プロジェクトストーリー海外

ハワイのエネルギー事情と環境保護に貢献する太陽光発電事業

環境負荷軽減やエネルギー源の多様化などを目的として、再生可能エネルギーの導入が世界規模で進んでいます。豊田通商グループもそのトレンドをつかみ、当社が60%、東京電力HD(株)が40%出資する(株)ユーラスエナジーホールディングスが、2017年1月米国ハワイ州にて大規模太陽光発電所の営業運転を開始。ハワイのニーズと当社グループの事業ノウハウの掛け合わせが実現しました。

ハワイのエネルギー事情と環境保護に貢献する太陽光発電事業

加速する再生可能エネルギーへの投資

再生可能エネルギーの導入促進策が、世界各国で展開されています。日本で実施されている固定価格買取制度(FIT)や再生可能エネルギー利用割合基準制度(RPS)が、その代表的なものといえます。

こうした施策によって、再生可能エネルギーへの投資は2000年代半ば以降大幅に増え、2015年には世界で約2,800億米ドルにも上りました。エネルギー源別に見ると、太陽光発電をはじめとする太陽エネルギーと風力発電に投資が集中しています。そして、2015年には太陽光・風力発電共に累積導入量が過去最高となりました。導入ノウハウの蓄積による発電設備のコスト低減が進み、採算性が向上することから、今後も再生可能エネルギーの世界的需要は増加の一途をたどると考えられています。

さまざまな再生可能エネルギーによる発電
固定価格買取制度(FIT:Feed-in Tariff)
再生可能エネルギー源による電気を、国が定めた調達価格で一定期間、電気事業者に買い取りを義務づける制度。
フィードインプレミアム制度(FIP:Feed-in Premium)
電気価値は市場価格に委ね、環境価値にのみ一定の補助を設定し、調達コストの低減を狙う制度。欧州などでは、FITからこの制度に移行しつつある。
再生可能エネルギー導入量割当制度(RPS:Renewables Portfolio Standard)
政府が電気事業者に対して再生可能エネルギーによる電気を一定割合以上買い取ることを義務づける制度。調達価格・期間は、電力会社が入札などで決定。
再生可能エネルギーへの投資動向と発電設備の導入状況
ユーラスエナジーグループのプロジェクト

ハワイでの再生可能エネルギー需要増

豊田通商グループは、ユーラスエナジーアメリカが事業の主体となり、2012年から本格的に太陽光発電事業の計画に着手。オアフ島に同州最大級となる発電所(EE Waianae Solar Project LLC)を建設し、2017年に操業を開始しています。この背景には、ハワイ州が抱えるエネルギー問題がありました。

ハワイは化石燃料資源が乏しいため、伝統的にエネルギー資源を輸入に頼っています。その中でも特に依存度が高いのが、相場の影響を受けやすい石油です。環境負荷が大きいだけでなく、住民が負担する電気料金も米国本土より約3倍高いのが現状です。

このような状況を変えるべく、ハワイ州は再生可能エネルギーの比率を段階的に上げていくことを決定。州ごとに定めている再生可能エネルギー利用割合基準(RPS)の中で、2045年までに同エネルギーによる発電の割合を100%にするという大きな目標を掲げました。これにより、電力事業者は同年までに100%の電力を環境負荷が小さいクリーンエネルギーで供給することになります。

ハワイは太陽・風・地熱などの自然資源に恵まれています。そのメリットを生かし、オアフ島の南北両端では風力発電プロジェクトが進んでいるほか、晴れの日が多い西側では太陽光発電のプロジェクトが進行。RPSの目標値を上回るペースで、再生可能エネルギーの比率が堅調に増加しています。

Eurus Energy America Corporation
所在地 カリフォルニア州サンディエゴ
株主構成 (株)ユーラスエナジーホールディングス100%
主な事業 風力発電5カ所、太陽光発電2カ所

事業成功につながったユーラスエナジーアメリカと豊田通商アメリカの協業

地域の協力を得て地域に貢献する事業をつくる

ハワイのコミュニティーは独特で、企業・街・住民があらゆる面で強くつながっているが故の課題がありました。例えば、建設場所。ユーラスエナジーアメリカがカンザス州に持つ風力発電所は、市街地から離れた場所にあるため、事業者とコミュニティーの間には地理的な隔たりがあります。一方ハワイは、発電所と住宅地域の距離が地理的に近いので、建設に際し多くの課題に直面しました。

こうした状況を踏まえて、ユーラスエナジーアメリカはさまざまな関係者と信頼性のあるパートナーシップを生み出すことを目指し、それぞれにメリットのある電力システムの構築に取り組んできました。

当事業は、地域の理解と協力によって生まれた、地域のための事業といえます。地域貢献の面では、ハワイ州の税収増や発電施設の維持・運営のための新規雇用を創出。また、地域コミュニティーに向けて施設見学会やイベントも開催しています。

コミュニケーションを重ね最良のパートナーへ

ユーラスエナジーホールディングスは出資パートナーの選定にあたり、時間をかけて豊田通商アメリカと協業できる機会を模索し、お互いにとって最適な投資・事業環境の整備に向けた調整を続けてきました。契約書の擦り合わせや豊田通商アメリカのデューデリジェンス支援のために、ユーラスエナジーアメリカのサンディエゴ事務所と豊田通商アメリカの間で何度も会議を行いました。結果、数年にわたるコミュニケーションを経て、双方が本案件を進める上での最良のパートナーであるとの確信に至りました。

ユーラスエナジーアメリカの使命は、効率性と信頼性の高い再生可能エネルギーを顧客やコミュニティーに提供し、持続可能な方法で収益性のあるビジネス成長を促進することです。今後も、グローバルネットワークとリソースを有する豊田通商グループとの連携をさらに深め、いっそうクリーンで持続可能な世界を一緒に実現していきたいと考えています。

2017年12月01日

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