豊田通商グループの
カーボンニュートラル実現への取り組み
カーボンニュートラルを
理解し、全社一丸となって
実現を目指す
Q.カーボンニュートラル(Carbon Neutrality、CN)って何ですか?
Q.どんなふうに目標設定をする?
Q.豊田通商グループは、どのようにカーボンニュートラル実現に取り組む?
強みを持つ5つの事業領域で
脱炭素社会への移行に貢献
豊田通商グループは、「脱炭素社会への移行に貢献する」取り組みとして、「エネルギーをつくる」「エネルギーを集める・整える」「モノをつくる」「モノを運ぶ」「モノを使う」「廃棄物処理する」「再利用する」という産業ライフサイクルの各段階で循環経済(サーキュラーエコノミー)を支える事業に関わっています。5つの領域で描く成長戦略に基づき、各WGは事業を拡大し、カーボンニュートラル(Carbon Neutrality、CN)の実現を加速していきます。
豊田通商グループの「脱炭素社会移行に貢献」する取り組み
再生可能エネルギー導入の最大化を目指す
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本部間、各極、パートナーのつながりを強化し、電池のライフタイム全体でのカーボンニュートラルに貢献
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クリーン水素の地産地消モデルで港湾エリアのカーボンニュートラル化を加速
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ITによる静脈最適化によりCO2削減を目指す
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工場排熱を有効活用した、安心・安全なパプリカ栽培でカーボンニュートラルを実現
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Q.カーボンニュートラル(Carbon Neutrality、CN)って何ですか?
まずGreenhouse Gas(GHG)とは、カーボンなどCO2を主とした地球温暖化に影響するガスのこと。ニュートラルは中立という意味です。サステナブルな環境を構築するためにはGHG排出量の削減が不可欠ですが、経済活動や生活から排出されるGHGを完全にゼロに抑えることは現実的に困難。そこで、排出せざるを得なかった分と同じ量を、吸収または除去することにより、正味ゼロ(ネットゼロ)を実現することがカーボンニュートラル(Carbon Neutrality、CN)の目指すところです。
国内では、菅首相(2020年当時)の「2050年カーボンニュートラル宣言」により、カーボンニュートラルという言葉が一気に注目を集めました。世界においても、パリ協定やSDGsの下で各国のGHGの排出削減目標を定め、サステナブルな環境の構築に取り組んでいます。しかし、各国が掲げる目標を達成しても地球全体として必要な削減量には大きく不足するのが現状。気候変動に直面する中、政府・企業や研究機関などが一丸となり、カーボンニュートラルへの取り組みを強化する必要があります。
Q.どんなふうに目標設定をする?
カーボンニュートラルの実現に取り組むためには、まず排出量を正しく把握、測定する必要があります。そこで注目されているのがGHGプロトコル※が定義する国際的なGHG排出量の算定。算定基準には3つのScopeがあります。このScopeでは、事業者自らの排出だけでなく、事業活動に関わるサプライチェーン全体での排出量を把握することが必要です。
※WRI(世界資源研究所)とWBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)が中心となり、世界中の企業、NGO、政府機関が参加してGHGや気候変動に関する国際スタンダードなどを開発するイニシアティブ
出典:グリーン・バリューチェーンプラットフォーム
Q.豊田通商グループは、どのようにカーボンニュートラル実現に取り組む?
サステナビリティ推進室を中心に、必達である自社のCO2排出量削減に取り組む一方で、カーボンニュートラル推進を加速すべく、豊田通商グループは、2021年4月にカーボンニュートラル推進タスクフォース(CNTF)を設立。5つの領域でワーキンググループ(WG)を組織しました。①再生可能エネルギー・エネルギーマネジメント、②バッテリー、③水素・代替燃料、④資源循環・3R(リビルト、リユース、リサイクル)、⑤Economy of LifeのWGが月に1度集まり、現在は2030年までのカーボンニュートラル推進ロードマップを策定中です。CDTO管掌およびCDTOが5つのWGを取りまとめ、CSOユニットと連携し、社内外とコミュニケーションしています。
5つのWGは競争領域で、成長戦略として事業に取り組むことで、カーボンニュートラル実現を加速していきます。皆さんも自分ごととしてカーボンニュートラル実現に取り組みましょう。
豊田通商グループは、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)の一つに脱炭素を掲げ、全社をあげて世界のカーボンニュートラル(CN)を推進しています。また、カーボンニュートラルに結び付く、脱炭素社会やサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みは、豊田通商グループが従来から取り組んできた事業領域であり、風力発電事業者として、日本国内1位の規模へと成長している風力発電事業等を有しています。
一方、社会全体のカーボンニュートラル推進は潮目が大きく変わりました。環境意識の高い欧州が、EUの温室効果ガス排出実質ゼロを達成する「欧州グリーン・ディール」を発表したのは2019年12月です。その後、20年10月には菅首相の2050年カーボンニュートラル宣言があり、21年には環境・エネルギー政策に力を入れる米国バイデン政権が誕生しました。
今後は世界経済のコロナ禍からの復興に向けて、環境重視の経済政策によるグリーン・リカバリーが推進されます。世界は地殻変動のただ中にあり、カーボンニュートラル推進は創世記に入りました。この急激な変化は当社の重要な事業領域であるモビリティやエネルギー産業に大きく影響し、特にこれから2030年までの10年間は、あらゆる産業でトランスフォーメーションとディスラプションが起きるでしょう。豊田通商グループのリスクと機会として、右のようなことが挙げられます。
自社の操業におけるカーボンニュートラルは、社会へのカーボンニュートラル貢献同様に不可欠です。そこで豊田通商グループは、脱炭素社会移行への貢献に向けた具体的な方針として、2021年7月に当社単体・国内海外連結子会社(Scope*1、Scope*2)における、豊田通商グループの事業活動を通じた温室効果ガス(Greenhouse Gas、以下GHG)排出量を、2030年までに2019年比で50%削減を目指し、2050年にカーボンニュートラルとする目標を策定しました。
豊田通商グループは徹底的な省エネ・再エネ推進(事務所・工場のLED化、所有建物の太陽光発電設置)、生産プロセス・物流でのCO2排出削減、技術革新による排出量削減、再エネ由来のJクレジット活用*3などに取り組んでいます。
産業ライフサイクルを通じてGHG削減に貢献する事業を、全社レベルで加速・推進できるのは豊田通商グループの強みです。自社の操業でのカーボンニュートラル推進も豊田通商グループ全従業員が一丸となり、全力で取り組んでいくことで、社会課題の解決に貢献していきます。
*1 自社での燃料の使用によるGHGの直接排出(石炭・ガス等)
*2 自社が購入した電気・熱の使用によるGHGの間接排出
*3 2019年実績として、再生可能エネルギー由来のJクレジットで2,649t-CO2のGHG削減認証取得
豊田通商グループの「脱炭素社会移行に貢献」する取り組み
再生可能エネルギー・エネルギーマネジメント
再生可能エネルギー・エネルギーマネジメント(再エネ・エネマネ)WGは、トヨタ環境チャレンジ2050と一般電力市場、豊田通商グループの再エネ化の3つの領域にフォーカスしています。
サプライチェーン全体のカーボンニュートラル(Scope3)まで対象に含むトヨタ環境チャレンジ2050では、豊田通商グループの過去30年に渡る再エネ開発経験を生かして貢献していきます。
一般電力市場では、ESG投資や政府のグリーン成長戦略を気運と捉えて、(株)ユーラスエナジーホールディングスの風力発電事業を主体とした電源開発と、当社が得意とする新興国での新電源開発をさらに加速していきます。
トヨタグループのカーボンニュートラルの取り組みをけん引する豊田通商は、社外のみならず、豊田通商と豊田通商グループにおいても再エネ導入を積極的に行う必要があります。地域や国で異なる制度やコストなどのハードルを乗り越えるため、私たちのWGが再エネ導入をサポートします。
バッテリー
環境政策の加速とカーボンニュートラル実現への動きに呼応し、バッテリーWGは本部横断で多様な強みを掛け合わせてカーボンニュートラルに寄与します。
カーボンニュートラルの実現のためには、必ずしもBEV※が最適解ではなく、電源ソースも含め川上から川下を俯瞰した事業検討が必要になります。また、昨今バッテリー業界は、中国・韓国勢が高いマーケットシェアを保有し、欧米プレイヤーも積極的に参入を開始する厳しい競争下にあります。
豊田通商グループの強みは、本部を超えて、電源(再エネ)開発および電池事業の川上(=資源事業)から川下(=静脈3R事業)まで取り組む総合力。今後、グローバルで戦うために各極メンバー、また機能を補うために、パートナーとの連携をさらに加速し、川上から川下まで、当社らしい唯一無二の機能・サービス提供の実現を目指します。
※Battery Electric Vehicle:バッテリー式電動自動車
水素・代替燃料
米国ロサンゼルス港(LA港)では、ディーゼル駆動の港湾機材による大気汚染が長年の課題となっています。LA港は2030年までに港湾機材のゼロエミッション化達成を宣言しており、フォークリフトなど小型機材の電動化が進む一方で、大型機材の電動化は稼働時間や充電インフラの制約が障壁となっています。
そこで豊田通商グループは、大型機材の水素燃料電池化(FC化)と、水素の地産地消モデル(水素の製造から利用を現地で一貫して行うモデル)の実現可能性の調査を開始。このプロジェクトは、水素関連の実証事業で培った豊田通商グループの知見が生かせる分野で、大型港湾機材FC化による水素利活用と、家畜ふん尿由来のバイオガス活用による水素製造の2点を調査します。この調査結果を基に、国内外での大型機材FC化の事業展開性を検討していきます。
資源循環・3R(リビルト、リユース、リサイクル)
廃棄物の回収・リサイクル・処理などを行う静脈産業は、法律上の規定が厳しく、また運用上の解釈が自治体ごとに異なっており、結果としてリサイクル率の低迷や非効率的なオペレーションを生み出しています。このような課題を踏まえて、私たちは(株)JEMSとの協業で静脈の最適化に取り組みます。
JEMSは、廃棄物の排出者、処理業者の両者に向けてシステム提供する静脈専門のITシステム会社。両分野で国内シェア、ナンバーワンとなっています。同社が持つシステム・データと当社の資源循環・リサイクル事業の知見を合わせることで、リサイクル率の向上や効率化を目指す取り組みを進めています。本取り組みによるCO2削減に加え、静脈部分のCO2可視化、削減オプションをシステムに反映するなどのカーボンニュートラル視点の機能も検討しながら、共同でさらなるカーボンニュートラル推進に取り組みます。
エコノミー・オブ・ライフ
2008年に創業したベジ・ドリーム栗原は、日本最大級のパプリカ生産事業体で、栗原農場と大衡農場の2拠点で安心・安全な国産パプリカを栽培しています。大衡農場では、自動車工場を含む工業団地保有の発電機からの排熱を栽培室内の暖房に活用することで、LPガスボイラーの稼働率を大幅に低下させ、カーボンニュートラル実現へ寄与しています。昨年はこれまでの取り組みが評価され、「宮城県ストップ温暖化賞」を受賞しました。
さらには、この発電機からの排ガスを活用し、光合成に必要なCO2を取り込むプロジェクトが始動しました。排ガスをきれいな状態にして取り込む必要があるため、安全性への配慮は欠かせません。安全性と経済性を両立しつつ、カーボンニュートラル実現に向けてプロジェクトを進めたいと考えています。