AJW社との販売代理店契約締結
~MRO市場への参入を目指して~
- (旧)グローバル部品・ロジスティクス
2020年01月27日
豊田通商株式会社(以下、豊田通商)は、航空機の機体およびエンジン向け装備品MRO※1(メンテナンス・リペア・オーバーホール:保守、点検、修理)事業を行う英国のA J Walter Aviation Limited(以下、AJW)と、2019年11月に販売代理店契約を締結しました。日本におけるAJWとの販売代理店契約締結は、豊田通商が初めてとなります。
1. 航空機産業を取り巻く環境
世界の民間航空機の需要は、新興国を中心とした航空旅客数の増加とLCCの台頭による路線拡大で、2018年の2万6千機から、20年後には約2倍となる5万1千機となることが見込まれています※2。これに伴い、民間航空機のMRO事業のニーズは年々高まっており、その市場規模は2018年の約774億ドルから今後10年間で約1,150億ドルに達すると予想されています※3。
日本においても、航空市場は今後も安定的に成長が期待されており、MRO市場の需要はさらに高まっています。
2. 契約締結の背景
航空機の整備に関する取り決めは各国の航空法で定められており、日本では国土交通省航空局(JCAB※4)から認定を受けた事業場以外で修理された装備品は、国土交通大臣から予備品証明を受ける必要があります。ただし日本・カナダ間は、2017年12月にJCABとカナダ航空局(TCCA※5)の間で整備に関する技術取り決め(TA-M※6)が交わされたことにより、JCABまたはTCCAの検査を受けた整備施設であれば、それぞれ相手国の航空局による検査を受けることなく、航空機や装備品の整備を行うことが可能となりました。
AJWのグループ会社であるAJW Technique社は、カナダに修理工場を保有しています。2019年1月にTCCAからTA-Mに従って承認を取得したことで、TCCAの認定事業場であるAJW Technique社が発行する証明書が添付された装備品については、日本の航空法が定める予備品証明が不要となり、日本のエアライン向けに装備品を提供しやすい環境が整いました。
このような背景の中、MRO分野への参入を狙う豊田通商と、アジアでのシェア拡大を狙うAJWが日本市場の開拓に向けて協業を進めてきた結果、今回の契約に至りました。
3. 今後の展望
豊田通商は、AJWとの販売代理店契約締結によりMRO事業への参入を通して日本のMRO市場におけるネットワークを確立し、AJWグループの幅広いサービスを日系エアライン向けに提供していきます。
また、豊田通商グループのネットワークと物流ノウハウを活用し、日系エアラインなどのお客さまに特化したサービスを提供することで、日本の航空市場の発展に貢献していきます。
AJW社について
AJWは、航空機の機体およびエンジンのスペアパーツの供給、交換、修理、リースを取り扱う、大手独立系MROです。顧客のニーズに沿った革新的なサービスを通して高度なサプライチェーンマネジメント、アセットマネジメントを実現します。アフリカ、アジア太平洋、中国、CIS、ヨーロッパ、ラテンアメリカ、中東、北米、およびヨーロッパ、アジア、米国など、各国に営業および物流の拠点を保有しています。
社名
|
A J Walter Aviation Limited |
---|---|
代表者
|
President and CEO:Christopher Whiteside |
設立
|
1932年 |
所在地
|
英国 |
事業概要
|
エアライン、機体メーカー向けMROサービス全般、リペアマネジメント、PBH(Power by Hour) |
連結従業員数
|
約1,000人(2019年12月末現在) |
資本金
|
USD 707,000 |
※1 Maintenance Repair Overhaul
※2 ボーイング社発表数値「パリ航空ショー2019」
※3 Global Fleet & MRO Market Economic Assessment 2018-2028
※4 Japan Civil Aviation Bureau
※5 Transport Canada Civil Aviation
※6 TA-M:Technical Arrangement for Maintenance
リリースに掲載されている情報は、発表日現在の情報です。
発表日以降に変更となる場合があります。あらかじめご了承ください。