コンプライアンス

方針

当社では役員・社員の職務の執行が法令、定款および企業倫理に適合することをコンプライアンスの基本方針とし、さまざまな施策を実施しています。

2016年7月に行動指針をより具体化したグローバル行動倫理規範(Code of Conduct & Ethics, COCE)を同年4月の取締役会の決議を経て制定しました。COCEは国内外のグループ社員が集結して策定し、社長メッセージと「COCEブックレット」各言語版(23言語)を当社イントラネットに掲載するとともに、COCEグローバルネットワークを通じて周知徹底を行い、国内外全グループ会社の全役職員にCOCE遵守の誓約を求めています。当社は、コンプライアンスの取組みを最高水準に保つために、今後も現行の基本方針やCOCE、コンプライアンス各施策の有効性を定期的に評価、検証し、必要に応じて改善してまいります。

グローバル行動倫理規範(COCE)

当社では、社内規定により、COCE違反について何らかの懸念を抱いた場合、適切なチャネルでの速やかな報告を全役職員に義務付けた上で、同報告者に対して報復的行動や措置を取らないことを保証しています。同チャネルには、上司やコーポレート部門に加えて、150以上の言語に対応し匿名通報も可能なグローバル内部通報制度も含まれます。

営業本部企画部による実査活動や監査部による内部監査においても、COCE違反が発生していないか精査しています。

また、ITやAIなどの最新デジタルツールを駆使して、経費・売買計上・財務諸表などの膨大なデータを分析し、不正の兆候をモニタリングすることで、不正の抑止や早期発見に努めています。これら分析結果は上記実査活動や内部監査にも活用しています。

そして、COCE違反の懸念が生じた場合は、取締役会の監督の下、不祥事対応マニュアルに基づき、コンプライアンス・危機管理部が法務部や人事部等関係部署と共に厳正に調査・対処しています。当社は、コンプライアンスの取り組みを最高水準に保つために、今後も現行の基本方針やCOCE、コンプライアンス各施策の有効性を定期的に評価、検証し、必要に応じて改善していきます。

当社グループにおける、2023年3月期の国内・海外でのCOCE違反の件数は、以下の通りです。ただし、当社グループの経営に重大な影響を与える違反はありませんでした。

・違反総件数:48件。

腐敗防止

1. 基本方針

当社グループでは、グローバル行動倫理規範(Code of Conduct & Ethics, COCE)で反汚職を明確に謳い、腐敗行為の禁止とマネーロンダリングの防止を腐敗防止の基本方針(Anti-Corruption Policy)としています。

  1. 1腐敗行為とは、不当な利益を求めて権限を乱用する行為全般を指し、贈収賄やカルテル・談合、横領、利益相反行為などあらゆる形態の腐敗行為を含みます。
  2. 2贈賄とは、直接または間接を問わず、ビジネス上の便益を得るためまたは確保するため、公務員または私人に対して不正に金銭、ギフト、娯楽その他便益を提供することや、その約束または申し入れをすることをいいます。
  3. 3収賄とは、直接または間接を問わず、不当な判断や行為に対する見返りとして金銭、ギフト、娯楽その他便益を要求すること、または受領することをいいます。

2. 取締役会による監督

COCE違反事案に対しては、取締役会の監督の下、不祥事対応マニュアルに基づき、コンプライアンス・危機管理部が法務部や人事部等関係部署と共に厳正に調査・対処しています。また、取締役会および取締役・CFOを委員長として四半期ごとに開催される統合リスク管理委員会において、腐敗防止の取り組みを含むグローバルコンプライアンス活動の方針ならびに当該決算期における活動状況および違反状況について報告しています。

3. 具体的な取り組み

米国連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)や英国贈収賄防止法(UKBA)、日本の不正競争防止法を含む各国の贈収賄規制に違反することのないよう、贈収賄防止規則および実施要領を制定し運用することで贈収賄行為の未然防止に努めています。具体的には、政府等が関与する取引の事前審査・決裁、公務員等の招聘の事前審査・決裁および公務員等に対する接待・贈答報告等を義務付けています。また、マネーロンダリング防止のために、第三国・第三者への支払いを原則禁止とし、特別承認のための決裁手続きを定めています。これら社内規程の遵守状況についても定期的にモニタリングし、規程遵守の徹底と改善に努めています。

上述の決裁手続きにおいて、既存及び新規の代理店等 (代理店、エージェント、コンサルタント等)、仕入先、共同企業体および共同事業体パートナーに対して、以下のようなデューデリジェンスを、リスク評価結果に準じて実施しています。また、企業買収や合弁事業に伴う新規ビジネスパートナーや既存のビジネスパートナーとの間においては、当社グループにおける腐敗防止の基本方針をお伝えし、反腐敗行為に対する当社グループの強い決意をご理解いただいた上で、原則として反贈収賄に関する条項を含む契約書を締結し、贈収賄を含む腐敗行為の防止を義務付けることで、腐敗行為の発生を防止しています。

  1. 1贈収賄・腐敗の防止に関する質問書(Anti-Bribery & Corruption Questionnaire)への回答取得による贈収賄防止体制の事前確認
  2. 2第三者機関のリスク&コンプライアンス・データベースによる贈収賄関連等の懸念情報の有無チェック
  3. 3第三者機関による贈収賄・腐敗リスクに関するバックグラウンド調査

グループ会社についても、Check10活動において、事業体ごとに、その事業領域や取引相手、トランスペアレンシー・インターナショナルが公表している腐敗認識指数(Corruption Perceptions Index, CPI)等に基づいた贈収賄を含む腐敗リスクの評価と当該リスクに対する管理体制の評価の2軸評価を毎年実施しています。各事業体では、その評価結果に準じて、各国法令や規制について現地弁護士にも相談しながら、贈収賄防止規則を含む関連社内規程を整備し、決裁や報告手続き、ビジネスパートナーに関するデューデリジェンスの実施や当社が契約する外部機関のEラーニングを活用するなど、上述同様の取り組みを実施しています。特にリスクが高いと評価したグループ会社については、本社コンプライアンス・危機管理部が現地法務駐在員や法務スタッフとも協働し、ヒヤリング等を行ったうえで、上記取り組みが適切に設計、実施、遂行されるように指導、サポートを行っています。そして、それら取り組みの実施、遂行状況を本社コンプライアンス・危機管理部がCheck10活動を通じてモニタリングしサポートすることで腐敗行為の防止に努めています。

4. 研修

役員向けの役員法令ハンドブックおよび従業員向けのコンプライアンスマニュアルにおいても上記腐敗行為の禁止を明記し、全役員および全従業員にそれぞれ配布・配信しています。また、その理解と周知のため、全役員および全職員受講必須のe-learningを実施しています。

5.COCE違反個別対応

当社グループでは、COCE違反を含む緊急事態発生時の連絡体制と対応方針について、緊急時対応要領(通達)を定め、コンプライアンス・危機管理部が関係部署と共に適時、適切に対処しています。

COCEに抵触する問題の発生またはその虞を認識した職員は、直ちに上長に報告しなければなりません。そして、当該報告内容は、各社社長や主管部長を通じて直ちにコンプライアンスの主管部長であるコンプライアンス・危機管理部長に報告することが義務付けられています。当該報告を受け、コンプライアンス・危機管理部長は、その内容や影響に応じて、経営トップ、CSKO関係役員および監査役、並びに、法務部、人事部、広報部等の関係部署に直ちに報告するとともに、初動対応、必要な調査等を行い、適切に対処しています。対処状況およびその結果についてはCSKOおよび監査役に報告されます。従業員に不正行為があった場合は、懲罰委員会の設置等、賞罰規程に則った手続きを経て厳正に処分しています。また、同様のCOCE違反がグループ内で発生することを防止するために、事案概要や発生真因、再発防止策等を四半期ごとにグループ内にも共有し、当社およびグループ各社でのコンプライアンス教育に活用しています。

6.腐敗行為に関する摘発事例

2023年3月期、当社で腐敗行為に関する摘発事例はなく、これによる罰金・課徴金等の支払いもありません。

内部通報

当社グループではCOCE違反について何らかの懸念を抱いた場合、直ちに上長やコーポレートの関連部署へ報告することを義務付けていますが、何らかの事情により、上長やコーポレート部署への報告に支障がある場合などのために内部通報窓口を設置しています。

内部通報窓口は、従来の社内および社外弁護士に加えて、2017年11月に、多言語(150言語以上)対応窓口を外部専門機関に設置し、グローバル化ならびに匿名性および秘匿性を確保することで、あらゆる形態の腐敗行為・人権侵害などを含むCOCE違反に関する通報や相談がしやすい内部通報体制の整備を進めています。また、全ての内部通報およびその対応状況を監査役に報告すること、ならびに、監査役に直接通知される内部通報窓口を設けることで、経営幹部からの独立性の担保を図っています。

今後も、より高い信頼性と実効性が確保された内部通報制度の整備と運用を推進し、更なるコンプライアンス経営の強化と企業価値の向上を目指しまい進してまいります。

内部通報制度の体制

will do.の名称の由来

will:会社をより良くしようとする意思、決意を表します。
あえて小文字にしているのは、主語に[ I ] [ We ] [ You ]が入ることによって、より皆さんにとって身近なものであることを感じてもらう為です。
do.:会社をより良くしようとする意思、決意を実現させることを表します。

SPEAK UP の名称の由来

通報しやすい環境を提供し、従業員の皆さまに安心して声をあげてもらうことで、いきいきワクワクとした職場環境づくりを促進していこうという思いが込められています。

通報後の流れ

2022年度はSPEAK UP及びwill do.を通じて81件の通報を受けました。81件の通報に対して、ヒアリング・内部調査等を行った結果、30件の通報に関して何らかの問題ありと判断しました。
30件の内訳は以下の通りです。

50%…ハラスメントや差別などに関する問題(セクハラ、モラハラ、ジェンハラなど)
13%…労働時間や賃金などに関する問題
10%…法令遵守に関する問題
10%…倫理問題(機密情報管理、利益相反、インサイダー取引等)
7%…安全に関する問題

これらの問題に対して、是正措置や再発防止策(仕組みの改善やルールの修正・周知徹底など)を実施しました。
また、このうち2件については、社内規程に基づき懲罰を実施しました。

お問い合わせ窓口

当社ではホームページ上に、一般の方及び豊田通商のステークホルダーの方からのお問い合わせを頂けるように窓口を設置しており、頂いた内容に応じてしかるべき部署が対応をしております。

コンプライアンス意識向上活動

日々の業務で遵守すべき具体的な行動倫理規範を役員・社員に浸透させるために、各種研修やセミナーの実施、全役員・社員からの誓約取得、さらには全社員受講必須のe-learningや10月の企業倫理月間に合わせたコンプライアンスイベントなどを通じて、規範の遵守状況をレビューし、法令および企業倫理遵守の徹底を図っています。

2023年3月期も新入社員向け・新任管理職向け・ライン部長向け・役員向けといった階層ごとの研修、国内グループ会社新任役員や海外駐在赴任前の社員を対象にした研修などを実施しました。また、役員・社員向けに「インサイダー取引」「贈収賄防止」「カルテル」「サプライチェーンCSR」「COCE」などについて研修やe-learning、説明会などを通じてあらゆる形態の腐敗行為の禁止を周知徹底するとともに、役員向けには役員法令ハンドブックを、社員向けにはコンプライアンスマニュアルを2年に1回見直し・改訂・発行し、重要法令などを周知徹底することで、法令および企業倫理遵守の徹底を図っています。

税務ガバナンス

税務ガバナンスポリシー

当社および当社グループは、代表取締役CFOの責任の下、COCEに従い、各国の税法および関連規定等を遵守し、グローバルで適切な納税義務を履行することを基本方針としています。

事業活動を適正かつ合理的に行うことを重視しており、事業目的に沿った事業展開やグローバルな体制構築を実施しています。タックスヘイブンを利用する恣意的な租税回避は行わず、法の精神に従い、各国の法令および租税条約ならびに国際的な課税ルールを遵守し、その精神を尊重した適切な申告、納税を実施しています。また、事業を行う地域の税務当局に対して、適切な情報開示と建設的な対話により、公正な関係の構築を図っています。

基本方針の下、二重課税の排除に努めるとともに、税優遇措置の適切な活用により、税務コストの適正化に努めています。

税務ガバナンス体制

代表取締役CFOは、税務に関する基本方針を発信・指示すると共に、下記の体制にて税金費用の適正化及び納税義務の履行を監督しています。
・管掌役員:岩本秀之(代表取締役CFO)
・推進部署:経理部

経理部長及び経理部は、営業経理部や国内外の子会社の関係各経理部署と連携し、グローバルベースでの税務管理に取り組んでいます。国内外の子会社から税務に関するリスクや事象を経理部に報告するほか、個別案件の審査に際しては税務リスクを確認しています。また、経理部長は、税務に関する重要な事象・リスクを認識した場合には、代表取締役CFOへ適切に報告しています。

なお、税務に関する重要な事項については、必要に応じ取締役会あるいは役員会議などの会議体にて代表取締役CFOより報告し、税務ガバナンス体制の向上に取り組んでいます。