ブックタイトル豊田通商70周年史

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概要

豊田通商70周年史

インド100%子会社によるレアアースの分離・精製事業レアアースでの脱・中国依存では、「チャイナ+1」、すなわち中国以外でのレアアース事業を開発し、相対的に中国依存率を下げることとした。候補になったのはベトナムとインドネシあり、作業が遅々として進まない時期が長く続いたが、2015年12月に混合塩化希土の調達で2年間の供給契約をIREと締結。アンドラプラデーシュ州で工場建設を進め、2016年1月からネオジム、セリウム、ランタン、プラセオジウムといったレアアースの分離・精製に着手し、日本および欧州への出荷を開始した。ア、カナダ。進出先として最終的に選んだのはインドであったが、金属資源部のメンバーによれば、その経緯は「2008(平成20)年12月に資源商社の和光物産を買収しており、その和光物産が持っていたインドでの商権を生かすことにしたのです」という。2009年に100%子会社のTREI(ToyotsuRare Earth India)を設立し、インド原子力庁の100%子会社であるIRE(Indian RareEarth)との交渉を開始した。IREは現地で産出する漂砂鉱床からモナザイト鉱石を選鉱し、原子燃料の原料であるウランやトリウムを製造する。TREIはそれらが取り出された後の副産物である混合塩化希土を購入し、レアアースの分離・精製事業を行うのである。交渉相手はタフ・ネゴシエイターとして知られるインド人、しかも政府系。空前の規模となったサイクロンが襲来したことも実需が拡大しつつある中、いかに資源を確保するかガソリン車から電気自動車へのシフトが世界中で鮮明になりつつある。フランスやイギリス、ドイツといった欧米諸国に加え、中国でもEVへの移行が明確に打ち出された。自動車メーカーの勢力図さえ書き換えかねないこの激動にどう対処していくか。トヨタもマツダ、デンソーとEVの基幹技術に関する会社を設立するなど、取り組み姿勢を強めている。ただ、状況がどう変わろうと、変わらないのがレアアース、レアメタルの需要が確実に増大するという市場予測である。レアアースやレアメタルは相場によって値段が上下する相場商品としての性格を持つが、いまや実需そのものが拡大している。レアアースレアアース現場198