シンガポール初、舶用バイオディーゼル燃料の常時利用を見据えた供給・運航実証を実施
~船舶燃料の温室効果ガス削減で脱炭素社会への移行に貢献~
- 機械・エネルギー・プラントプロジェクト
2021年04月22日
Toyota Tsusho Petroleum Private Limited(以下、豊田通商ペトロリアム)は、シンガポール港湾局(MPA)など産官学※1と連携し、シンガポール港で傭船する船舶燃料供給船(以下、バンカーバージ)へ舶用バイオディーゼル燃料※2(以下、バイオ燃料)を供給し、使用する運航実証を、2021年4月から9月まで実施します。この実証は、シンガポール初※3、かつ、日系企業で初めての取り組みとなります。
約6ヶ月間の実証で、バイオ燃料の酸化や貯蔵の安定性などの技術的な検証および船上での排ガス測定による効果の可視化を行うことで、温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下GHG)削減が期待されるバイオ燃料の調達および常時利用が確立されれば、脱炭素化にむけた海運業界の課題解決の一助になります。
海運業界は、世界のGHG排出の約2%※4を占める中、今後も、世界経済の成長を背景とした海上輸送の増加が予想され、GHG削減が課題となっています。2018年には、国際海事機関(IMO)がGHG削減戦略を採択し、2050年までにGHG排出量を2008年比50%に減少させる目標を定めました。
また、日本政府は、2050年までにカーボンニュートラルを実現する目標を掲げ、グリーン成長戦略の中で、船舶燃料を石油由来の重油や軽油から代替燃料に転換することを推進しているほか、今年3月には、国交省が2028年までにGHGを排出しないゼロエミッション船の商業運航を目指すロードマップを発表するなど、海運業界における脱炭素の動きが加速しています。
豊田通商は、2020年10月に日本で初めてShip to Ship方式※5によるLNG燃料(液化天然ガス)の供給事業を開始するなど、船舶燃料の重油や軽油代替に向けた取り組みを行ってきました。
今回、シンガポール港湾局など産官学と連携し、シンガポール港でバンカーバージに、廃食油・植物油由来の舶用バイオ燃料を供給し、2021年4月から9月までシンガポールで初めて運航実証を実施します。
また、この実証に加え、オランダのバイオ燃料製造会社であるGood Fuels 社が同港において、外航船舶向けに欧州製バイオ燃料をスポット販売するにあたり、豊田通商ペトロリアムがシンガポール初となるバンカーバージでの供給を提供しました。
豊田通商は、産業ライフサイクルを通じてCO2削減に貢献する事業を加速し、カーボンニュートラルへの取り組みを推進することで、脱炭素社会への移行に貢献していきます。
豊田通商ペトロリアム プライベートリミテッド 概要
会社名
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豊田通商ペトロリアム プライベートリミテッド (Toyota Tsusho Petroleum Private Limited) |
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所在地
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シンガポール |
設立
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1989年2月 |
株主
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豊田通商株式会社 100% |
代表者/div>
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代表取締役社長 木戸 恒太 |
事業概要
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船舶燃料油(バンカーオイル)、石油製品の販売 |
HP
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http://www.toyota-tsusho-petroleum.com/jp/ |
バイオ燃料による運航実証を行うバンカーバージ「Marlin Satu」
※1 産官学の連携
産:Alpha Biofuels(シンガポールのバイオディーゼル製造機能)、日本海事協会(技術面に関わる包括的な助言)、豊田通商ペトロリアム
官:シンガポール港湾当局(MPA)
学:南洋理工大学(海事エネルギー・持続可能な発展に関する中核的研究拠点)(知見共有や試験方法提案機能)
※2 バイオディーゼル燃料(Bio Diesel Fuel、BDF)
植物油脂のメチルエステル化によって精製される軽油代替燃料で石油由来の重油や軽油の代替燃料として期待される。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では、原料である植物が育つ過程でCO2を吸収することから、ライフサイクルでカーボンニュートラル扱いとされる。
※3 国際海運におけるバイオディーゼル燃料の常時利用を見据えた実証としてはシンガポールで初めて
※4 2014年 国際海事機関(IMO:International Maritime Organization)調べ
※5 Ship to Ship方式
岸壁・桟橋に係留中の船舶、もしくは錨泊中の船舶に燃料供給船が接舷(横付け)して燃料を供給する方法
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