ブックタイトル豊田通商70周年史

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概要

豊田通商70周年史

さらに「自然人」と呼ばれる解体業の個人業者がリサイクルの主導権を握っていることがわかっていた。金属本部の社員が感じた通りの、かつての日本がそうだったような旧態依然たる解体工場である。この工場に日本式の手法やノウハウを移植しようとしても、すんなりとは受け入れられないだろう。しかし、新しい工場ならどうか。日本側が最初からプロジェクトに関わっていけば、日本で実績のある設備や工程、ノウハウが移植しやすいだろうとの判断があった。こうして2013(平成25)年12月、当社が32%、昭和メタルが8%を出資して同社に資本参加し、2014年2月に新工場の建設に着手した。先行して事業展開していたディーラー事業やパートナー独自の地場集荷網など幅広い回収ルートから多くのELVを確保できた」(金属本部)ことだった。これに加え、新工場への移転により作業工程を大幅に見直し、処理能力を約4倍に増強した上で、登録抹消手続き時間の短縮などのサービスを向上させたことが評価され、2016年には北京でNo.1、約2割のシェアを握るまでになった。当社が最大のミッションとした安全・環境対策はどうだったか。これは想定通りとはいかなかった。制服を着る、ヘルメットを被る、安全靴を履くといった基本的なレベルからスタートするしかなかったのだが、それを徹底していくには安全や環境に対する意識そのものを変えなければならず、継未だ途上の安全・環境対策新工場プロジェクトでは当社と昭和メタルで役割を分担した。工場内のレイアウトや設備導入、安全環境対策などは当社が主導権を持ち、オペレーションは昭和メタルが担う。工場移転は2015(平成27)年。滑り出しは順調であった。好調だった一番の理由は、「ELV事業の場合、最大の課題はELVがどれだけ確保できるかなんです。現地で続的かつ粘り強くやっていくしかない。そこで2017年から金属本部の安全推進室のサポートも受けながら、当社の安全管理手法に基づき安全衛生活動を推進し、経営マネジメント・現場オペレーションも含めた解体事業の成功モデルを構築すべく活動を推進していった。「操業開始時期から比べれば、ずいぶん改善され、意識も高まったとは思いますが、依然として途上にあるというのが現実です。これは中国だけではなく、日本においても同様です。この事業を続ける限り、中国においても日本においてトヨタ環境チャレンジ2050架台を使用した廃油液抜き作業194