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取締役会議長・社外取締役座談会

取締役会議長・
社外取締役座談会
企業価値向上を支える
ガバナンスの進化に向けて

豊田通商のコーポレート・ガバナンスの強みと課題、取締役会の実効性、投資家との対話のあり方について、取締役会議長と3名の社外取締役が議論しました。

豊田通商のコーポレート・ガバナンスの強みと今後の課題について

村上豊田通商以外でさまざまな活動をされている皆さんの視点で、豊田通商がさらに強い会社へと成長していくために、現在のコーポレート・ガバナンスの強みと、今後の課題についてどのようにお考えでしょうか。​

松田今井社長・CEOが発信している「地球を掘らない商社」というメッセージは豊田通商の特徴をよく表しており、私は豊田通商のビジネスモデルを高く評価しています。社員の皆さんの明るさや現場の機動力、そして積極的に事業機会を取りに行く「攻めのガバナンス」は、豊田通商の素晴らしい美点です。一方で、真に強い会社となるためには「守りのガバナンス」のさらなる徹底が課題となります。成長戦略を描くことと、リスクマネジメントを機能させることは表裏一体です。豊田通商は、困難な事象からの「回復力」は極めて高いのですが、これからは問題そのものを未然に防ぐ「予防力」を組織全体で高めていく必要があります。「攻めのガバナンス」をより活かすためには、牽制するコーポレート機能のさらなる高度化と事業部門の経営リテラシーの一層の向上は必要不可欠です。小さな兆候を見逃さない姿勢が、企業の持続的成長を支えます。当社の実態に合った実質的なリスクマネジメントを機能させることが大事です。

山口私は長年メーカーの経営トップを務めてきた立場から、「会社は第一に、現場で働く社員のためにある」という信念を持っています。制度上、会社は株主のものかもしれませんが、社員が自分の会社に誇りを感じ、一生懸命働いて利益を出さなければ、会社は1ミリも前には進みません。その結果が、社会への貢献となり、最終的に株主へのリターンへとつながっていくのです。 ガバナンスについても同様です。コーポレートガバナンス・コード等のルールに過度に縛られるのではなく、「自分たちが真っ当である、正しい」と信じる道を自律的に追求する姿勢が重要です。豊田通商には、自由闊達に議論できる素晴らしい社風があります。ぜひ若手からベテランまで、積極的に議論してほしいと考えています。​

松田山口取締役がご指摘された点は重要です。新しいコーポレートガバナンス・コードでもルールに縛られるのではなく、自分で考えることが求められています。豊田通商はそういった議論ができる会社だと感じているので、ぜひ豊田通商らしさを出してほしいと考えています。​

井上豊田通商は成長戦略にすごく長けている会社であり、事業だけでなく、人の成長も実感しています。私は、社外取締役に​就任して6年が経過しましたが、リーダーに加えて、現場の方たちも成長しているのが目に見えているので、頼もしく思っています。私自身、外資系企業でのグローバルなマネジメント経験から、会社は「社会の公器」であり、社会の持続的な発展を担うために存在しているという前提を大切にしています。その上で、社員一人ひとりが日々の業務で体現すべき「3つの原則」があると考えています。 1つ目は、社内の論理ではなく外部環境の変化を起点に変革する「エクスターナルフォーカス」であること。2つ目は、厳しい株主の前でも堂々と説明する責任、覚悟をもって決断すること。そして3つ目は、メディア等に取り上げられることを想定しつつ立案実行することです。豊田通商は「人の成長」に大変長けた会社ですから、こういった原則が浸透することで、さらに強靭な組織になると確信しています。​

取締役会の機能について​

村上「内輪の論理」で意思決定されやすいですが、第三者の目線で考えることが重要だということですね。それでは、少し視点を変えて、取締役会の議論や、取締役会のメンバー等についてどうお考えでしょうか。​

松田取締役会は、会社にとって最も重要な「将来」を決定する場です。一歩先すら予測が困難な現代において、意思決定の成功確率を上げるためには「異なる頭脳」による多角的な議論が絶対に欠かせません。同質な価値観を持った人間だけで物事を決めて効率が良かった時代は終わりました。 現在の当社の取締役会は個性的でバランスが取れていると考えていますが、成長投資を重視する観点から、今後はスタートアップ的なスピード感覚を持つ方を取締役として選任することも有効だと考えています。その上で、改善が進みつつありますが、会社の将来を議論する取締役会として経営戦略/経営課題に関する議論がもっと増えると、より良い機能を果たせるのではないかと考えています。​

また、取締役会は経営に対する監督機能がより重視されていま​す。監督機能向上のためには、取締役会事務局の機能強化が欠かせません。社外取締役を支え、監督と執行の結節点となるコーポレートセクレタリー機能をより充実させていくことが必要不可欠です。​​

山口取締役会の機能として重要なのは、最終的な決議の場だけでなく、そこに至るまでの「プロセスの質」です。失敗やリスクを恐れて、無難で波風の立たない判断ばかりをしていては、次の時代をつくる大きな成長は望めません。現場視察やオフサイトミーティング等を通して、徹底的に議論することが必要であり、この侃々諤々の議論があれば、我々取締役会はたとえチャレンジングな案件であっても「面白いから全員でリスクを取って挑戦しよう」と、経営陣の背中を力強く押すことができると考えています。豊田通商もそのような議論がもっと増えると良いなと考えています。​​

村上取締役会の中の議論も大事である一方、その前に行う、現場視察やオフサイトでの議論が良い議論につながるということですね。そういった意味では、議長である私としても、今後さらに社外取締役の皆さんの知見を存分に引き出せるよう、本質的な議論ができる場や機会を積極的につくっていきたいと考えています。​

井上日本の取締役会は、ともすれば執行の延長線上で現場の不足を補うコンサルタント的な役割を期待されがちですが、本来は「執行」と「監督」を明確に分離すべきです。現在の豊田通商の取締役会は、議長の適切なリードの下、会社が向き合うべき本質的なアジェンダにフォーカスした議論ができており、有効に機能していると思います。一方で、戦略的な議論にもっと時間を使えるようになるとより良い取締役会になると考えています。​

投資家に向けたメッセージ​

村上現在の取締役会構成はさまざまな角度から議論ができる良い体制であるものの、そこに何をプラスしていくとより良くなるのか、という点は不断に考えていく必要があると考えていく必要があると考えています。さて、最後に投資家の方々に対して、一言いただけますか。​

松田ガバナンスにおいて重要なのは、「形式」ではなく「実質的な機能」です。最近ではモニタリングボードが重要だといわれる中、監査役会設置会社はモニタリングボードではないという見方をされることがありますが、大事なのは実質的な機能です。そういった意味で、豊田通商の取締役会は議長による適切な運営もあり、モニタリングボードとしても有効に機能しています。独立社外取締役比率が過半数といった点もよく論点になりますが、量はともかく、質を向上させることが重要です。豊田通商では、コーポレート・ガバナンスに関して取締役会で複数回議論を重ねたこともあり、メンバーのガバナンスに対する意識と要求水準が一段と高まっていると感じています。実効性評価を通じた課題の洗い出しと対応策の実行も適切に回っており、当社の取締役会は確かな進化を続けていると評価しています。​

山口投資家の皆さまには、公開されている財務データやROEといった表面的な指標の比較だけで、会社の真価を判断しないでいただきたいと強く願っています。数字の奥には、実際に汗を流して働く「人」がいます。当社の本当の潜在能力を理解していただくためには、会社に来ていただき、可能であれば、役員だけでなく、現場の社員と直接会い、腹を割って対話をしていただきたい。そういった観点で考えると、自由闊達な風土の中で、新しい価値創造に挑む社員の活力こそが、豊田通商の最大の魅力であり、持続的な成長の原動力です。

井上私が社外取締役として豊田通商を見つめる中で、日々強く感じているのは「当社にはこれからの成長の可能性があふれている」ということです。その背景には、大きく3つの理由があります。第一に、豊田通商が特定したマテリアリティです。現在の社会から強く必要とされているものであり、かつ、豊田通商にはそこで勝ち抜くための確かな素地と競争優位性が備わっていることです。第二に、グローバル市場における「トヨタ」ブランドの絶大な信頼力です。世界市場において「トヨタ」という名前は、品質や信頼性の証しとして機能します。この圧倒的なブランド力が初期の信頼構築において絶大な力を発揮し、グローバルでの円滑な事業展開を強力に後押ししています。そして第三に、決して「トヨタ」という名前にとらわれたり甘んじたりすることなく、優秀な「人的資本」を活かして新たな成長領域を次々と切り拓いている点です。私は、大きなスケールとポテンシャルを感じています。

松田皆さまのお話とも通じますが、豊田通商の「実質的な強み」や「ポテンシャル」を、より分かりやすく投資家の皆さまへお伝えしていくことが今後の課題です。私としても、当社の魅力が的確に伝わるよう、IR活動のさらなる充実に向けた後押しをしていきます。​​

村上本日は貴重なご意見をありがとうございました。皆さまからいただいた率直なご指摘や期待をしっかりと受け止め、豊田通商のさらなる企業価値向上と、ステークホルダーの皆さまとのより良い対話に向けて、取締役会一同、尽力していきます。​