取締役会議長・社外取締役座談会
豊田通商のコーポレート・ガバナンスの強みと課題、取締役会の実効性、投資家との対話のあり方について、取締役会議長と3名の社外取締役が議論しました。
豊田通商のコーポレート・ガバナンスの強みと今後の課題について
私は長年メーカーの経営トップを務めてきた立場から、「会社は第一に、現場で働く社員のためにある」という信念を持っています。制度上、会社は株主のものかもしれませんが、社員が自分の会社に誇りを感じ、一生懸命働いて利益を出さなければ、会社は1ミリも前には進みません。その結果が、社会への貢献となり、最終的に株主へのリターンへとつながっていくのです。 ガバナンスについても同様です。コーポレートガバナンス・コード等のルールに過度に縛られるのではなく、「自分たちが真っ当である、正しい」と信じる道を自律的に追求する姿勢が重要です。豊田通商には、自由闊達に議論できる素晴らしい社風があります。ぜひ若手からベテランまで、積極的に議論してほしいと考えています。
山口取締役がご指摘された点は重要です。新しいコーポレートガバナンス・コードでもルールに縛られるのではなく、自分で考えることが求められています。豊田通商はそういった議論ができる会社だと感じているので、ぜひ豊田通商らしさを出してほしいと考えています。
豊田通商は成長戦略にすごく長けている会社であり、事業だけでなく、人の成長も実感しています。私は、社外取締役に就任して6年が経過しましたが、リーダーに加えて、現場の方たちも成長しているのが目に見えているので、頼もしく思っています。私自身、外資系企業でのグローバルなマネジメント経験から、会社は「社会の公器」であり、社会の持続的な発展を担うために存在しているという前提を大切にしています。その上で、社員一人ひとりが日々の業務で体現すべき「3つの原則」があると考えています。 1つ目は、社内の論理ではなく外部環境の変化を起点に変革する「エクスターナルフォーカス」であること。2つ目は、厳しい株主の前でも堂々と説明する責任、覚悟をもって決断すること。そして3つ目は、メディア等に取り上げられることを想定しつつ立案実行することです。豊田通商は「人の成長」に大変長けた会社ですから、こういった原則が浸透することで、さらに強靭な組織になると確信しています。
取締役会の機能について
取締役会の機能として重要なのは、最終的な決議の場だけでなく、そこに至るまでの「プロセスの質」です。失敗やリスクを恐れて、無難で波風の立たない判断ばかりをしていては、次の時代をつくる大きな成長は望めません。現場視察やオフサイトミーティング等を通して、徹底的に議論することが必要であり、この侃々諤々の議論があれば、我々取締役会はたとえチャレンジングな案件であっても「面白いから全員でリスクを取って挑戦しよう」と、経営陣の背中を力強く押すことができると考えています。豊田通商もそのような議論がもっと増えると良いなと考えています。
取締役会の中の議論も大事である一方、その前に行う、現場視察やオフサイトでの議論が良い議論につながるということですね。そういった意味では、議長である私としても、今後さらに社外取締役の皆さんの知見を存分に引き出せるよう、本質的な議論ができる場や機会を積極的につくっていきたいと考えています。
日本の取締役会は、ともすれば執行の延長線上で現場の不足を補うコンサルタント的な役割を期待されがちですが、本来は「執行」と「監督」を明確に分離すべきです。現在の豊田通商の取締役会は、議長の適切なリードの下、会社が向き合うべき本質的なアジェンダにフォーカスした議論ができており、有効に機能していると思います。一方で、戦略的な議論にもっと時間を使えるようになるとより良い取締役会になると考えています。
投資家に向けたメッセージ
投資家の皆さまには、公開されている財務データやROEといった表面的な指標の比較だけで、会社の真価を判断しないでいただきたいと強く願っています。数字の奥には、実際に汗を流して働く「人」がいます。当社の本当の潜在能力を理解していただくためには、会社に来ていただき、可能であれば、役員だけでなく、現場の社員と直接会い、腹を割って対話をしていただきたい。そういった観点で考えると、自由闊達な風土の中で、新しい価値創造に挑む社員の活力こそが、豊田通商の最大の魅力であり、持続的な成長の原動力です。
皆さまのお話とも通じますが、豊田通商の「実質的な強み」や「ポテンシャル」を、より分かりやすく投資家の皆さまへお伝えしていくことが今後の課題です。私としても、当社の魅力が的確に伝わるよう、IR活動のさらなる充実に向けた後押しをしていきます。
本日は貴重なご意見をありがとうございました。皆さまからいただいた率直なご指摘や期待をしっかりと受け止め、豊田通商のさらなる企業価値向上と、ステークホルダーの皆さまとのより良い対話に向けて、取締役会一同、尽力していきます。





