豊田通商の多収米「しきゆたか」※1の収量増に向けた、 アグリテック活用による低コスト先進農業システムの実証実験を開始
~栽培方法の効率化により生産者を支援し、従来比10%以上の収量増を目指す~

  • 食料・生活産業

2020年06月16日

豊田通商株式会社(以下、豊田通商)は、ヤンマーアグリジャパン株式会社(以下、YAJ)・住商アグリビジネス株式会社(以下、住商アグリ)と共同し、自社ブランドの多収米「しきゆたか」の収量増に向け、アグリテック活用による低コスト先進農業システムの実証実験を開始しました。農業法人「株式会社サンフレッシュ海津」の協力の下、岐阜県海津市において2020年6月~11月の期間で実施します。

1.背景

豊田通商は、堅調な成長が続く国内業務用米需要への安定供給を目的に、2015年より多収米「しきゆたか」の商業栽培を開始し、以降その普及に向けた取り組みを進めてきました。「しきゆたか」は、一般的な品種よりも約30%の収量増を全国域で安定して達成しており、国内主食用の総需要のうち約40%を占める中食・外食ニーズに支えられて、年間生産量は約1万トンに達しています。(2019年末時点)

「しきゆたか」の生産量を拡大していくには、施肥管理を含めた収量増のアプローチが重要ですが、水田のNDVI(正規化植生指数)※2を正確に把握し、品種の特性を踏まえた肥料を適量散布することが難しい(生産者の経験や感覚に頼るため施肥量に過不足が発生)という課題がありました。

2.実証概要

今回の実証では、水田全体の稲の生育状況をドローンで計測し、NDVIに応じて追肥量を調整するYAJのリモートセンシングと可変追肥システムに加えて、被覆肥料(肥料成分をコーティングし、長期間効果を持続させる肥料)の溶出をモニタリングにより推定し、適切な追肥量を計算する住商アグリの肥料溶出予測モデルを組み合わせ、水田のNDVIに応じてピンポイントに、適切量を追肥します。

また、トヨタ自動車株式会社(以下、トヨタ)の「リアルタイム土壌診断システム」と、従来住商アグリが行ってきた土壌診断を組み合わせ、住商アグリが設計した「しきゆたか」専用肥料を使用します。これらの施策により、従来の栽培方法による「しきゆたか」の収量と比べて10%以上の収量増を目指します。

本システムは、従来のしきゆたか生産コストに対し、10a当たり4,000円以下のコスト増※3で抑えられ、3%以上の収量増になれば生産者の収益向上に寄与できると試算しています。今回の実証で効果を確認後、2021年作付け分より、しきゆたかを栽培する生産者や集荷事業者向けに本システムの導入を提案するとともに、株式会社水稲生産技術研究所や農協において、本システムを活用した栽培指導の効率化に取り組む予定です。

※1 「しきゆたか」は、豊田通商の登録商標です
※2 植生の分布状況や活性度を示す指標
※3 本システムを、10haのほ場に導入した場合のコスト

実証実験における取り組み詳細は、下記の通りです。

■実証実験の取り組み

時期
2020年6月~11月
場所
岐阜県 海津市
対象ほ場面積
5.8ヘクタール(4か所合計)
取り組み
①YAJのリモートセンシングにより、土地のNDVIを算出
②土地のNDVIと住商アグリの肥料溶出予測モデルで試算した溶出済み肥料の量を元に、追肥量を算出
③基肥および追肥ともに、トヨタの「リアルタイム土壌診断システム」を活用して住商アグリが設計した、「しきゆたか」専用肥料を使用
④YAJの可変追肥により、肥料が不足している箇所にのみ専用肥料を施肥
⇒上記取り組みによって、従来の栽培方法による「しきゆたか」の収量と比較し、10%以上の収量増を目指す
協力企業(50音順)
・株式会社サンフレッシュ海津
・住商アグリビジネス株式会社
・トヨタ自動車株式会社
・ヤンマーアグリジャパン株式会社


■イメージ図

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