豊田通商 CSR Report 2013
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第三者意見 豊田通商の「CSRレポート2013」には、「モビリティ(自動車の進化)」「ライフ&コミュニティ(生活環境の向上)」「アース&リソース(地球課題の解決)」の3分野について、社会的課題の解決に役立つCSR活動を、全社を挙げて取り組んでいる実情と成果が、分かりやすい形で開示されています。 2005年以来継続発行しているだけに、図解、写真等を適切に活用して内容が充実しており、ステークホルダーにとって理解に役立つCSRレポートと高く評価できます。大変優れていると評価できること 第1は、社長のトップメッセージは、理念・ビジョンを掲げ、2012年度の主な目標として取り組みを明示しており、CSR活動の基軸となる素晴らしいコミットメントです。特に主な取り組みでは、「GLOBAL 2020 VISION」の3分野でそれぞれ事業を通じた社会的課題の解決を進めたこと、フランスの大手商社CFAOと協働でアフリカでのシナジーを追求したこと、事業のグローバル化に合わせて、社会・環境の両側面で事業に伴うCSR活動を強化したことで、社会的課題の解決に役立つ価値を創造・提供し、地球社会の持続可能性の向上に貢献する姿勢を力強く宣言しています。 第2は、CSRを戦略的に果たすために「CSR活動マップ」を作成し、“CSR 活動の見える化”に成功しています。自社のCSR活動を、領域1「企業責任遂行(CSRの基本)型」、領域2「社会的課題解決型・地域貢献型事業」、領域3「社会貢献(慈善)型」に分類するとともに、「モビリティ」「ライフ&コミュニティ」「アース&リソース」の3分野への取り組みについては、豊田通商の事業の強みを生かした、領域2の「社会的課題解決型・地域貢献型事業」に相当するものと位置づけることで、より“全体像”が把握しやすくなっています。 第3は、7つの営業本部ごとに、多種多様な分野でグローバルに展開する事業を通じて、それぞれ重要なCSR課題への取り組みを、現場写真やステークホルダーの声とともにまとめています。CSR活動は、労働安全衛生の推進、CO2排出量の削減、強制労働・児童労働の排除、サプライヤーとの公正な取引等が、それぞれの現場で実践されている姿が丁寧に叙述されており印象に残ります。 第4は、豊田通商が、資本参画したフランスの大手商社CFAOと協働で、アフリカにおけるシナジーを追求したことです。両社は、「アライアンスビジョン」を策定し、事業創造、人材育成、社会貢献について、アフリカ市場において協業でリーダーシップの発揮を目指しています。特に「担当者メッセージ」には、アフリカの持続可能な成長への貢献を目指す熱き思いが感じられます。さらなる発展を期待すること 豊田通商は、グローバルに展開する事業を通じて、重要なCSR課題に取り組み、成果を上げています。「人事面の取り組み」で「人事におけるCSRを推進する4つのポイント」を挙げているのは、適切な対応です。ただ、人権尊重、多様性の促進などの具体的な説明は国内ベースが主体で、若干“グローバルな視点の説明”が足りないようです。特にアフリカでの事業展開に際しては、ISO26000の中核主題である「人権」を参考に、人権尊重、人権侵害への加担の回避、差別および社会的弱者への対応、苦情解決など、さらに格別な配慮が望まれます。 ステークホルダーとの交流は、関係する記事の中での紹介や、ウェブサイトでの情報開示、投資家とのミーティングなど工夫されています。さらに、今後は「ステークホルダー・ミーティング」を開催し、その成果を社内へフィードバックする一方、本レポートに掲載することを期待しています。このようにすれば、ステークホルダーからの信頼はさらに高まり、CSR活動の強化につながります。中央大学第2法学部・経済学部卒。日本銀行等勤務の後、日本大学、早稲田大学大学院講師等を経て、2002年~06年立教大学大学院教授、2006年~13年東京交通短期大学学長・教授。元経済産業省「ISO/SR国内委員会」委員等。著書多数。東京交通短期大学 名誉教授(社)経営倫理実践研究センター理事・首席研究員[プロフィール]田中 宏司 氏44

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