豊田通商のサステナビリティ

サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)

豊田通商は経営戦略に基づき注力する社会課題を明確にするために、「企業理念」「Global Vision」の実現に向けて意識すべき重要課題(マテリアリティ)を特定しています。

また、2020年以降は特定したマテリアリティに対してKPI(重要評価指標)を設定し、その進捗度を確認することで活動を推進しています。

KPI 設定にあたっては各営業本部の方針に、マテリアリティやSDGsを基にビジネスを通じた社会課題解決のアプローチを反映させるべく、各本部CEOを含む営業本部との議論を重ねました。さらに、サステナビリティ推進委員会において経営層、社外取締役と議論を行い、意見を反映させました。豊田通商グループの目指すべき方向性を表すものとして、各マテリアリティについて象徴的なテーマに定量目標、定性目標を設定しました。

また、当社のマテリアリティは不変のものではなく、変化する国際社会の動向やニーズ、当社グループの環境変化などを踏まえてサステナビリティ推進委員会で定期的にレビューを行い、適宜見直しを実施しています。

マテリアリティKPIについても同様に見直しを行っており、2021年度のサステナビリティ推進委員会では2021年7月に公表したGHG排出削減目標を新たにマテリアリティKPIとして進捗管理していくことが承認されました。

社員一人ひとりが社会課題の解決を意識しながら業務に取り組むことを推進するために、社員の評価指標の一つに「地域・社会・未来への貢献」を導入しています。また、トピックスがある年度は、先進企業の取り組みを学ぶため、当該企業からサステナビリティ部門の方をお招きし、経営層および社員向けに講演会を開催、単体だけでなく国内連結子会社の社員も参加しています。さらに、新入社員やキャリア入社社員向けにもサステナビリティやマテリアリティの研修を毎年実施し、その重要性を伝えています。

豊田通商グループのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)

策定プロセス

1. 課題の抽出

  • 国際的な社会課題を網羅していると考えられるSDGsの17のゴール、169のターゲットを軸として、CSRやESGに関するガイドライン(GRIスタンダード、ISO26000、国連グローバル・コンパクト、FTSE、MSCI等)、トヨタ環境チャレンジ2050等の各ガイドラインから当社に影響のある社会課題を抽出し、整理。
  • 整理した社会課題が当社企業理念、行動指針、Global Vision、中期経営計画に合致しているか照合し、43個の社会課題を抽出。

2. 優先順位付け

抽出した43個の社会課題に対し社内外のステークホルダーとの対話やアンケートを通じて、当社への期待・要望、当社にとっての重要性の優先順位付けを行い、マテリアリティマトリックスを作成。

マテリアリティマトリックス

ステークホルダー

  • 社内: 営業本部ヒアリング、豊田通商全社員・国内関連会社CSR担当者・海外現地スタッフ向けアンケート
  • 社外: 国内機関投資家ヒアリング、一般個人投資家アンケートなど

絞り込み

マテリアリティマトリックスで社内外から重要性が高いとされた社会課題を中心にマテリアリティ案を作成。

なお、マテリアリティに言及されていないものは会社として取り組まないという位置付けではなく、当社が特定するマテリアリティは「最重要」として優先して取り組むべき課題と整理。

3. 妥当性の確認

特定プロセスおよびマテリアリティ案について、妥当性を確認。

議論の参加メンバー

  • 経営層、各営業本部長(現営業本部CEO)で議論。
  • 社外取締役へ個別ヒアリング。

参加メンバーから出た主な意見

  • きちんとプロセスを経ながらマテリアリティを作成している点を評価する。
  • 国家や政府だけで何でもできる時代ではなくなっている。社会が変わっていく必要があり、当社もシステムや制度を変えていくことを意識する必要がある。NGO、NPOなどの知恵も参考にしていくことが必要。
  • マテリアリティの観点から見ると、矛盾していく事業、スローダウンすべき事業、将来的にやめる事業、の議論を始める必要がある。マテリアリティから将来図のガイドラインのイメージにつなげていけるようにしたい。
  • 顧客の困りごとの解決に重点を置くという今までの当社のビジネス創造から視野を広げ、世界的に問題となっている社会課題からビジネスを創造するという発想への転換ができるよう、社員の意識を変えていく必要がある。その成功体験のクイックヒットの積み重ねがプラススパイラルになるだろう。
  • 表現を丸くするとぼやけてしまい、結局何もしないのではないかという印象になってしまうため、尖った表現でイノベーティブなものを採用するべき。
  • 従業員にとっては、個別のテーマに絞りすぎてしまうと次の展開が難しいが、大括り過ぎると何をやっていいのか分かりにくい。実際に行動する従業員が行動に移しやすいまとめ方が必要だと思う。

4. マテリアリティの特定

2018年3月末に開催されたCSR推進委員会(現:サステナビリティ推進委員会)にて議論の上、承認。取締役会で取締役・監査役への説明および報告を実施。

5. KPIの設定

  • 特定したマテリアリティに対して進捗度を確認するため、2020年にKPIを設定。
  • KPI 設定にあたっては各営業本部の方針に、社会課題解決のアプローチを反映させるべく、営業本部CEOを含む各本部との議論を重ねる。さらに、サステナビリティ推進委員会において経営層、社外取締役と議論を行い、意見を反映。
  • 当社の目指すべき方向性を表すものとして、定量/定性目標を設定。

6. 取り組み

  • マテリアリティの要素を各営業本部の事業戦略に反映。
  • 気候変動対策の取り組みを加速するべく、2021年4月に専門組織カーボンニュートラル推進タスクフォースを立ち上げ。2022年4月にはカーボンニュートラル推進部を組成。

7. 進捗レビューおよび内容の見直し

  • サステナビリティ推進委員会で、営業本部CEOから各本部における進捗状況を報告。
  • 変化する国際社会の動向やニーズ、当社グループの環境変化、PDCAを回す中で出た課題などを踏まえて、定期的にレビューを行いマテリアリティやKPIを適宜見直す。

<KPIの見直しを実施>

マテリアリティおよびマテリアリティKPIについては、サステナビリティ推進委員会にて、定期的に環境変化を踏まえて妥当性を確認し、必要があれば見直しを実施しています。
2023年12月のサステナビリティ推進委員会にて、外部環境変化に合わせたKPIの見直しについて議論を行い、KPIの一部を変更することとなりました。
変更したKPIの内容は下記の通りです。

マテリアリティ 現KPI 新KPI 変更理由
クリーンエネルギーや革新的技術を活用し、自動車/工場・プラントCO2を削減することで、脱炭素社会移行に貢献 再生可能エネルギー事業の総発電
容量
再生可能エネルギーの比率だけではなく、社会的インパクトを表すため総発電容量のKPIを追加
リチウム生産量 これまで、リチウム生産量は「省エネ・CO2排出量削減に貢献する製品・サービスの収益(売上)」の中に含めていたが、リチウム生産量の社会的重要性を鑑み個別のKPIとして設定。
アフリカをはじめとした開発途上国と共に成長し、事業を通じて社会課題の解決に取り組む アフリカ本部の収益(売上) 【モビリティ】アフリカにおける
電動車販売台数
これまでアフリカ本部の収益をKPIとしていたが、さまざまビジネスを通じた社会課題解決に繋がる取り組みを表すため、新たなKPIを設定。
【ヘルスケア】アフリカにおける
医薬品の収益(売上)
【インフラ】アフリカにおける
再生可能エネルギー事業総発電容量
【雇用創出】アフリカにおける
雇用者数

KPI一覧

マテリアリティ KPI
交通死傷者ゼロを目指し、安全で快適なモビリティ社会の実現に貢献 定量面
  • 交通死傷者ゼロにつながる製品・サービスの収益(売上)
定性面
  • 交通死傷者ゼロにつながる取り組みの推進
  • 安全で快適なモビリティサービスの展開
クリーンエネルギーや革新的技術を活用し、自動車/工場・プラントCO2を削減することで、脱炭素社会移行に貢献 定量面
  • 当社総発電容量のうちの再生可能エネルギー比率
  • 再生可能エネルギー事業の総発電容量
  • 省エネ・CO2排出量削減に貢献する製品・サービスの収益(売上)
  • リチウム生産量
  • 当社の世界での電動車の販売台数比率
  • 当社GHG排出量:2050年までにカーボンニュートラル
廃棄物を資源化することで、モノづくりを支え、循環型社会に貢献 定量面
  • 金属分野における資源循環ビジネスの取扱量
  • プラスチックリサイクル取扱量
定性面
  • 循環型社会に向けた取り組みの推進
アフリカをはじめとした開発途上国と共に成長し、事業を通じて社会課題の解決に取り組む 定量面
  • 【モビリティ】アフリカにおける電動車販売台数
  • 【ヘルスケア】アフリカにおける医薬品の収益(売上)        
  • 【インフラ】アフリカにおける再生可能エネルギー事業総発電容量
  • 【雇用創出】アフリカにおける雇用者数
定性面
  • アフリカをはじめとした開発途上国における新規投資の推進
安全とコンプライアンスの遵守をビジネスの入口とし、社会に信頼される組織であり続ける 定量面
  • 休業災害度数率「ゼロ災害」を目指す
定性面
  • 労働安全に関する仕組みの構築
  • コンプライアンスの徹底
  • 内部統制の強化
  • 情報セキュリティの対策強化
人権を尊重し、人を育て、活かし、「社会に貢献する人づくり」に積極的に取り組む 定性面
  • 人財の開発
  • 健康経営の推進
  • DE&Iの推進
  • 適所適材・適材適所への取り組み
  • 人権の尊重
  • 積極的な社外活動