需給調整市場の要件を充足したV2Gシステム構築を加速

  • 機械・エネルギー・プラントプロジェクト

2020年08月11日

豊田通商は、2021年に開設予定の需給調整市場を見据え、2018年・2019年に引き続き、今年3年目となる、電動車の蓄電池を活用した仮想発電所(バーチャルパワープラント:以下、VPP※1)- Vehicle to Grid(以下、V2G)※2アグリゲーター実証事業(以下、本年度の実証)を開始しました。

2018年・2019年の実証では、豊田通商が出資する米国ヌービー社※3のV2G制御システムを使用し、外部からの需給調整指令に基づき電動車の充放電を管理することで、周波数制御・需給バランス調整に必要となる調整力を提供できることを検証しました。

本年度の実証では、一般送配電事業者からの需給調整指令を想定した需給調整試験サーバー※4に加えて、トヨタ自動車株式会社の工場内に設置を予定しているエネルギーマネジメントシステム(FEMS)をヌービー社V2G制御システムへ接続します。需給調整試験サーバーとFEMSの両方から受信する指令に基づき、V2G制御システムにより電動車20台の充放電を一括管理することで、「①製造業の工場内電力需要のエネルギーマネジメント効率化」と「②製造業の工場内の調整力を集約し、需給調整市場へ調整力を提供すること」が可能かを検証します。

加えて、豊田通商は、本年度の実証を通じて、2021年に開設予定の需給調整市場への参画時に要求されるセキュリティ要件などを充足したシステムを構築し、電動車を管理する法人向けに、需給調整市場へ低コストで参画できる仕組みづくりに取り組みます。

①製造業の工場内電力需要のエネルギーマネジメント効率化

工場など電力需要家が保有するエネルギーマネジメントシステムと接続されたV2G制御システムが、工場の電力使用状況に応じて電動車の充放電を管理することで、電力コスト削減や再生可能エネルギーの自家消費率を向上させることができるかを検証します。

②製造業の工場内の調整力を集約し、需給調整市場へ調整力を提供

V2G制御システムに接続する電動車の充放電を一括管理し、需要家のエネルギーマネジメントを効率化すると同時に、需給調整試験サーバーからの指令に基づき、電動車の充放電を制御することより、周波数制御・需給バランス調整に必要となる調整力を提供できるか、これまでより実際の環境に近い条件下で検証を行います。なお、送配電については、中部電力パワーグリッド株式会社の協力のもとで実施します。

■本年度の実証イメージ

■本年度の実証概要

実証期間
202011月~12
実証エリア
トヨタ自動車株式会社 本社工場
電動車
トヨタ自動車株式会社製 プリウスPHV 20
充放電器
株式会社デンソー製 車両充放電器20


豊田通商は、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)のひとつとして、「クリーンエネルギーや革新的技術を活用し、自動車/工場・プラントCO2を削減することで、低炭素社会移行に貢献」を掲げています。

2017年12月のヌービー社への出資を皮切りに、2018年から2020年にかけて経済産業省が実施する「需要家側エネルギーリソースを活用したバーチャルパワープラント構築実証事業費補助金/VPPアグリゲーター事業」に取り組むなど、再生可能エネルギーのさらなる普及と電動車の付加価値向上を促進し、低炭素社会の実現および電力の安定供給に貢献します。

※1 家庭や工場に点在する太陽光発電などの再生可能エネルギー発電、蓄電池をネットワークでつなぎ、
あたかも1つの発電所のように機能させる仕組み。
※2 プラグインハイブリッド車(PHV・PHEV)や電気自動車(EV)などの電動車の車載蓄電池を活用し、充電に加えて、蓄電した電力を電力系統に供給する技術。
※3 欧米で電動車を活用したV2G事業を展開する米国のベンチャー企業。世界各国において周波数調整力を提供し、デンマークにおいては世界で初めてV2Gの商業化に成功している。
(https://www.toyota-tsusho.com/press/detail/171215_004081.html)
※4 一般送配電事業者が、電力系統の周波数を一定(50Hz/60Hz)に保つために行う需給調整(周波数制御および需給バランス調整)にV2Gを活用するため、各アグリゲーターに調整指令を送るための試験装置。

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