豊田通商株式会社 CSRレポート
49/52

第三者意見 社会課題を解決するために、これまでになかったような付加価値をつけた新しいビジネスモデルを創り出すという経営の姿勢そのものが豊田通商の多様なCSRを特徴付けています。トップメッセージでも明確に述べられている「CSRを『経営そのもの』と位置づけ豊かな社会づくりに貢献する価値創造企業を目指していく」という意思が実際の活動として「社会的課題解決型・地域貢献型事業」において具現化されています。中国における自動車リサイクルは、豊田通商が長年培った技術とノウハウによって、中国の環境問題の解決に貢献するものです。サトウキビ由来のPET樹脂を世界市場へ浸透させる事業は、化石資源の使用削減と温暖化抑制につながるものであり、地球環境課題の解決に貢献するものです。風力と太陽光による発電事業を世界中で行っていることは、電力の安定供給と代替可能エネルギーへの期待に応えるものです。モーリシャスにおける社会貢献型ベンチャー育成基金設立は、アフリカの若年層の雇用機会を創出し、貧困削減や当地における人材開発につながる事業です。このように豊田通商においては、グローバルの社会課題を解決するという使命感が事業とうまく統合され、実践されています。 「企業責任遂行(CSRの基本)型」においても社会的価値を創造する企業として、体系だったCSRが実践されています。とりわけ、「安全」と「環境」における国内の取り組みは、包括的な方針を掲げ、経営層が指揮を取る推進体制が敷かれ、社内に仕組みが根差しています。CSRに関する実績についても定量と定性による実績評価がされています。定量の測定は、CSRの主要な分野である安全、環境、人事、ガバナンスの各分野について実施されています。また、定性評価においてはコンプライアンス、リスクマネジメント、情報開示の各分野で行われています。実績の評価により洗い出された今後の課題についても言及されていることで、豊田通商の目指そうとするCSRの姿が示されています。 グローバルで事業を展開され、世界舞台において活躍している企業であるからこそ、「企業責任遂行(CSRの基本)型」において改善を期待する点があります。一つは活動結果の定量測定をする際に、単に結果(アウトプット)だけを測定するのではなく、その活動によってどんな効果がもたらされていたか(インパクト)についても測定を行うということです。たとえば、安全、環境、人材育成の点で研修に力を入れられ、国内ではかなりの研修が実施されています。その効果は受講者数で測られていますが、社外のステークホルダーにとっては、受講者数だけではその研修の実施がどれだけの効果をもたらしたのかわかりません。社員の中でどのくらいの割合が受講したのかや、その研修の結果、安全や環境面での向上に効果があったのかなどについても記載があると、さらによいと思います。 もう一つは、グローバルの拠点におけるCSRの体制や活動の内容の記載についてです。海外でのCSRを実践するにあたっての体制や、実施した活動やその結果などについてあまり書かれていません。CSRレポートは英語にもなっているため、海外のステークホルダーが知りたいことは海外で行われているCSR活動についてであることも多いと思います。今後は海外拠点におけるCSR実践についての記載を拡充されることを推奨いたします。海外では日本国内でやっていることを横展開するだけでは対応しきれないところも多くあります。そこで海外のステークホルダーが豊田通商に求めていることを理解するために、ステークホルダーとの積極的なエンゲージメントを通じてニーズを把握することも必要です。早稲田大学で政治学と生物学を修め、カリフォルニア大学リバーサイド校、タフツ大学、慶應義塾の各大学院で学ぶ。スターバックスコーヒージャパン、セールスフォースドットコム、日興アセットマネジメントの各社でCSR関連部署の立ち上げを手がけるなど、さまざまな業種の多国籍企業で通算10年以上、CSR担当としての経験を持つ。CSRアジア・日本代表[プロフィール]赤羽 真紀子 氏48

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です