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CHROメッセージ

CHROメッセージ
多様な人財の力を活かし
しなやかで、
変化に強い組織へ
CHRO*
小泉 綾子
Chief Human
Resources Officer

豊田通商の強みである「7万人の大旅団」と「豊田通商DNA」

豊田通商は、アフリカ事業をはじめ、前例の少ない領域で事業を切り拓いてきました。これを支えるのは、世界約130カ国・地域で活躍する7万人の多様な人財です。国籍も文化的背景も超えたコミュニケーションを通じて答えのない課題に挑み、自ら市場をつくっていく。この力が、当社グループの成長戦略を推進する原動力となっています。私自身もアフリカ事業に携わり、多様な国の仲間と共に事業を進めてきました。そこで培った現場感覚や、価値観・文化の違いを超えて協働する経験は、現在の人事の仕事にも活きています。

こうした挑戦の根底にある価値観が、豊田通商DNAです。思いやりと情熱を持って行動するHumanity、現場で汗を流し、課題に向き合うGembality、壁を打ち破り未来を創造するBeyond。中でもGembalityは当社グループならではの強みです。事業投資にとどまらず、社員自らが作業着姿で現場に入り込み、課題に向き合いながら事業を動かしていく姿勢が、当社グループの特長です。

「異能の総合商社」の多様な事業を支える人財ポートフォリオ

こうした価値観・行動原則を次世代へ継承しながら、成長戦略を支える人財と組織を絶えず進化させていく必要があります。

当社は「異能の総合商社」として、特に際立った強みを持つ4つの異能領域、「アフリカ事業とゴンドワナ経済圏」「サーキュラーエコノミー」「ネクストモビリティ」「再生可能エネルギー」を成長戦略の柱に掲げています。これらの戦略を実現するには、異能領域への機動的な人財供給が欠かせません。2017年4月に当社として初めての地域軸での本部となるアフリカ本部の設立、2024年4月にはMissionに応じた営業本部体制を確立してきました。また、このようなグローバルかつ多様な事業ポートフォリオを通じた次元上昇を支えるため、人・組織における「DNAの覚醒」「躍動する生命体組織」を通じた、環境変化を成長につなげることができるプロフェッショナルな人財を育成し、成長戦略に資する人財ポートフォリオの実現を目指しています。

とりわけ、国内外に1,000社以上のグループ会社を展開する当社グループにとって、多様な事業を担う経営人財を継続的に育成していくことは重要な経営課題です。CEO Essential Programという経営者育成に特化した研修に加え現場での実体験によって学び、得た学びを後進に引き継ぐというサイクルを仕組み化し、次世代経営者を継続的に輩出しています。

育成が事業のスピードに追いつかなければ、訪れた好機を逃しかねません。持続的な事業成長のために、変化に対して柔軟な人財、組織を育てていくことが、CHROとして私が果たすべき責務だと考えています。

7万人の能力を覚醒する挑戦機会と組織横断の取り組み

タウンホールミーティングで仕事と育児の
両立について従業員と対話

2026年3月期、「人と組織の中期ビジョン」を策定しました。「DNAの覚醒」と「躍動する生命体組織」を両輪に、戦略実現を担う人財の育成と組織づくりを進めています。

「DNAの覚醒」とは、一人ひとりに備わる能力が花開き、もう一段引き上げられた状態です。そのために必要なのは、未知の世界に触れる経験です。私にとって、育児と仕事の両立もまた、一つの覚醒体験でした。思い通りにいかない環境の中で自分の意外な一面に気づき、視野が広がりました。

従業員にも、新たな自分を発見できる機会を制度として用意しています。社長・CEOの今井が社長メッセージで述べた入社8年目以内の海外駐在の他にも、代表的なものとしてグローバルリーダーの育成を目的とした「Global Advanced Leadership Program(GALP)」があります。世界中の現場を回ってビジネスを学びながら、人生の目標や存在意義を問い続け、己を知る。この経験が自己の可能性を広げます。また、誰もが手を挙げられる社内公募制度を整え、自律的なキャリア形成を後押ししています。

もう一つの軸である「躍動する生命体組織」とは、個々が自律的に考え、能力を発揮しながら、変化に対して柔軟に対応できる組織です。そんな組織を想像してみてください。ワクワクしますよね。その実現に向け、月に1度、社長・CEOを議長とし、主に経営幹部で構成される全社会議体「Human Company Task Force(HCTF)」で人財・組織の課題を洗い出し議論しています。意思決定者が一堂に会するため、改善策がその場で決まることもあります。一例として、働きやすさについて議論した回では、夜間や休日のメール送信を原則禁止とするルールが生まれました。小さな一歩ですが、トップ自らが従業員に呼びかけることに大きな意義があります。

また、人財と組織を取り巻く環境変化に対応するため、AI活用も推進しています。論理的な分析や検証にAIを活用することで、人の力は増幅し、自らの限界も超えられます。一方で、相手への思いやりや信頼関係の構築、そして新たな価値を創り出す力は、人だからこそ発揮できるものです。AIに委ねる領域を見極めながら、Humanity、Gembality、Beyondといった人間性をさらに磨き、変化に強い組織の土台を築いていきます。

取り組みの透明性を高めながらエンゲージメント向上を推進

社内スタジオでのToyoTubeの撮影風景

人財と組織を育成する上で、エンゲージメント向上は重要な課題です。特に注力しているのが、エンゲージメントサーベイ結果の全開示です。これまでもサーベイには注力し、役員会議で議論した上で施策を進めてきましたが、その意図が従業員に十分には伝わっていませんでした。そこで2026年3月期の結果からは、各本部の強みと課題、改善に向けた取り組みの意図までを全従業員にオープンにしています。全従業員が自組織の強みも弱みも理解した上で、「いい会社をつくろう」という意識で積極的に提案できる環境を整えていきます。

また、エンゲージメント向上の前提となる従業員のウェルビーイングに直結する健康経営にも注力し、6年連続で「健康経営優良法人(ホワイト500)」に選定されました。子育て支援も、男女を問わず充実させています。「共育て」を推奨する姿勢が評価され、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する「Nextなでしこ共働き・共育て支援企業」に2年連続で選定されました。制度利用者の間では「子育ては自分育て」という認識が浸透し始め、その実感を自ら語る従業員も増えています。

こうした取り組みと併せて、イントラネットや社内向け動画配信プラットフォーム「ToyoTube」を通じて、世界各地の人やさまざまな取り組みを社員が主役になって発信しています。人事部でも動画を活用し、取り組みに込めた思いまでを伝えることで、7万人の一体感を育むと同時に、制度の浸透と活用拡大を図っています。

私は、現場でマネジメントを担っていた頃から、部下の一人ひとりに深い信頼を寄せてきました。CHROとなった今、その想いを全従業員に向け、一人ひとりが自らの意思で能力を開花させられる環境をつくりたいと考えています。多様な人財が互いの力を掛け合わせながら、変化を恐れず挑戦し、しなやかに動ける組織をつくることが、世界の市場を切り拓く当社グループの競争力につながると考えています。