ブックタイトル豊田通商70周年史

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概要

豊田通商70周年史

アルミ溶湯事業に脈打つ思想当社がアルミ溶湯事業をやる意味、意義はどこにあるのか。一つは、インゴットと比べ、はるかに付加価値が高く、鋳造工場を持つエンジン工場に隣接させることでトヨタ自動車のMOST, Inc.(アメリカ・ミズーリ)SCMに組み込まれ、バリューチェーンが構築されることである。当社にとって大きなメリットになるものだが、一方で大きな責任を負うことも意味する。SCMに組み込まれることで、アルミ溶湯に関する供給者責任を負うことになるからである。何ら株式会社九州スメルティングテクノロジー(日本・九州)かのトラブルが発生すれば、当社だけの問題ではなくなってくるだろう。生産ラインがストップし、出荷されるべき車両が出荷できず、販売店やその先のユーザーにまで迷惑をかけることになる。「加工の精度を高め、モノづくりに関与する以上は、生産Chang-Li Aluminium Smelting Technologies Co., Ltd.(中国・長春)者責任が問われるという意識が必要です」と前出の担当者は語る。トヨタグループの一員として持つべき当然の姿勢であるが、当社ではその姿勢を貫くため、トヨタ自動車の経験者に転籍あるいは入社してもらい、Poland Smelting Technologies Sp. z o. o.(ポーランド)トヨタ流の品質管理、安全管理をより徹底したものにする取り組みを行ってきた。さらに当社のアルミ溶湯事業は、スクラップという静脈の中に流れている発生源や品質の確保が難しい廃金属を、生産ラインという動脈に流れる工業製品、つまりアルミ溶湯へとつくり変えるという取り組みでもある。アルミリサイクルを本業としながら、持続可能な社会づくりに向けた一端を担う。当社が目指すのはアルミ溶湯事業を通した社会貢献である。テーマ編191