ブックタイトル豊田通商70周年史

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概要

豊田通商70周年史

序章時代の状況第1節自動車生産の開始1トヨタグループの祖・豊田佐吉豊田通商(以下:当社)のみならずトヨタグループの祖となったのは言うまでもなく豊田佐吉翁である。当時のベストセラーになったサミュエル・スマイルス著・中村正直訳『西国立志編』(1870年発刊)にあった紡績機械や動力織機などの繊維機械を考案した西洋の発明家に関する記述に向上心を刺激され、さらに18歳のときに公布された「専売特許条例」により発明の奨励とその保護が打ち出されたことから織機の発明を志すようになった。そして父親の大工仕事を手伝いながら、当時各地に導入されはじめたバッタン付き木製手織り機の改良を思い立ち、その考案に没頭し、弱冠23歳で手織り機の特許を出願した。翌年、「織機(木製人力織機)」として特許が認められ、ここから発明家としての人生をスタートした。豊田式汽力織機、無停止杼換式豊田自動織機など生涯に取得した工業所有権の数は発明特許が84件、外国特許13件、実用新案は35件に上り、1985(昭和60)年には特許庁により日本の十大発明家の一人に選ばれた。その佐吉が1926(大正15)年11月に設立したのが豊田自動織機製作所豊田佐吉豊田綱領であった。佐吉は設立にあたり、定款の「会社の目的」に「紡績織布に関する機械及びその他の機械を製造し、販売すること」に加え、「発明研究をなすこと」を掲げ、単なる機械製造だけでなく、発明と研究を会社経営の柱にすることを明確にうたった。佐吉の発明や事業に対する考え方は、佐吉の没後、佐吉に薫陶を受けた部下たちによって遺訓として以下の5項目からなる「豊田綱領」としてまとめられ、1935年10月30日の佐吉の5周忌に発表された。一、上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし一、研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし一、華美を戒め、質実剛健たるべし一、温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし一、神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべしこの豊田綱領は、トヨタグループ各社に経営のバックボーンとして今日34