豊田通商株式会社 CSRレポート2011
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食料本部19クロマグロ「完全養殖」の事業化を目指してヨコワ※育成事業を担う新会社を設立日本の食卓に欠かせないクロマグロ。しかし近年、世界的に消費量が増加し、個体数の減少が進んでいます。豊田通商は、世界初の「クロマグロ完全養殖」を実現した近畿大学とパートナーシップを結び長崎県五島市に設立した新会社「(株)ツナドリーム五島」を通じて安定的・持続的なクロマグロの供給に貢献していきます。生物多様性の保全と食料の安定供給を両立するために、「獲る」から「育てる」へ。食料事業部 部長 兼 株式会社ツナドリーム五島 代表取締役西出 智 マグロの中でも、最も味が良いとされるクロマグロは、近年世界各国でその消費量が増加し、乱獲による個体数減少が問題となっています。この貴重な天然水産資源を守りつつ、食卓にクロマグロを安定的に供給していくためには、養殖による生産量を増やしていく必要があります。しかし、従来のクロマグロ養殖は、海で捕獲した天然のヨコワをイケスで育てるやり方だったため、生産量の安定化と資源保護の両面で問題がありました。 そうした中で、近畿大学は、マグロの「完全養殖」を目指し、30年以上前から研究を進めてきました。完全養殖とは、卵を人工ふ化させ、それを成魚にまで育て、またその成魚が次の世代となる卵を産むというサイクルを確立する、つまりすべてのプロセスを人工的に管理することです。 近畿大学は2002年に世界で初めてこの完全養殖のサイクルを確立し、現在では、国内の養殖業者に「完全養殖ヨコワ」を出荷しています。生物多様性の観点からクロマグロという貴重な種を保存すること。そして、魅力的な食材であるクロマグロを安定的に供給すること。これら2つの課題を一挙に解決する鍵を握るのが、近畿大学が開発したクロマグロの「完全養殖」技術です。豊田通商は、この技術を活用して完全養殖ヨコワを育成し、養殖業者に供給する新会社「(株)ツナドリーム五島」を設立しました。これまで天然ヨコワの漁獲に依存していた養殖業者にとっても、経営の安定化につながるものと考えています。乱獲によって個体数が減っている天然クロマグロ──「完全養殖」への高まる期待世界最大のマグロ消費国・日本年間の世界のマグロ消費量約208万トンのうち、日本は約3割を消費しています。このうち日本国内での漁獲量は約21万トン程度に過ぎず、残りの約37万トンは、台湾・地中海沿岸諸国・オーストラリアなど、世界各地からの輸入でまかなっています。世界最大のマグロ消費国である日本には、マグロに関わる生物多様性の保全に、とりわけ大きな責任があります。稚魚 約6cm産 卵卵近畿大学孵化・陸上育成稚魚幼魚近畿大学(参考:WWFジャパン http://www.wwf.or.jp/activities/2009/01/625530.html)日本の消費量58万t日本以外での消費量150万t国内生産21万t輸入37万t2004年消費量208万t※ ヨコワ:マグロの若魚

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