ブックタイトル豊田通商70周年史

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概要

豊田通商70周年史

祝辞トヨタ自動車株式会社取締役会長内山田竹志設立70周年を心よりお祝い申し上げます。私がトヨタ自動車に入社した当時、貴社はすでに多くの海外拠点を有し、トヨタ向け自動車用鋼板の効率的な供給に乗り出すなど、大きな存在感を示しておられました。それ以前には厳しい時期もあったと承りましたが、それを乗り越え、総合商社への道を力強く歩まれた先人のみなさまのご尽力に、まずもって深く敬意を表したいと思います。それ以降現在に至るまで、トヨタの発展は貴社の成長とともにあったと申し上げてよいものと思います。海外販路の拡大にとどまらず、生産や開発に不可欠な資材などの調達や、廃棄物処理やリサイクルに至るまで、まさにサプライチェーン・バリューチェーンのあらゆる段階で大きな役割を果たしていただいており、心から感謝しております。私が従事してきた自動車技術の仕事においても、貴社の貢献はきわめて大きなものがありました。一例をあげれば、私が開発責任者を務めたハイブリッド車「プリウス」が順調に量産化を果たし、全世界で販売を大きく伸ばすことができたのも、レアアースの調達や、ニッケル水素電池のリサイクルといった多くの分野で、貴社でなければできない貴重な役割を果たしていただいたからに他なりません。こんにち、国際社会は気候変動や人口問題など数多くの課題を抱えており、その解決に向けて、自動車技術にも大きな期待がかかっています。情報通信技術を生かした安全な自動運転、MaaS=サービスとしてのモビリティ、よりクリーンなドライブトレーンといったものに、注目と期待が集まっており、まさに100年に一度の変革期といえるでしょう。こうした中にあって、品質や技術に関する価値観を弊社と共有し、かつ総合商社ならではの野心的なチャレンジ精神を持ち、さらには東京三菱系の加商や、豊田佐吉ゆかりの児玉一造氏が設立したトーメンとの合併を通じて高い多様性を有する、まさに「モノづくり商社」である貴社にかかる期待もまた、きわめて大きなものがあります。来たるべき水素社会の実現に向けた水素供給ではすでに多くの実績がありますし、貴社が中心となって推進されている隊列走行の実証実験や、再生可能エネルギーのビジネス展開などは、まさに貴社ならではの総合力が生きた取り組みと言えると思います。これからの時代、トヨタグループの総合力、ひいては日本の底力が試されることになります。貴社が弊社とともに、トヨタグル―プの総力を結集したチャレンジに加わっていただき、大きな成果をもたらすことを期待しております。2019年2月5