国労働法を遵守した最低賃金を上回る賃金の支払いに努めています。なお、事業所の閉鎖等のやむを得ない場合、配置転換や近隣地域の他グループ会社への転籍を検討するなど雇用の維持を最優先に考えております。やむを得ず解雇等の措置を講じる必要が生じた際には、各国の労働法を遵守徹底し、従業員との十分かつ誠実なコミュニケーションに努めてまいります。

一方、経営戦略としてダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進し、柔軟で生産性の高い働き方への改革に取り組むなど、多様な社員がいきいきと働ける人を活かす環境整備を進めています。そして、グローバル規模で事業創造ができる人財、グローバルトップと伍して渡り合える経営人財の育成に注力するとともに、地域コミュニティでの職業訓練機会の提供等により、社内外で社会に有用かつ貢献する人づくりに積極的に取り組みます。

Point1:社員がいきいきと働くことができる職場環境づくり

会社と社員が共に持続的に成長できるよう、社員の働き甲斐、豊かさを実現するための制度や、職場環境の整備を進めていく必要があり、さまざまな施策を構築しています。

Point2:恒常的・自律的に改革・改善を促進する仕組みづくり

社員自らが考え、また、たゆまない改革・改善意欲をもって、自発的に行動を起こせるようにすることが会社の責務と捉えています。その行動を促す仕組みや制度づくりを行っています。

Point3:グローバルな経営環境への好奇心を持ち、その変化に柔軟、誠実にスピード感をもって対応できる人財の育成

経営を取り巻く環境は目まぐるしく変化していきます。その中にあっても、事業機能の強化に努め、誠実な事業活動を速やかに推進することのできる人財を育成します。

Point4:組織としての全体最適を目指したチームワークの促進

個を尊重するとともに、多様性を受容することを通じて、全体最適を目指すことができる組織づくりを行っています。全体最適を目指すためには、チームワークを促進していく必要がありますが、そのためには、お互いを尊重し合うことのできる企業文化・風土であること、タテ・ヨコ・ナナメのコミュニケーションが十分に取れていることが重要と考え、このような企業文化・風土を醸成する仕組みづくりを行っています。

関連リンク

人事制度

1.基本的な考え方

多様な人財・働き方を前提とした等級制度、社員の成長を促す公正な評価・昇格制度、成果に基づいた報酬制度の運用に努めています。

豊田通商は、採用から教育、考課、異動など、人事に関する全ての取り組みで、「人財育成」と「組織躍動」を2つの柱に据え、多様性に富むグローバル7万人の社員の育成・活躍の後押しを通じて、豊田通商ならではの事業を生み出す人財を輩出します。

そのために、人事のベースとなる等級制度や評価・昇格制度、報酬制度、人事異動において、社員一人ひとりが持つ知識やスキルなど潜在的・顕在的な能力を十分に発揮できる環境を目指します。そして、組織の目標達成や価値創造に最大限貢献し、豊田通商の企業価値の向上の実現を図ります。

等級制度は、2025年度の人事制度改定により、各職掌の期待役割を明確にすると共に、新たな活躍のフィールド(キャリアの選択肢)を拡充しました。
キャリアパスに応じ、個人が最も輝ける場所で成果を出すことによって、会社の成長につなげていくことが狙いです。

評価制度では、毎年の達成度を評価し今後のアクションを明確化することで「人財育成」を促進し、考課決定プロセスの各段階で調整会議を設けて、複数の視点による「公正な処遇」を実現しています。

報酬制度は、等級に基づき決定される給与と、業績及び個人評価によって決定される賞与によって設計されています。賞与については、社員一人ひとりが自らを高め続け、取り組んだ行動や成果に公平公正に報いることを目的に、業績連動型賞与を採用しています。

また、豊田通商は全従業員向けに持株会制度を運用、毎月の給与および賞与から一定額を拠出し、自社株式を購入することができます。さらに、当社では拠出金に対して一定額の奨励金を設けることで、持株会の入会を促進しています。この持株会制度は、会社経営に対する従業員の参画意識を高めることに貢献し、株価の上昇や社員の資産増加を通じて従業員の定着を促進します。2025年6月時点の単体会員数は2,490名、加入率68.7%です。

人事考課においては、毎年期初にMBO(目標管理)研修、期末にアセスメント研修を実施し、明確な目標設定の合意と成長に寄与するフィードバックの質向上実現に取り組んでいます。1年を通して4回の必須面談(期初・中間・期末・評価フィードバック)を実施し、さらに1on1等、日頃からの丁寧なコミュニケーションを通じた、評価者と被評価者間の信頼関係構築に重きを置いています。加えて、全評価対象者に向けて評価フィードバックに関するアンケートを毎年実施し、その内容をMBO・アセスメント研修へ反映することで、評価者と被評価者間のコミュニケーションの質の向上に努めています。さらに、2023年度からはライン長を対象に多面(上司・部下)フィードバックを実施し、自身のマネジメントスタイルについて客観的な情報を得ることで、マネジメントの質向上の機会としています。

また、2023年度よりタレントマネジメントシステムを導入し、キャリア目標と成果目標の両方を意識した目標設定が可能になりました。
2025年度からは、より自分のキャリアの解像度を上げることを狙いとした新しいキャリア目標設定フォーム「MCV(マイキャリアビジョン)」を運用し、本人が望むキャリアの実現に向け、会社全体でのサポート・機会提供を実施していきます。また、この情報を一元管理することで、社員の人財育成、自律的成長を促す異動・配置などへの活用を進めてまいります。
成果目標に関しては、各組織の方針・目標を踏まえ個人目標に落とし込み、進捗を管理することによって各組織の目標達成を目指しています。また、マネジメント職と一部アソシエイト職に対し、「組織力最大化への貢献」に関する項目を含めることを必須としています。人財育成や組織開発等を評価対象としており、人や組織をより良く・より強くするための一人ひとりによる主体的な取り組みを促進しています。

2.チャレンジローテーション

社員の意欲や自律的成長をできる限り尊重した異動を推進するための制度です。

一定の要件を満たした社員は、異動希望先での前向きかつ具体的なプランと異動希望部署を申請し、希望先との面談を経て、双方のニーズが合致した場合、現部署の意向に関わりなく異動をすることができます。

豊田通商では、社員の異動希望を踏まえ人事がアレンジする「チャレンジローテーション」と、組織の受け入れニーズに対し社員が申し込み、組織とのマッチングを図る「チャレンジポスト」を設けています。グローバル職社員だけではなく、シニア社員がこれまでの経験を活かし新しい環境で活躍する場の提供や、地域限定職社員の拠点異動を伴うポストへの挑戦を支援しています。

2024年度は同制度を通じ、計54件の利用申請中25名の異動が成立しました。

3.表彰制度

多様な視点に基づいて企業ビジョンの実現に貢献した組織・個人を表彰しています。

表彰式の様子
表彰式の様子

高い成果や貢献を遂げた案件には「本部優秀賞」が授与され、さらにその中から「本部最優秀賞」、「副社長賞」・「社長賞」が選出されます。

2023年度の「社長賞」案件である「道北における風力発電のための送電事業」は、北海道北部の1市5町にまたがる広範なエリアで実施されました。併設されている蓄電池の容量は720MWhと、日本最大規模を誇ります。本事業は5年にわたり78kmの送電線を建設し、工事関係者約600名、開発を含めて約700名が関与しました。この人員の出入りにより、地域経済の活性化にも大きく寄与しています。本案件は、送電網の完成により約540MWの新規風力発電が可能となり、新たに9発電所、風車127基の設置が実現します。これにより、再生可能エネルギーの普及を大きく後押しした点が高く評価されました。

また従業員の資格取得を奨励するため、従業員を表彰するとともに、取得した資格に応じて表彰金を支給しています。これにより、従業員の自律的な能力開発と資格取得を積極的に支援しています。

人財育成

1.基本的な考え方

豊通の成長エコシステム

急速に変化するビジネス環境において、当社が今後拡大を目指す事業領域(社会課題解決、環境課題解決)への価値創造のためには、社員が新たな成長を目指すことが不可欠です。「豊通の成長エコシステム」は、豊田通商DNAとラーニングアジリティを基盤とした社員一人ひとりの成長を原動力に、組織や会社の成長を促進し、顧客や社会への価値提供につながる仕組みです。

社員は顧客の課題解決に現地現物で自ら挑む中で、実践的な経験を通じてタグをつくり、次の目標や社会課題解決のために成し遂げたいこと(志)が生まれ、新たな仕事や役割を担う機会を得ます。このように等級・年齢に関わらず主体性と挑戦からは一段上の成長が促進されます。「豊通パーソンらしい成長サイクル」は、これらの成長プロセスをモデル化したもので、育成体系の基盤となっています。

豊田通商は、この成長エコシステムを通じて、未来のビジネス価値を創造し、より良い社会の実現に貢献しています。

成長エコシステムの図

2.教育・研修

自律的キャリア形成の考え方に基づく研修体系

当社では、社員がキャリアを自律的に捉えることが社員自身の成長に最も貢献するとともに、会社の成長にとっても重要であると考えています。そうした社員の自律的なキャリア形成の考え方を基に、キャリア形成支援やビジネススキル、リーダーシップ等をテーマした豊富な研修コンテンツを提供しています。これらは等級・役職によらず自由に選択し、受講することできます。グローバル共通で経営人財/リーダーを養成する研修のほか、異文化理解を始めとした海外赴任者向け研修、マーケティングやデジタルリテラシー等の共通スキル系研修を実施しています。

これらの研修は、一人ひとりの課題感に応じて選択でき、どこからでも受講可能なオンライン研修等、社員のニーズに応じて様々な形式で提供しています。

グローバルかつ本部横断で活躍できる人財の育成にも継続して力を入れています。

  • GALP(Global Advanced Leadership Program)

    社内で最高峰に位置するGALPは、海外の一流のビジネススクールと提携し、グローバル市場における当社の存在意義とありたい姿や自身のリーダーシップについて、世界中から選抜された次世代経営者候補で議論する約半年に渡るプログラムです。アクションラーニングとして、個人の志の深掘りと、グループでの次世代経営戦略の提言を行い、志高く多文化の中で活躍できるグローバルリーダーの育成に取り組んでいます。実際、GALP過去受講者の30.6%が当社が定める連結経営上重要なポスト(グローバルポスト)で現職を務めています(2024年11月時点)更に新たな取り組みとして、過去受講者を対象に「アルムナイ活動」として、イノベーションを基軸とした情報交換の場を設定し、継続的なグローバルネットワークの構築にも尽力しています。

  • HCP(Hybrid Communication Program)

    多様な人・組織のマネジメントにおいて、リーダーシップやコミュニケーションのあり方にも変化が求められるマネジメント層に対して、メンバーの個性・強み・育成段階に応じた多様なコミュニケーションスキルを習得するプログラム、HCPを提供しています。マネジメントがリーダーとしての在り方、自身のスタイルを見つめなおすことで、メンバー一人ひとりとの対話が主体的なアクションを促し、強い個と強い組織を実現します。プロフラムを通じて、マネジメント同士のネットワークが強固になり、職場での取り組みも促進され、エンゲージメントや組織風土の向上にもつながります。2024年末時点で累計478名が受講修了し、社員エンゲージメントの高い上位50組織のマネジメント層は、約7割が本プログラムを受講しています。

  • 海外実習生派遣

    豊田通商では、若手グローバル職社員に対して入社8年目までに1年間の海外実習生としての駐在経験を提供しています。この取り組みの目的は、若手社員が早期に海外経験を積むことで、国際的な視野を開き、キャリア形成の幅を広げることです。多様な文化やビジネス環境に触れることで、柔軟な思考や問題解決能力を養います。実際、2024年度時点で対象の77.5%が海外駐在を経験し、当社の成長を支えています。

    入社8年目の海外経験※率:77.5%(グローバル職社員,直近3年間の平均)
    ※海外経験:海外駐在員、実習生、語学研修生等

  • 海外語学研修生

    海外現地の言葉や文化を深く理解し、その地域に根差したビジネスを推進できる人財を育成するため、若手グローバル職社員を対象に、海外語学研修生制度を設けています。
    同制度では、フランス語、中国語、スペイン語、ポルトガル語、アラビア語 等の第二外国語の基礎を国内の語学スクールで学んだうえで、現地の大学/語学教育機関で1年間の語学学習を行います。語学はもちろん、現地の文化・風土や商習慣にも習熟するプログラムで、社員のキャリア開発やジョブローテーションの活性化にも役立っています。

海外語学研修生の派遣国と派遣者数(豊田通商 単体)

2021年度 派遣国:フランス3名(合計3名)

2022年度 派遣国:フランス1名(合計1名)

2023年度 派遣国:フランス2名 ブラジル1名(合計3名)

2024年度派遣国:フランス2名 ブラジル1名 中国1名(合計4名)

2025年度派遣国:フランス1名 ブラジル1名 中国1名(合計3名)

社員の能力開発に関する時間/費用(2025年3月期)
総研修時間 総研修費用 社員一人当たり平均研修時間 社員一人当たり研修費用
116,417時間 6.5億円 35.8時間 20万円

集計範囲:豊田通商(株)
※上記のうち、人事部主催の全社研修については下記参照