自動運転基本ソフトウェアAutowareと連携可能なMATLAB®/Simulink®サンプルを公開
~GitHub上でオープンソースとして公開し自動運転開発を促進~
- (旧)化学品・エレクトロニクス
2019年04月16日
豊田通商グループの株式会社ネクスティ エレクトロニクス(本店:東京都港区、代表取締役社長:青木 厚、以下ネクスティエレクトロニクス)は、自動運転基本ソフトウェアAutowareと連携できるモデルベース開発ツールMATLAB®/Simulink®のRobot Operating System(以下、ROS)ノードの開発を埼玉大学(安積研究室)と共同で開始し、ソフトウェア開発プラットフォームのGitHub※1でオープンソースソフトウェアとして2019年4月16日に公開※2します。
公開するROSノードのサンプルは、科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業 さきがけ「新しい社会システムデザインに向けた情報基盤技術の創出(研究総括:黒橋禎夫)」研究領域における研究課題「大容量データをリアルタイム処理するメニーコア向けソフトウェアプラットフォームの構築」(研究代表者:安積 卓也 埼玉大学 准教授)の成果[1][2]を活用しています。
※1 GitHub:https://github.com/
※2 公開リポジトリ:https://github.com/CPFL/Autoware_Toolbox
【ポイント】
〇 | 自動運転用のソフトウェアAutowareと接続可能なMATLAB/Simulink のROSノードのサンプルを開発し、オープンソースとして公開した。 |
〇 | これにより、自動運転システムに搭載されるソフトウェア開発において、Linux環境やC++言語に不慣れな開発者の工数削減が可能になるとともに、ソフトウェア開発の試作と評価の素早い反復が可能となり開発コスト・時間の削減が期待される。 |
〇 | オープンソースとして公開することで、企業や大学などとの連携が容易になり、様々な技術やアイデアを結合させることが可能となり、自動運転システム開発におけるエコシステムを形成し、新たなサービスや製品開発につなげていくことが期待される。 |
【本開発の背景】
自動運転の実用化が現実味を帯びる中、自動運転システムに搭載されるソフトウェアは複雑化しており、規模も増大しています。それに伴い、開発コストと時間が増大しており、これらを削減することが求められています。
ソフトウェア開発の課題を解決するため、近年ではオープンソースソフトウェアを活用し、顧客が要求する機能を早期に実装し、試作と評価の素早い反復を行い製品リリースするプロセスが試行されており、オープンソースの自動運転基本ソフトウェアとして、Linux環境上で動作するAutowareの導入が広がっています。それぞれの機能はROSノードとして実装されており、C++言語でプログラミングすることで新たな機能を実装することができます。しかし、Linux環境やC++言語に不慣れな開発エンジニアはその習得に時間を要していました。
複雑化・大規模化に対しては、開発速度と品質向上を目的として、モデルベース開発の導入が進められています。合わせて、モデルベース開発エンジニアの育成も進められています。
【公開した成果物の概要】
そこで、ネクスティ エレクトロニクスと埼玉大学は、MATLAB/Simulinkのオプション製品であるRobotics System ToolboxTMが提供するROSノードとのインタフェースを用いて、Autowareと接続可能なMATLAB/SimulinkのROSノードのサンプルを作成しました。これにより、Linux環境やC++言語に不慣れな開発者の工数削減が可能になります。またさらに導入を加速させるために、AutowareとMATLAB/Simulinkを連携させるサンプルを増やし、これらのサンプルをGitHub上でオープンソースとして公開しました。今後もサンプル数を増やし、ドキュメンテーションの充実を図っていきます。
公開したサンプルは、MATLAB/Simulinkでアルゴリズム開発するときのリファレンスソフトウェアとして利用可能です。
また、Windows環境にインストールしたMATLAB/Simulinkで、本サンプルを参考にした自動運転アルゴリズムを開発し、Autowareと連携させた迅速な動作確認が可能になります。
MATLABにはコンピュータ ビジョン、機械学習などをサポートするツール群、テストやデバッグをサポートする可視化環境が用意されています。本サンプルとともにこれらを有効活用することで、自動運転ソフトウェアの開発効率のさらなる向上が期待できます。
【今後の期待】
本サンプルを実装したSimulinkモデルと外界環境シミュレーターを連携させることで、現実世界での検証が困難な事故シーンなどをシミュレーション環境上に再現することが可能となります。そして、様々なテストケースをシミュレーション環境上で自動実行することで、自動運転ソフトウェアの検証効率の向上が期待できます。
オープンソースとして公開することで、他企業や大学などとの連携が容易になる見込みです。様々な技術やアイデアを結合させることが可能になり、自動運転システム開発におけるエコシステムを形成し、新たなサービスや製品開発につなげていくことが期待されます。
【参考図】
参考文献[1]の研究成果を利用して自動運転ソフトウェア(Autoware)とMATLAB/Simulinkと連携を実現
【参考文献】
[1] | Shota Tokunaga, Yuki Horita, Yasuhiro Oda, and Takuya Azumi, ''IDF-Autoware: Integrated Development Framework for ROS-based Self-driving Systems Using MATLAB/Simulink,'' In Proceedings of the Workshop of Autonomous Systems Design (ASD2019), Florence, Italy, Mar 2019. |
[2] | Shota Tokunaga, Noriyuki Ota, Yoshiharu Tange, Keita Miura, and Takuya Azumi, ''Demo Abstract: MATLAB/Simulink Benchmark Suite for ROS-based Self-driving System,'' Demo Session of the 10th ACM/IEEE International Conference on Cyber-Physical Systems (ICCPS2019), Montreal, Canada, Apr. 2019. |
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