トヨタ自動車九州宮田工場において太陽光発電で製造したCO2フリー水素を燃料電池フォークリフトで活用する事業を開始
(経済産業省、環境省・国土交通省の補助事業を活用※1※2)

  • (旧)機械・エネルギー・プラントプロジェクト

2017年03月21日

福岡県トヨタ自動車九州九電テクノシステムズ、豊田通商は、2016年6月に経済産業省の「平成28年度地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金(エネルギーシステムモデル構築事業)」に採択されたことを受け、トヨタ自動車九州宮田工場の敷地内に低炭素な水素サプライチェーンの産業モデルの構築を進めてまいりましたが、このほどシステムの一部が完成し、本日、本格運用を開始いたしました。

本事業は、工場内に設置した太陽光発電を利用し水を電気分解して製造したCO2フリー水素を貯蔵・輸送・供給する一貫システムを整備し、燃料電池フォークリフトや定置用燃料電池で利用するものです。

今回、完成したのは、太陽光発電設備と水素製造装置(水電解)、水素貯蔵タンク、水素供給配管、燃料電池フォークリフト用の水素充填設備一式で、これらの機器をEMS(エネルギー・マネジメント・システム)が統合的に制御し、安定的かつ効率的なエネルギーの利用を実現します。
来年度には、新たに展示施設の照明などの電力や入浴施設に熱を供給する定置用燃料電池を設置し、再エネ由来水素を複数の場所や機器で面的に利用するとともに、用途や利用時間帯の異なる複雑なエネルギー需給をより高度にマネジメントするEMS機能拡張に加え、将来の多拠点展開を想定した再エネ利用最適化システムを追加する予定です。

水素は、様々な原料からつくることができ、燃料電池を使うことでエネルギーを効率的に利用できるうえに、利用時には水しか排出しないクリーンなエネルギーという特長を持っています。また、水素は大量かつ長期間にわたって貯蔵できることから、不安定な再生可能エネルギーを補完する役割が期待されています。

福岡県では、「福岡水素エネルギー戦略会議」※3を設立し、他に先駆けて産学官一体となって水素エネルギー社会実現に向け取り組んできました。
本事業を通じて、経済性や環境性の評価を行いながら、地域におけるエネルギー利用のあり方を追求し、今後、他の工場や事業所などへの展開を図り、水素エネルギー社会の進展、再生可能エネルギーの更なる導入拡大を目指してまいります。

事業概要

今年度は、トヨタ自動車九州宮田工場に太陽光発電設備、水素製造・貯蔵・輸送・供給システム、燃料電池フォークリフトを設置・導入しました。これは、太陽光由来水素を工場の燃料電池フォークリフトで利活用する全国で初めての取組です。
来年度には、定置用燃料電池を新たに設置し、EMS機能拡張や再エネ利用最適化システムを追加する予定です。

<事業イメージ>

<導入設備>

ご参考

<各社役割>

事業者本事業における役割
福岡県
事業支援、事業展開支援
事業者間協議会取りまとめ
トヨタ自動車九州
水素利活用システムの導入、運用、保守、メンテナンス
他工場への展開検討
事業成果の発信
九電テクノシステムズ
再エネ利用最適化システムの構築、運用、保守、メンテナンス
豊田通商
事業管理
再エネ利用最適化システムの運用
事業展開モデルの構築
将来ビジネスモデル構築


※1 経済産業省「地産地消型再生可能エネルギー面的利用等推進事業費補助金(エネルギーシステムモデル構築事業)」
次世代の地産地消型エネルギーシステムの構築に関するノウハウの共有化及び他地域への展開を図ることを目的とし、地域の実情に応じ、先導的な地産地消型エネルギーシステムのモデル構築に要する経費の一部を補助するもの
・補助上限額 :4億円/年度(最大3年度)

※2 環境省・国土交通省連携事業「水素社会実現に向けた産業車両の燃料電池化促進事業」
日本全体のCO2排出量の約2割を占める運輸部門のなかで約1/3を占める物流分野のCO2排出抑制を図る目的で、燃料電池フォークリフトの導入に係る事業費の一部を補助するもの
・補助割合 :エンジン車との差額の1/2(2016~18年度)

※3 福岡水素エネルギー戦略会議
水素・燃料電池分野のオールジャパンの産学官からなる連携組織(2004年8月設立)
会 長 :新日鐵住金(株)代表取締役副社長 藤野 伸司
会員数 :797企業・機関(2017年3月現在)

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