再生プラスチックの利用促進に向けた自動車の樹脂リサイクル実証事業を継続
~回収規模を拡大し、リサイクル料金のユーザー負担軽減の検証第2段階へ~

  • 化学品・エレクトロニクス

2018年09月03日

豊田通商株式会社(以下、豊田通商)と株式会社矢野経済研究所(以下、矢野経済研究所)および、いその株式会社(以下、いその)は、自動車に使われている樹脂素材のCar to Carリサイクル※1の可能性を探る実証事業を2017年に受託、2018年8月末より2年目の実証事業を開始します。昨年度の結果を踏まえ、使用済自動車に含まれる樹脂部品・素材を可能な限り環境負荷が少ない方法でリサイクルし、持続可能な形で資源の有効利用を行うことを目指します。

1. 背景と目的

本実証は、自動車リサイクルに関わる審議会等で提言されている「自動車リサイクルの高度化及び自動車ユーザーのリサイクル料金負担低減」に資する実証事業として、公益財団法人自動車リサイクル高度化財団による「平成29年度自動車リサイクルの高度化等に資する調査・研究・実証等に係る助成事業」に採択されたものです。

2017年末より、中国で施行された廃プラスチックを含む固形廃棄物の輸入禁止や海洋プラスチックの問題など、樹脂のリサイクルはより重要となってきています。

現在、自動車に使用されている樹脂は、リユースやマテリアルリサイクル※2できない部品・材料とともにASR※3の一部としてサーマルリサイクル※4することが多く、Car to Carリサイクルは進んでいない状況です。その理由として、取り外しのコスト高や樹脂の経年劣化、物量確保などがあげられます。ASRの約1/3が樹脂であることから、樹脂部品のマテリアルリサイクルはASRの削減につながり、自動車リサイクル料金のユーザー負担軽減にもつながる可能性があります。

2. 2017年度の実証結果

2017年度は、各自動車メーカーで選定した樹脂由来の回収候補として外装品7点を、自動車メーカー1社あたり1部品約20kgを中部地区の協力解体事業者6社で回収し、劣化度合いなどの検証および部品解体・回収方法を検証しました。その結果をふまえ、7部品中3部品を2018年度の対象部品とし、新たな部品を追加することにしました。また、解体時間短縮による回収作業の採算性の確保が課題となりました。

3. 2018年度の実証内容

今年度は昨年度より継続回収する部品に加え、内装品4点を回収対象としました。また、回収の規模を1部品あたり300kgへ拡大し、部品の取り外しおよび異物除去にかかる工数や解体時の課題、効率的な解体方法の検証を規模を拡大して行います。そのため、新たに関東地区のTCR会員※5を加えた解体事業者計12社の協力のもと、使用済自動車約2,400台を解体・部品回収する予定です。また、品質検証では、取り外した樹脂部品の劣化度合等をいそので検証し、得られたデータおよび解決すべき課題のまとめを矢野経済研究所で実施します。今年度は品質および価格で競争力のある再生樹脂の開発にも取り組む予定です。

解体業者一覧(50音順)

中部地区関東地区
・株式会社小林商店
・城北自動車興業株式会社
・ニュー岩田株式会社
・有限会社丸大産業
・有限会社森田車輌
・株式会社山内商店
・株式会社茨城オートパーツセンター
・浦和自動車解体株式会社
・株式会社エコアール
・有限会社貝塚商会
・京葉自動車工業株式会社
・有限会社昭和メタル
※1 Car to Carリサイクル… 使用済み自動車から回収される資源を再び自動車を製造の原料として使用すること
※2 マテリアルリサイクル… 廃プラスチックをプラスチック製品の原料として使用すること
※3 ASR… Automotive Shredder Residue (自動車破砕残さ)のこと。現在使用済み自動車を構成する部品・材料のうち約20%がASRになっている。
※4 サーマルリサイクル… 原料として再資源化できない資源を燃料資源として利用すること
※5 TCR会員… 豊田通商グループ内に事務局を持つ、使用済み自動車の総合的リサイクル事業を通した社会貢献を目的とする自動車解体事業者の団体
自動車由来樹脂リサイクル可能性実証の流れ(枠内)

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