ブックタイトル豊田通商70周年史

ページ
121/432

このページは 豊田通商70周年史 の電子ブックに掲載されている121ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

豊田通商70周年史

が日本企業を苦しめた。世界的には2009年のギリシャの財政危機をきっかけとする欧州債務危機が発生するなど幾度もの試練に見舞われた。3混迷する世界とアベノミクス2012(平成24)年に誕生した第二次安倍内閣が推し進めた経済政策「アベノミクス」によってわが国経済は一時の苦境を脱し、景気の回復、株価の高騰がもたらされたが、異次元の金融緩和や積極的な財政出動の限界も示していた。近年、顕著になってきたのがグローバル化への反発に基づく自国優先主義の台頭であり、それを象徴していたのが英国のEU離脱、米国におけるトランプ大統領の誕生であった。混迷度がさらに増す中、世界経済には新たな課題解決に向けた取り組みが求められた。第2節商社をめぐる情勢1高度化する商社の機能1990年代、国内景気が長きにわたって停滞する一方、海外では旧共産圏の市場経済化、アジアを中心とした途上国経済の成長、新興国の台頭を受け、商社は1事業投資を軸とした海外事業のグローバル化、2資源・エネルギーへの投資の継続、3国内小売業への投資、という三つの機能を強化していった。2000年代はこの機能をさらに高度化し、市場開拓機能、事業開発・経営機能、リスクマネジメント機能、情報機能、オーガナイズ機能を併せ持つ「総合事業運営・事業投資会社」へのシフトが強く求められるようになった。2バリューチェーン戦略の追求単なる配当収入や売却益を得ることを主眼にするのではなく、自ら所有する他の事業との連携を強く意識し、得られる価値の最大化を目指していたのが2000(平成12)年以降の商社であった。資源、エネルギー、自動車、化学品、情報通信、食品、生活サービスといった多様な分野において、既存の商圏を生かしつつ、その分野の川上から川下までの各段階で収益モデルを実現する、いわゆる「バリューチェーン戦略」あるいは「サプライチェーンマネジメント戦略」を追求してきた。具体的には「原料の確保・資材の調達から販売に至る全工程で、複数の企業・部門が連携し、製品が届くまでの流れを効率化する手法」であり、受発注、需要量、在庫量などの情報を共有しながら、在庫の圧縮、納期の短縮、タイムリーな製品供給を通じ、顧客の価値を最大化することを目指した。バリューチェーンの実現による価値の最大化を求め続けたのが2000年代の総合商社であった。自自動豊動車車バ豊田田通リバリュ通商商ューのーの事チ事業チェ業ェー・ーン・機ンに機能にお能おけけるる化学品・エレクトロニクス化学品・本部エレクトロニクス本部機械・エネルギー・プラントプロジェクト機械・エネルギー・本部プラントプロジェクト本部グローバル部品・ロジスティクス本部グローバル部品・ロジスティクス本部金属本部金属本部部長製造・新素材・部長品製物造流・自動車先新端素技材術・の最適調達部トヨタ品物生流産・組自立動・車製造提先案端・技開術発の最適調達トヨタ方式(TPS)生産組立・製造提案・開発方式(TPS)自動車本部自動車本部金属くず・中古車・廃金棄属物くず・・卸売・小売・アフター・中古車・使廃用棄済物み・販卸売金・小融売・サービスアフター・自使動用車済のみ販売金融ステーションサービスリサイクル自動車のステーションリサイクル開発原料調達・トレード・物流製造・加工卸・小売・サービス開発原料調達・トレード・物流製造・加工卸・小売・サービスバリューチェーン概要沿革編119