2025年 社長年頭 社員向けメッセージ

2025年01月06日

皆さん、新年あけましておめでとうございます。

年頭にあたり、世界各地の豊田通商グループ社員、そしてご家族の皆さんに謹んで新年のお慶びを申し上げます。新しい年、2025年を迎えるにあたり、昨年の振り返りと、今年皆さんと共に取り組んでいきたいことについて、お話しさせていただきます。

まず、昨年の振り返りです。

世界経済は安定成長を続けているものの、その伸びは過去数年に比べて勢いに欠け、低い水準で推移しています。この背景には、地政学リスクの高まり、自然災害の増加等の外部環境の変化が影響しており、特に、中東紛争や米中間の貿易摩擦は、サプライチェーンに深刻な影響を与え、インフレリスクが高まっています。中国での経済成長鈍化も、大きな懸念材料となっています。長期化する不動産不況と金融リスク、企業の過剰生産能力の問題は、中国国内のみならず、世界経済へも大きな影響を与えるでしょう。

また、自動車産業に目を向けますと、昨年はEV市場の伸びは減速しました。新興のEVメーカーに加え、既存メーカーのラインアップ拡充による競争激化や、各国政府の補助金見直しによる初期需要の一巡が影響を及ぼしています。

このように変化が激しい時代にあっては、中長期的な変化を見据えて市場とお客さまが必要とされる多様な選択肢を提供し、選ばれる存在となっていくこと。様々なリスクに対しては、常にプランA、B、Cを用意し、リスクを最小化する、リスクをマネージする、様々なリスクをむしろチャンスに変えていく発想を持つことが重要です。

コロナ禍以降も当社は着実に成長を続けてきました。この成長は、「真の実力を作り込んだ」2023年度から、「戦略実行の年」と位置付けた2024年度の歩みが、正しかった証であると同時に、皆さん一人ひとりが従来の延長線上を超えた挑戦に取り組んできてくださった結果です。当社の成長を支えてくださっているお客さま、取引先、パートナーの方々に感謝の気持ちを忘れず、これからも選ばれ続ける存在を目指して謙虚に地道に努力を積み重ねていきましょう。

次に、今年、皆さんと実行していきたい3つの取り組みについてです。

昨年11月に社内で発表した 「経営からのメッセージ」 でもお伝えしましたが、改めてお伝えしたいと思います。

経営メッセージではミッション、DNA、リターンの3つがキーワードです。

1つ目は、各組織のミッションを徹底的に追求し、実現することです。

会社の目指す姿を達成するためには、組織のミッションと個人のミッションが、しっかりと紐付き、同じベクトルを向いていることが必要です。会社と社員が同じベクトルを向いて進んでいるとき、一人ひとりの社員が、会社においての自分の役割を自身の言葉で語ることが出来るようになり、更にやりがい、使命感、達成感を感じることができます。本当の企業価値というのは、社員の皆さんが、どれだけ会社や組織の目指す姿に共感し、そこに自分のミッションを自覚し、この仕事や会社が好きだ!と思う熱量の総和だと信じています。各組織のミッションが皆さん一人ひとりの心に熱い火を灯し、その灯を大きな熱量に変えていくことで、当社の目指す姿を共に実現していきましょう。

2つ目は、豊田通商DNAを浸透させ、継承し、進化させていくことです。

昨年1月に発表されたトヨタグループビジョン「次の道を発明しよう」を受け、豊田通商DNAプロジェクトでは「Humanity」、「Gembality」*1、「Beyond」という3つのキーワードを策定しました。最近は皆さんの日々の会話の中でも、このキーワードを頻繁に耳にするようになったと感じています。

引き続き、「Humanity」を追求するためにどのような行動が必要か、「Gembality」を実践するための具体的な取り組みは何か、そして、「Beyond」を実現するために、お客さまとの関係をどのように築き上げるか、という議論を皆さんの職場で活発に行なってください。

皆さんご自身のDNA発揮ストーリーを対話し伝えていくことによって、一人ひとり腹に落ち、身に付いたDNAとなって会社全体に浸透し、未来への継承と進化を遂げていくと考えます。

3つ目は、経済価値=リターンにこだわっていただきたいということです。

当社は、親会社の所有者に帰属する当期利益を2025年3月期に3,500億円、2027年3月期には4,000億円を目標とし、2025年3月期から2027年3月期の3年間累計で営業キャッシュフローを1.3兆円以上創出し、そのうち1兆円以上を成長投資に配分していく計画です。

そして、成長投資は、全本部に共通する基盤事業、アフリカ、ネクストモビリティのCore Value領域、循環型静脈、バッテリー、Economy of LifeのSocial Value領域、再エネ・エネマネ、水素・代替燃料のNature Value領域の3つのValue領域に分配され、それぞれの領域で目標とするROICターゲットを掲げています。

既存事業も新規事業も当社と世の中にとって、本当に"Be the Right ONE"な事業なのかどうかを問い掛け、見極めて、"当社ならではの仕事"を追求していきましょう。

最後に、「安全とコンプライアンスはすべての仕事の入り口」「地域との共生、自然との共生を大切に」「S→Q→D→C*2の優先順位を間違えない」 これら3つの価値観を皆さんと共有しつつ、今年も、より良い社会の実現に向けて皆んなで取り組み、世の中に「笑顔と幸せ」を届けていきましょう。

2025年が、社員の皆さんとご家族にとって健康で、笑顔と幸せに満ちた一年となることを心より祈念し、私の年頭の挨拶とさせていただきます。

ありがとうございました。

*1 Gembality:Gemba(現場=現地・現物)+Reality(現実)の造語
*2 SQDC :安全(Safety)、品質(Quality)、納期(Delivery time)、 コスト(Cost)

リリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。