米国LA港で、大型港湾機材のFC化に向けた水素の地産地消モデルの実現可能性調査を開始

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2020年10月14日

豊田通商株式会社(以下、豊田通商)と豊田通商アメリカ(Toyota Tsusho America, Inc.、以下、TAI)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の調査事業「地産地消型水素製造・利活用ポテンシャル調査」の公募採択を受け、米国カリフォルニア州のロサンゼルス港(以下、LA港)において、港湾機材動力源の水素燃料電池化(以下、FC化)および水素の地産地消モデルの実現可能性調査(以下、本事業)を、2020年9月より開始しました。

1.背景

LA港ではディーゼル機材の使用による大気汚染が長年の課題となっており、2030年までに港湾機材のゼロエミッション化を目標としています。これまでに、フォークリフトなど、小型機材や固定式の機材は電動化が進められています。しかし、トップハンドラー(移動式のコンテナ輸送機)など、移動型かつ高出力を必要とする大型機材は、稼働時間や充電インフラの制約などの課題が電動化の障壁となっています。一方、水素燃料電池を利用したモデル構築は、長時間の稼働と短時間の燃料供給が可能であり、大規模なインフラの整備が不要であるため、これまでのディーゼル機材の代替として有望視されています。

2.本事業内容

豊田通商は、これまでに取り組んできた水素製造および利活用の実証事業で培った知見を生かして、LA港および同港近郊において、「(1)大型港湾機材のFC化による水素利活用の実現可能性調査」、「(2) 家畜ふん尿を由来としたバイオガス活用による水素製造の実現可能性調査」を行い、大型港湾機材動力源のFC化に向けて、水素の製造・貯蔵・輸送・利用まで一貫した地産地消モデルの実現可能性を調査します。調査期間は、2020年9月から2022年3月を予定しています。


(1) 水素利活用の実現可能性調査


LA港周辺において電動化が困難な大型港湾機材の稼働台数、運用実態、燃料消費量・供給方法やCO2・大気汚染物質排出量の調査を行います。また、TAIが新たに開発するFC化したトップハンドラーと移動式超高圧水素充填車の実環境下での運用データを取得、解析して、現行のディーゼル機材と比較した安全性、運行のパフォーマンスを分析します。


(2) 水素製造の実現可能性調査


カリフォルニア州中央部セントラルバレーの酪農エリアを対象として、家畜ふん尿由来のバイオガスの製造状況および水素製造可能量、設備、コスト、供給方法の調査を行います。その他、LA港周辺のガス改質による水素製造装置の性能や装置構成の評価をするとともに、日本国内の技術、機器の適用可能性を調査します。

調査結果をもとに日本国内における電動化が困難な大型機材への水素利活用への事業展開性についても検討を進める計画です。

<豊田通商は、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)のひとつとして、「クリーンエネルギーや革新的技術を活用し、自動車/工場・プラントCO2を削減することで、低炭素社会移行に貢献」することを掲げています。今後も再生可能エネルギーや国内外の未利用資源の有効活用を通じて、環境負荷の少ない低炭素社会の実現に貢献していきます。

水素の地産地消モデル実現可能性調査 概念図

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