サステナビリティについての考え方

豊田通商は「人・社会・地球との共存共栄を図り、豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指す」という企業理念を、「恒久的に変化しない、世代を通じて継承すべき最高概念」と位置付け、地球環境に配慮したビジネスの展開、社会に貢献する人づくりを通して、企業価値を高めてきました。

現在、私たちが住む世界は気候変動に伴う異常気象、森林破壊、資源枯渇、人権問題等さまざまな問題に直面しており、企業活動を行う上で環境や社会は「配慮」するだけではなく、ビジネスを進めるにあたっての「前提条件」、ビジネスの対象そのものになってきています。企業にとって環境や社会課題はリスクであり同時に機会でもあります。こうした中、当社では、従来「CSR活動」として行ってきた活動を発展させ、ESG(環境・社会・ガバナンス)の3つの観点から、長期的な視野を持って持続可能な社会の実現に向けた取り組みを強化しています。

豊田通商にとってのサステナビリティは、「経営そのもの」です。当社の「企業理念」を実現すべく社会・環境にもたらす価値とお客さまと共に創造する価値を増強しながら、持続的に成長し続けることが、当社のサステナビリティ経営です。

豊田通商ではこのサステナビリティ経営の中で、優先的に取り組んでいくものとして、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定しています。この「6つのマテリアリティ」を中心に、さまざまな社会課題の解決に取り組み、当社Global Visionの「Be the Right ONE(唯一無二・かけがえのない存在)」になることで企業理念の実現を目指します。

6つのCSRマテリアリティ
関連リンク
サステナビリティ推進年表

サステナビリティ推進体制

推進体制

豊田通商のサステナビリティ経営の推進体制は下図の通り、取締役会の監督の下、社長(委員長)がサステナビリティ推進委員会を招集し、その議論・決定事項を取締役会に報告する体制になっています。その他、気候変動、人権、コンプライアンスなどのサステナビリティに関する重要な案件についても、適宜取締役会に報告しています。また、取締役はESGに関する豊富な能力・経験を有しており、取締役会による適切な監督が行われる体制を整えています。さらに、各関連会議体*1にてサステナビリティに関する個別のテーマについての議論を行っており、特に気候変動については社長を議長として毎月開催されるカーボンニュートラル推進会議で脱炭素社会への移行に向けた戦略を議論しています。

サステナビリティ推進委員会では、サステナビリティ担当役員であるCSO(富永取締役)の下、経営企画部サステナビリティ推進室が事務局となり、各営業本部・コーポレート部門・グループ会社と協働しながら、サステナビリティ推進施策を実行しています。

各営業本部の企画部にはサステナビリティ担当者を設置し、サステナビリティ推進室と適宜連携をしています。2021年4月からはコーポレート部門の関係部署の連携を強化すべく、サステナビリティコーポ分科会を立ち上げ、2か月に1回開催しています。情報の共有、各種課題の議論などを部長レベルで行い、迅速な対応を実行しています。

サステナビリティ推進体制

サステナビリティ推進委員会

豊田通商ではサステナビリティ推進委員会を年1回開催しています。社長が同委員会の委員長を務め、副社長、営業本部CEO、コーポレートの関連役員に加え、アドバイザーとして社外取締役4名、オブザーバーとして会長と常勤監査役を招集しています。
同委員会ではサステナビリティに関する重要な方針を決定するとともに、社会動向の把握と当社の対応等について議論・決定しています。
2023年12月に開催された同委員会の主な議題は以下の通りであり、審議内容については2023年12月の取締役会で報告を行っています。

【主な議題】

  • 当社のサステナビリティの基本的な考え方の確認
  • 2024年3月期の振り返りと中長期の取り組みについての報告と議論
  • マテリアリティKPI変更の承認
  • マテリアリティへの取り組みと外部環境変化を踏まえた今後の対応についての議論
  • 委員長、社外取締役からの講評

アドバイザーとして参加している社外取締役からは、「マテリアリティKPIの在り方を継続的に見直すこと」「当社のサステナビリティに貢献するグローバルでの取り組みに多くの人が賛同し、一緒に働きたいと思えるような社内外コミュニケーションを検討すること」との講評がありました。マテリアリティKPIの見直しに向けた検討を進めるとともに、統合レポートとウェブサイトでの情報開示や社内外ステークホルダーとの対話をより一層強化していきます。

さらに、コーポレート部門の関係部署の責任者が集まるサステナビリティコーポ分科会を2カ月に1回開催し、同委員会で議論・決定した事項等も含めてサステナビリティ課題への対応を着実に進めています。

サステナビリティの社内浸透

豊田通商では、社員一人ひとりが社会課題の解決を意識しながら業務に取り組むことを推進するために、社員の評価指標の一つに「地域・社会・未来への貢献」を導入しています。
新入社員やキャリア入社社員に対し、サステナビリティやマテリアリティの研修を毎年実施し、その重要性を伝えています。また、トピックスがある年度は、単体及び国内連結子会の経営層および社員向けに、社外の専門家や先進企業のサステナビリティ部門の方をお招きし、講演会を開催しました。

グローバル行動倫理規範(COCE)

豊田通商は、企業理念を支える行動指針の内容をより具体化したものとして、2016年に取締役会の決議を経て、グローバル行動倫理規範(Global Code of Conduct & Ethics/COCE)を制定しました。COCEは国内外のグループ社員が集結して策定し、23の言語に翻訳されています。世界中の豊田通商グループの役員・社員一人ひとりが世界共通の行動倫理規範であるCOCEをしっかりと理解し実践していくことで、企業理念およびGlobal Visionの実現を目指しています。

グローバル行動倫理規範<10ヶ条>
1.私たちは、安全衛生活動に全力を傾け、安全で健康的な職場環境をつくります。

全役職員の安全と健康は、当社グループの企業活動の基盤です。

従って、

  • 私たちは、お互いの、また、当社グループの企業活動において影響を受ける全ての方々の安全と健康を守るために適切な措置を講じます。
  • 私たちは、安全衛生にかかわる全ての法令及び内部基準を遵守します。
  • 私たちは、安全衛生に関する教育訓練その他活動に積極的に参加します。
  • 私たちは、当社グループの安全衛生マネジメントシステムを活用し、発展させます。
2.私たちは、反汚職、独占禁止及び国際取引に係る法令を含む全ての適用法令を遵守します。

法令遵守は、当社グループの全ての企業活動にとって絶対に譲れない基本です。たった一つの違反でも、当社グループの社会的信用を大きく失墜させ、傷つけ、企業価値を大きく毀損するおそれがあります。

従って、

  • 私たちは、適用される全ての法令(国際的取り決めを含む)を理解し、如何なるときにも厳守します。
  • 私たちは、法令の解釈について疑義がある場合には、必ず法務部又は外部弁護士の助言を求めます。
  • 私たちは、いかなる違反行為についても、適切なチャネルを通じて、必ず報告します。

特に、反汚職、独占禁止及び国際取引に係る法令については、たった一度の違反であっても、会社と個人双方に、多大な課徴金、刑事罰、回復し難い信用棄損等の重大な損害を生じさせるおそれがあります。

従って、

  • 私たちは、反汚職、独占禁止及び国際取引に係る法令について十分に精通し、如何なるときにも厳守します。
  • 私たちは、法令や倫理に反する目的のために、接待、贈答、その他利益の供与を申し出たり、提供したり、受け取ったりしません。
  • 私たちは、市場において公正に競争し、独占禁止法に違反しうるいかなる行為も行いません。
  • 私たちは、同業他社と会う場合には、特別の注意を払います。特に、市場シェア、販売戦略、価格、価格戦略等のセンシティブ情報について話し合いをしません。
  • 私たちは、特定の物品、目的地又は人や組織との取引が禁止又は制限されうることを認識し、全ての国際取引が適用法令に則り、適切に行われるように細心の注意を払います。
3.私たちは、正確な財務情報を開示します。

上場企業グループとして、財務情報の正確性は、私たちにとっても、ステークホルダーにとっても、極めて重要です。

従って、

  • 私たちは、公表又は提出する数字の正確性に細心の注意を払います。
  • 私たちは、適用される会計原則に準拠します。
  • 私たちは、正確な財務情報を誤解が生じない形式で適時に開示します。
  • 私たちは、全ての取引に関して、正確で、信頼に足る、検証可能な記録を残します。
4.私たちは、全ての社内規程遵守に責任を負います。
  • 私たちは、全ての社内規程を理解し、遵守します。
  • 私たちは、社内規程の違反について、徹底した説明責任を負い、違反があった場合には懲戒処分となりうることを理解します。
5.私たちは、誠実、正直、公明正大、公正透明に企業活動を行い、全てのステークホルダーとの信頼関係を維持、発展させます。

良き企業市民として、私たちは、法令や規則だけを守っておけば良いのではなく、より広く、誠実、正直、公明正大、公正透明に企業活動を行う責任があります。この責任を果たすことにより、私たちは、ステークホルダーとの信頼関係が醸成され、企業活動の基盤が形成されると信じています。

従って、

  • 私たちは、自らの利益のみを追求するのではなく、多様なステークホルダーの利益も考慮に入れることで、それら ステークホルダーからの信頼獲得に努めます。
  • 私たちは、地域社会及び国際社会からの倫理的な評価に耐えうる企業活動のみを行います。
  • 私たちは、自己及び他者に関する機密情報・個人情報、知的財産権、商業機密等を尊重し適切に管理します。
  • 私たちは、違法行為又は組織的犯罪に従事し又は関係するいかなる人(法人、団体含む)とも取引しません。
  • 私たちは、虚偽又は誤解を生じせしめる、又は他人の名誉・信用等を損なうような発言その他言動をしません。誤りがあれば、直ちに訂正します。
  • 私たちは、自己の利益が会社に対して負う責任と相反する場合には、その事実を会社に開示するとともに、会社の利益に優先して自己の利益を追求しません。
  • 私たちは、会社の目的以外のために会社の財産を使用しません。
  • 私たちは、インサイダー取引に一切関与しません。
6.私たちは、持続可能な社会の発展に貢献します。

私たちは、人、社会、地球と調和し、ともに発展することが、当社グループの 持続可能な成長の鍵であると深く信じています。

従って、

  • 私たちは、世界各地の地域ビジネス、コミュニティ、政府当局等と協働することで、地域及びグローバルなニーズを常に把握し、産業・経済社会の持続 可能な発展の基盤づくりに貢献します。
  • 私たちは、世界中で、社会貢献活動(特に教育、社会福祉、環境)を積極的に展開します。
7.私たちは、環境に配慮した企業活動を追求、促進します。

当社グループの企業活動を環境と調和させることは、当社グループの基本理念に深く根付いています。

従って、

  • 私たちは、関係する環境法令・基準(国際基準も含む)を厳守します。
  • 私たちは、環境に優しい技術、サービス、製品及びビジネスモデルを開発促進します。
  • 私たちは、企業活動において、廃棄物の発生抑制、再使用、再資源化に努めます。
  • 私たちは、企業活動を行うにあたり、適切に環境に配慮します。
  • 私たちは、環境マネジメントシステムを通じて、企業活動の環境に与える影響を注意深くモニターして評価します。
8.私たちは、創造と弛まぬ改善により付加価値を提供します。

絶え間なく変化する社会に貢献し、持続可能な成長を続けてゆくためには、新たなアイデアや付加価値を社会に提供するとともに、企業活動を改善し続けることが不可欠です。

従って、

  • 私たちは、グローバルなネットワークやバリューチェーンを通じて、様々なアイデア、技術、技能、専門性等を共有し、繋げていきます。
  • 私たちは、PDCAと改善活動の徹底を通じて、絶え間なくビジネスモデルやプロセスを改善してゆきます。
  • 私たちは、創造性や改善を新しい分野やバリューチェーンの隅々にまで積極的に拡大させてゆきます。
9.私たちは、人権を尊重します。

人間を尊重することは、当社グループの基本理念に深く根付いています。私たちは、いかなる人権侵害も一切許容しません。

特に、

  • 私たちは、個人の尊厳に反する事業には一切関与しません。
  • 私たちは、人種、肌の色、性別、信仰、国籍に基づく差別をしません。
  • 私たちは、児童労働、人身売買、その他あらゆる種類の強制的な労働に関与しません。
  • 私たちは、いかなる形態のハラスメントも一切許容しません。
  • 私たちは、人権侵害に従事し、又は関係する人(法人・団体含む)と一切取引・関与しません。
10.私たちは、社内及び社会における多様性を尊重して受け入れ、 違いを活かすD&Iに積極的に取り組みます。

私たちは、多様性を尊重し、違いを活かすことが、創造と成長の源泉であると信じています。多様性が確保され、異なる視点を活用することができる からこそ、益々加速する経営環境の変化と世界中の顧客のニーズに対応すること ができます。

従って、

  • 私たちは、人種、国籍、性別、年齢が異なる人々が活き活きと協働する多様性の確保された職場環境を促進します。
  • 私たちは、人種、国籍、性別にかかわらず、全ての役職員に平等な機会が与えられることを促進します。
  • 私たちは、全ての役職員間、及び組織内のあらゆる階層におけるオープンなコミュニケーションを促進します。
  • 私たちは、経営統合(PMI)の経験やノウハウを活かし、優位性を構築します。

「グローバル行動倫理規範」ブックレット

グローバル行動倫理規範(COCE)10カ条について、より具体的な行動の指針を示したブックレットを掲示しています。