プロジェクトストーリー

TPSの導入による
企業変革への挑戦

2014年7月時点

総合商社の中で当社を際立たせる強みの一つが、トヨタグループの一員として培ってきた「トヨタ生産方式(TPS)」です。自社やグループ企業、お客さま、取引先の製造面や物流面など幅広い分野にTPSを導入し、品質や効率性を改善して収益向上につなげています。第一屋製パン株式会社もその一例であり、TPSの導入をきっかけに改善を積み重ね、2013年12月期には22年ぶりに営業利益・経常利益・当期純利益のいずれも黒字化を果たすことができました。

TPSとは

TPSは、トヨタ自動車が「お客さまにご注文いただいたクルマを、より早くお届けするために、最も短い時間で効率的に造る」ことを目的とし、長い年月の改善を積み重ねて確立した生産管理システムです。「異常の発生を検知すると即座に停止し、対策をとる機能を、設備(機械)とオペレーターに与え、不良品を後工程に流さない」という「自働化」と、各工程が必要なものを、必要な時に、必要な量だけ生産する「ジャスト・イン・タイム」という2つの基本思想により、「確かな品質」で手際よく「タイムリー」に造ることができます。

豊田通商では、原価低減・改善部のスタッフをトヨタ自動車に複数年出向させて現地現物でTPSを身につけた後、自動車分野以外の製造現場にもそのスタッフを派遣して、TPSの導入を進めています。

改善努力が実を結ばなかった過去

第一屋製パンは、売上高246億円(2013年12月期)で業界5位、1947年に設立された老舗パンメーカーです。当社とは従来から原材料の売買で取引関係にありましたが、豊田通商のグローバルな調達ネットワークや物流ノウハウを活かしたい同社と穀物バリューチェーンの川下分野の拡充を図りたい当社の思惑が一致し、2010年に当社が資本参加しました。

その時点で第一屋製パンは一部の事業撤退を断行するなど一通りのリストラクチャリングを終え、コンサルティングファームに依頼するなどの経営改善努力を行っていたものの、営業赤字が続いている状況でした。商品開発や営業など多方面で改善が必要と思われましたが、まず、最も効果が発揮されやすい生産面においてTPSを導入することとなり、主力である金町工場に、豊田通商の原価低減・改善部から3名のTPSスタッフが派遣されました。

当時、金町工場では食パンを型から外す装置で食パンがうまく外れず、その結果製造ラインの一時停止が頻繁に起きていました。その回数は1日当たり140回にも上りましたが、TPSスタッフが掲げた改善目標は、以前に半減という目標も達成できていなかった金町工場の従業員にとっては信じ難い、「ゼロにする」という目標でした。

しかし1年後、実際に一日の停止回数はゼロになったのです。

現場で、地道な改善を徹底する

TPSのスタッフと、過去に依頼していたコンサルティングファームとの最大の違いは、スタッフ自らが現場に入り込み、現場で、愚直に、地道に徹底的に改善すること、表面的な解決ではなく問題の真因を追究することにあります。例えば、食パンが装置から落ちてこないのは型の内側に油が均一に散布されていないからだと判明すると、そこで追究を終わらせず、製造ラインに張り付いて問題箇所を観察してなぜ均一に散布できないのかを探り、その根本的な原因を突き止めるまで現場で従業員と一緒になって改善活動を続けました。その結果、ライン停止ゼロという目標が1年間で達成できたのです。

また、TPS活動の一環として月に1度の事例発表会を行い、その場には社長や副社長ら幹部も出席する仕組みとすることで、それまでは生産現場レベルにとどまっていた課題を、経営課題と認識させ、取り組みの徹底を促しました。それにより成果は他の工場にも知れ渡ることとなり、金町工場で初導入してから4年間で、子会社も含めた全7工場に広がりました。

その徹底したムダ・ムラ・ムリの排除や生産の平準化は、利益率の改善に大きく貢献しました。

TPSを幅広い領域で活用

トヨタ生産方式体系図・TPSハウス

TPSの導入は生産現場にとどまらず、営業本部でもプレゼン資料の標準化や訪問ルートの効率化が進むなど、全社的な導入が図られています。また、直接的な効果だけでなく、従業員の意識改革が次々と波及していくことにより企業体質までもが変わり、商品企画・商品開発なども活性化することで第一屋製パンは22年ぶりの黒字化が実現できました。

今後も原価低減・改善部も含めた機能軸での支援を、第一屋製パンに限らず行い、総合商社ならではの様々なバリューチェーンの領域でTPSを最大限に活用し、豊田通商ならではの付加価値を生み出していきます。

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