ブックタイトル豊田通商70周年史

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概要

豊田通商70周年史

こうしたプロセスを経て2006年4月1日、価値創造企業として新生豊田通商は新たなスタートを切った。合併に際し、社長の清水順三は「いま私たちは、新しい豊田通商グループが誕生した瞬間を共有しながら、新たなる成長に向かって、文字通り第一歩を踏み出しました。大切なのは、ビジネス・文化風土の両面における強みを連結・融合させ、大きく飛躍させていくことです。それによって、トヨタグループの唯一の商社としての意識や存在感を高めるとともに、顧客の、社会の価値創造をリードするような企業になることができると考えるからです」とのメッセージを送った。5創出されたシナジー合併に合わせ、事業本部を「金属」「機械・エレクトロニクス」「自動車」「エネルギー・化学品」「食料」「生活産業・資材」の六つに再編し、それぞれの分野が培ってきたノウハウと強みを発揮させながら大きな相乗効果を目指していくこととした。合併による効果は統合シナジー、すなわち費用の合理化による利益増と、事業シナジーの両面でもたらされた。統合シナジーでは、物流コストや保険コスト、間接部門人員の削減や効率的な配置転換、海外拠点の削減などにより利益増加が可能となった。また、統合シナジーと比べ、効果の早期創出が難しいとされる事業シナジーにおいても、合併以前の提携により両社の融合が進んでいた結果、早期に効果が現れ始めた。当社の海外販売ノウハウとトーメンの海外情報ネットワークを融合させた中央アジアの旧ソ連諸国でのトヨタ車のディーラー事業はその一例であり、国内でも当社が強い基盤を持つ中部圏の大手量販店に対し、トーメンの化学品開発の強みを生かしたPB(プライベートブランド)のトイレタリー製品の提供を開始した。また、トーメンの出資会社であるユーラスエナジーが受注した島根県の国内最大規模の風力発電プロジェクトに当社の出資会社であるヴェステックジャパンが発電機を納入するなどグループでのシナジーも生み出された。両社の売上高を合わせると5兆5,700億円を超えるという大型総合商社同士の合併であったが、立ちはだかったさまざまな難題を乗り越え、新たな価値創造に向けた態勢を整えることとなった。6つの事業領域沿革編123