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CHROメッセージ

CHROメッセージ
7万人のグローバルで
多様な人財が
最大限に力を発揮する
大旅団
"People Company Toyotsu"へ
CHRO
濱瀬 牧子

グローバルリーダーを育成し世界各地で「人の豊通」を体現

豊田通商グループにとってビジネスの本質は、課題を抱える現場に足を運びお客さまのために汗をかいて何かを成し遂げたり、中長期視点から世の中に貢献するビジネスに多岐にわたって取り組むことにあります。これは、従業員一人ひとりがパートナーやステークホルダーから選ばれる“Be the Right ONE”(“代替不可能・唯一無二”の存在)を追求する中で実現できることであり、その中心にあるのは「ヒト」です。

この考えから、当社グループは“People Company Toyotsu(人の豊通)”を目指しています。実際、現場ではエネルギーに満ちた従業員の姿が見られます。お客さまから「豊田通商さんには気持ちのいい人が多い」という言葉をいただく機会も多く、その瞬間が私の誇りです。

20年というスパンで見ると、従業員数は約7倍の7万人に増え、ビジネスの現場は世界130カ国・地域に広がりました。その組織拡大の中でさらなる成長を遂げるには、当社グループとしての求心力と、一人ひとりがそれぞれの持ち場で最大限の力を発揮する遠心力の組み合わせが必要です。これらの力を最大化するためグローバルに従業員がつながる仕掛けがいくつかあります。

例えば、グローバルリーダーの育成を目的としたGALP(Global Advanced Leadership Program)では、世界中から選抜された次世代経営者候補に、半年間のプログラムを実施しています。自己認識とグループの理念・存在意義への認識を深め、社会にどう貢献していけるのかを共に考える中で、国籍や年齢、性別に関わらず多様な人財を統率するリーダーを育成します。同時にこの機会がグローバルネットワークの拡大にもつながっています。

グローバルリーダーの育成は、当社らしいビジネスを生み出す社会関係資本である多様なパートナーとのグローバルネットワーク構築に直結する重要な取り組みです。育成の進捗状況については経営陣も交えた「グローバル人事委員会」で共有・議論し、PDCAを回して強化しています。

こうした施策をはじめとして、求心力を高め、世界各地の現場で豊田通商らしいビジネスを展開する遠心力を利かせ、“People Company Toyotsu”を体現していきます。

事業戦略と連動した人事戦略で個の力を最大限に引き出す

当社グループでは、事業戦略と人事戦略はコインの裏表であると考えています。人事戦略は事業戦略、ひいては経営戦略を推進するために存在し、さまざまな人事施策や人の成長は事業の目標に合致したものでなければなりません。人的資本経営を推進する上では、事業戦略と人事戦略を連動させ、それが企業価値向上にどのようにつながるかを明確にし、具体的な人事施策に反映させています。

人財育成については、会社と従業員の双方向のアクションであることを重視しています。会社は、従業員一人ひとりが持ちうる能力を最大限に引き出すためにさまざまなチャンスを用意しています。しかし、会社からの一方通行な働きかけで終わらせず、従業員が自ら手を挙げてチャンスを掴みにいったり「こんなプロジェクトをやってみたい」と提案したりと、能動的な行動を呼び起こすことが重要です。研修の場や個々が主体的に多様な経験にチャレンジできる機会の提供という人的資本投資により、魅力ある場づくりに力を入れて人的資本経営を進め、事業戦略に必要な人財を育成しています。

エンゲージメント向上を目指し経営層から変革を進める

中期経営計画では、「グローバルな“DNAの覚醒”と“躍動する生命体組織”の実現」を目標に掲げました。その達成に向けてCHROとして私がすべきことは、従業員7万人に豊田通商のDNAである“Humanity” “Gembality” “Beyond”を浸透することだと認識しています。これは画一的な人財を作るためではなく、多様な人財が活躍する中でも志や行動の根本を見失わないための土台づくりです。日々の仕事の中で常にDNAについて考えるわけではなくても、意思決定の場面では、その仕事が未来の子供たちのためになっているか、社会に貢献できているかという当社グループの存在意義を基準に判断し、「豊田通商グループならではの考え方」を徹底してほしいと考えています。

世界の隅々にまでDNAを浸透させるために、社長や私が全世界を行脚してタウンホールミーティングや座談会を実施し、従業員との対話を深めています。また従業員間においても、従業員それぞれが、これまでの自分自身の経験を語り合い、現場でのDNAの体現を振り返るワークショップを世界各地で実施してもらっています。これらが、世界各地で多様な人財がそれぞれの強みを掛け合わせながら躍動する生命体組織の実現につながると考えています。

次の課題は、エンゲージメントをさらに高めることです。エンゲージメントが高い組織には、同じゴールを目指すことを従業員全員が楽しみ、苦難を前にしても突き進んでいく強さがあります。このような強い組織にするためには、これまでと同じやり方を続けるのではなく、まず経営層から変わる必要があると考えています。変革に向けて、2025年4月から月に1度各本部の役員が集まって議論する全社横断会議体「Human Company Taskforce」を始動しました。働き方や女性活躍等、設定したテーマについて社長と各本部の役員が予定調和ではなく、本質を見据えて問題を追求します。何をどう変革するか、まず経営層が具体的なアクションを一人称で決め、コミットする。そうしなければ、従業員が動くはずはないからです。一方で、その場で決定したことを各現場で実践しながら、次は従業員自身に「ここを変えたい」という声をあげてもらい、改善を進めていきます。そのためには、透明性を高めて風通しをよくすることが大切です。経営層が行っていることが従業員に伝わり、自分事として捉えてもらえるよう、どんどん情報もオープンにして共有しています。

これらの取り組みの根幹にはやはり、 “Be the Right ONE”の実現があります。これは単なるスローガンではなく、経営戦略そのものです。“Be the Right ONE”の下に世界中の従業員をつなげ、豊田通商グループの組織力を高め、豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を実現していきます。

グローバルリーダー候補に向けて自らの経験や想いを語る